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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第225話 仲間のために





◆◆◆


《初音島‐商店街‐》



「ありがとう御座いましたー」


店員の声に送られて、月影夜葬は店を出た。

学園崩し事件の後、彼は自分の居場所であるアルトルージュの元へ帰ったのだが、この町の洋菓子店で作られているカステラが美味だったので、たまにやって来ては好物のカステラを買っているのだ。



夜葬「……さて、アルトには何を買って帰るか」



この島の商店街の品揃えは大層豊富で、珍しい物などが沢山あり退屈はしないのだが、色々ありすぎて選ぶのに時間がかかってしまう。

普段洋菓子を買って帰るのだが、今日は趣向を変えて和菓子でも買って帰ろうかと思い、和菓子屋に立ち寄る。



夜葬「…………ん?」



入口に立ち、店に入ろうとしたところで足を止めて、夜葬は後ろを振り返った。

彼の知覚に奇妙な魔力を察知したためだ。

その魔力の主に視線を送る。

夜葬の目には、薄い紫色の髪と瞳をした少女の姿が映る。

少しボロボロになっている、猫のぬいぐるみを抱えた少女が、人波を抜けて商店街を歩いていく。



夜葬「……奇妙な魔力…というだけではないな。この膨大な魔力は……」


さすがに本気を出した吸血姫達程ではないだろうが、それでも恐らく夜葬よりは上…都道府県の1つくらいなら吹っ飛ばせるんじゃないか?というような魔力量を秘めた少女を目にして夜葬は、



夜葬「ま…俺には関係のないことだな。大方、あの魔神か、その身近にいるやつの関係者だろ」


基本、自分やアルトルージュに関すること以外に関心はなく、彼はアルトルージュに土産を買うため、何処かへ歩いていく少女から関心を外し、和菓子屋へ入っていった。


◆◆◆


《鳳凰学園‐生徒会室‐》



勇人は自分の机…生徒会長が仕事するときに使う机の上に置かれている水晶をただ、一人で眺めていた。

この水晶の内部は異空間と化しており、昔からよく修業として使っていたもので、今この水晶の中には、芳乃さくらが入っている。

彼女に力をつけさせるなら、これが手っ取り早いと思ったからだ。



勇人「ま、元々素質はあったし、基礎は既に身に付けていたから、そう時間はかからないだろうな」


特に片付けるべき業務もなく、生徒会のメンバーは誰もいず、勇人は自分で淹れたコーヒーを飲んでボケーっと過ごしていたのだが、


ガラッ!と、突如、生徒会室の扉が開かれた。



恭介「よう」



やって来たのは、勇人と古い付き合いであり、リトルバスターズのリーダーである、棗恭介。

珍しく普通にドアから入ってきた恭介に、



勇人「何だ、頭でも打ったか?」

恭介「いきなりなんだお前は………」


割りと失礼なことを言ったが、恭介の人となりを知ってる人にしてみれば、そう言いたくもなるだろう。

まぁ、常に窓から入ってきたりしてる訳じゃないっていうのは、さすがに当然なのだろうが。



勇人「で、急にどうした? お前が生徒会室に来るのも珍しい気がするが」

恭介「ああ、ちょっと頼みがあってな」

勇人「頼み?」



何だ?と、首を傾げる勇人に、


恭介「無人島の時に飛来してきた、この"刃輝"というのが何か、いい加減教えて貰おうと思ってな」



恭介は手を軽く握って、開く。

すると突如、西洋風の剣が現れ、その手に握られていた。




勇人「さすがというか…もう自在に出せるようになったのか」

恭介「この前の事件で現れてから、意識を集中すれば自在に出せるようになった」


「あいつらは無理だけど」と、恭介は少し得意気に言った。

そんな恭介に、勇人は淡々と、問う。



勇人「聞いてどうする?」

恭介「使いこなしたいからに決まってるだろ!」

勇人「………遊び半分で首を突っ込むモノじゃないってことくらいは、お前なら解るだろ?」

恭介「遊び半分じゃねーよ」


勇人の問いかけに、恭介は割りと真面目な顔に切り替える。



恭介「先週の事件に、GWの無人島、そしてかつて起きた闇の書事件……もう俺達は何度も巻き込まれたんだ。今後も巻き込まれない保証何てないだろう?」

勇人「……………」

恭介「お前は、俺達のような戦えないやつが巻き込まれるのを嫌ってるだろうけど、俺達はお前の仲間だ。お前が危険なことに関わってるなら、俺達だって助けになりたいだろ。少なくとも、闇の書事件が起きた時のように、もう俺達はガキってわけじゃないんだ」

勇人「……………」

恭介「お前の助けになれるように、せめて自分達の身くらいは護れるように、俺達に、戦う術を教えてくれ!」

勇人「恭介、お前………」



恭介の言葉に、勇人は、














勇人「いい感じのセリフ言って、俺今ちょっとカッコイイとか思ってるだろ?」

恭介「否定はしない」

勇人「いや、否定しろよそこは………」



キメ顔であっけカランという恭介に、深々と溜め息を吐く勇人。



恭介「けど、そう思ってるのも事実だぜ?」

勇人「……はぁ………全くお前は………」


大分疲れたように、それでいて少しばかり嬉しげに、勇人はまた溜め息を吐き、




勇人「分かったよ。ただし、危ないことには極力関わるなよ」

恭介「よっしゃあ!」



勇人の返答に、恭介は嬉しそうにガッツポーズのような格好をして、





恭介「だそうだぞ、お前達!」


なんてことを、生徒会室の扉へ向けて言った。

勇人は「は?」と首を傾げるが、直ぐ様驚愕と呆れた顔になる。

何故なら、扉の影からひょっこりと、よく見慣れた顔が並んでいたからだ。



勇人「お前ら、聞いてたのか?」

理樹「あー……うん」

唯湖「なにやら、面白そうなことを始めると恭介氏に聞いたんでな」

美魚「棗×神爪……いいですね」


そこにいたのはリトルバスターズの面々と、




ことり「えーっと………」

純一「なんか、変なタイミングに来たな」

稟「話を聞きに来ただけだったんだが………」



プラスα達。


今度は本気で、勇人は疲れたように深々と、本日で一番大きい溜め息を吐いたのだった。



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あきゅろす。
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