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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第221話 鳳凰学園二代目学園長





◆◆◆


《初音島‐住宅街‐》



勇人「……じゃあ、結局次元海賊にも逃げられたってことか?」

クロノ「ああ。まだ本局の方で母さんやレティ提督が情報を捜してるが、捕らえられるのは末端の中の末端。有益な情報を持った奴はいないらしい」


遠野家を後に、並んで神爪家へ向かってる勇人とクロノ。

封印を掛けられて弱体化してる勇人を案じて、クロノが気を使って送っているのだ。

まぁクロノも、コイツは殺しても死なんだろ、と思ってはいるのだが、一応念のためである。

とりあえずの近況を聞いているが、あまり芳しくはないようだ。

七大罪に加入したプレシア・テスタロッサ。

同じく加入した、元聖王教会騎士団のアユム・クルルギ。

そして次元の海を荒らして回る次元海賊レッドシャーク。

これらと出会して、全てをみすみす逃したのだ。

管理局上層部では結構揉めているそうだ。



クロノ「今回の件で、管理局は地球を管理世界に組み込むかもしれないという話が出てる。前々から上がっていた話ではあるんだが……」

勇人「分かってるとは思うが、もしそうなったら、世界政府も魔連も魔法世界‐ムンドゥス・マギクス‐黙っちゃいないだろーぜ。それ以外にも、動き出す勢力を沢山ある。最悪戦争になるぞ」

クロノ「わかってるさ、そんなことをさせるつもりはないよ……」


この若さで提督の地位にまで上り詰めたクロノには、管理局内においてそれなりに発言力はあるのだろうが、やはり上層部相手ではまだまだ力が足りないようで、少し力弱く応えた。

話題を変えようかと、クロノはふと思い出したことを口にする。


クロノ「そういえば、アリサとすずかに宿ったエレメントなんだが、もっと詳しい情報はないのか?」

勇人「あれらに関しちゃ、俺もそれほど詳しくはないんでな。あいつらと契約した精霊達に聞いたほうが早ぇーよ」

クロノ「もうすでに聞いた。だが、彼女達も君と同じ事を言っていたよ。いずれ復活する邪神と戦うため…だったか?」


それは、魔法界にあるとある古文書にも記されている。

エレメント。

それは、遥かなる大昔にこの世に現出した邪神を、当時の大魔導師達が精霊と化し、戦ったという伝説である。

圧倒的なまでの力を奮った邪神を、大魔導師達はどうにか封印することに成功した。

だが、封印とはいつかは解けてしまうものであり、その為に大魔導師達は、自分達の力を神器へと形作り、後世に遺したのだ。

それがエレメントであり、エレメントに宿っている精霊は、当時の大魔導師の残存思念であり、力の残り火。

その思念と近しい波動を持った者を適格者とし、神器を奮う資格を得るのだ。



クロノ「もう今更驚かないけどな、邪神だとか神器だとか」

勇人「慣れたもんだろ」

クロノ「全くだ」


昔はこの地球で危険な魔法技術のものがあれば、ロストロギアとし管理局で厳重に管理すること巌としていたが、こうも色々な出来事に関わってくると、管理局だけの手に負えないことが嫌でも理解してしまう。

それを今でもさも当たり前のようにしている上層部は、一体どれ程傲慢で愚かしいことか。

今まで他の世界から回収してきたロストロギアにも、もしかしたらその世界に必要なもので、それを回収してしまったが故に滅びた文明や世界があったかもしれない。

いくら任務や上からの命令とはいえ、もし自分がその片棒を知らず知らずに担いでいたとしたら、かなり胸糞の悪い話だ。



勇人「あー…ところで、話が変わるんだが」

クロノ「何だ?」

勇人「何か忘れてねーか?」



◆◆◆


《遠野家‐居間‐》



志貴「―――あー、やっぱりあの生徒会長…勇人って昔この家にいたんだな」



勇人とクロノが帰って、琥珀の淹れた緑茶を啜りながら、志貴は昔の記憶を掘り起こす。



秋葉「覚えているんですか?」

志貴「うーん…うろ覚えだけどな」

琥珀「まぁ、小さい頃のことですし、覚えてなくても無理ないと思いますよ? 志貴さんが有間の家に引き取られてからも、この家にわりといらっしゃってましたから、私達は覚えてますけど」


それでも、秋葉の父親であり、前遠野家当主が亡くなってからは顔を見せてないので、久しぶりではあったのだが。



翡翠「…あの…秋葉様………」


居間の扉を開けて、翡翠が遠慮がちに秋葉に口を開こうとするが、秋葉は翡翠が何を言おうとしているのかの察しはついていた。



秋葉「やっぱり完全に忘れて帰ってるわね……」

志貴「ん? 何がだ?」

秋葉「勇人さん以外に、家に来た人を覚えてますか?」

志貴「え? そりゃ、あのクロノって人と………………あ」


◆◆◆


《鳳凰学園‐学園長室‐》



コンコンと、小さなノックが響く。



総賢「入れ」




ガチャッと扉を開けて入ってくるのを一瞥し、この男…勇人の曾祖父である神爪総賢はその人物に書類は手渡した。



総賢「もう既に連絡は言っただろうが、お前には、新たにこの学園の学園長の座に就いてもらう。初音島の管理者も、お前に任せるとのことだ。元々お前の祖母が勤めていた役職をアイツが代理でやっていただけだからな」


総賢はそれだけ告げて、その者とスレ違いに扉を開けて、



総賢「主な必要事項はそれに記している、分からないことがあれば、勇人にでも聴けばいい。では、この学園…いや、この島を任せるぞ、鳳凰学園二代目学園長」

さくら「………………」



退出し、扉を閉めたこの部屋で、新たにこの学園長の座に就いた芳乃さくらは、窓の外に舞い落ちている桜の花弁を眺めていた。





◆◆◆


《初音島‐住宅街‐》



勇人「――あ、そういやフェイト達秋葉の家に置いてきたままだわ」( ̄▽ ̄;)

クロノ「あ…………」(゜ロ゜;





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あきゅろす。
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