MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第204話 勇人VSロア
ロア「……ハジメマシテ、と言った方がいいのだろうな、ようこそ"魔神"。君の噂はかねがね聞いている」
勇人「挨拶は不要だ、アカシャの蛇……果てる覚悟は出来てるか?」
ロア「覚悟? 君の力でも、今の私は殺せないはずだ。殺したらその方が厄介になる事は、君もよく知っているだろ? 私を殺せたとしても、もう片方の私を殺すことは出来ない」
勇人「さて、どうだろうな………」
右手を前方にかざし、空中に魔法陣を展開させる。
その幾何学的な模様をした円の数がどんどん増えていき、一秒にも満たないほぼ一瞬で、28もの魔法陣を作り上げた。
勇人「果てろ」
一瞬の閃光。
この薄暗い旧校舎を輝かせ、辺りは白い光に覆われる。
魔法陣から放たれた、魔法による28の光線がロアに襲いかかった。
ロア「―――――!?」
その魔法による光線がその身に直撃し、一瞬にしてロアの上半身が蒸発して消滅した。
が、それもまた一瞬。
残った下半身からどんどん血や筋肉、骨や神経が生えていき、直ぐにまた元の姿に回復する。
ロア「ほう…今のが魔法か。確かに、魔力量と威力なら魔術を遥かに凌ぐだろう。先日、あの女を手に入れられなかったのが悔やまれるな」
勇人「……なるほど、やはり、あのときのあれはキャスターを狙っての行動か」
ロア「当然だろう、アレは神代の魔術師だ。あれだけの存在を手中におさめようというのは、当然の考えだと思うが?」
勇人「ハッ…なら悪かったな、邪魔をして」
ロア「謝罪は不要だ。元より戦力の増強など二の次で良かったのだからな」
先程の出来事などまるでなかったかのように、ロアは余裕の態度で会話をする。
勇人は、そんなロアの態度も読んでおり、特に大した反応もせずに淡々と、
勇人「リングバインド!」
ロアの身体を、拘束魔法で捕縛する。
魔力のリングがロアの身体を締め上げる。
ロア「………魔法か…だが、こんなもので私を捕らえたつもりかね?」
勇人「こんなもの、ねぇ………どこまでが“こんなもの”だ?」
不敵に笑って余裕をみせるロアに、勇人は眼を鋭くし、
勇人「レストリクトロック! ディレイドバインド! ハウンドスフィア! ストラグルバインド! 封縛! チェーンバインド! シルエットロック! フィールドバインダー! 縛道の一 塞! 縛道の四 這縄! 縛道の三十 嘴突三閃! 縛道の六十一 六杖光牢! 縛道の六十三 鎖条鎖縛! 縛道の七十五 五柱鉄貫! 縛道の七十九 九曜縛! 縛道の九十九 禁!忍法 手裏剣影分身 稲交尾籠! 凍る大地-クリュスタリザティオー・アイギス-! 紫炎の捕らえ手-カプトゥス・フランメウス-! 水妖陣! 風花旋風風牢壁-フランス・カルカル・ウェンティ・ウェルテンティス-! 魔法の射手・戒めの風矢-サギタ・マギカ・アエール・カプトゥーラエ-! 流水の縛り手-ウィンクトゥス・アクアーリウス-! 忍法 影縛りの術!」
魔法、忍術、魔術、鬼道等、様々な種類の捕縛系の術を連続で使用し、ロアの身柄を完全に拘束し、身動きを封じる。
数多の風が、炎が、水が、光がロアの肉体を姿が見えなくなるほどに覆い尽くした。
そして勇人は、懐から小さな小瓶を取りだし、小瓶の口を塞いでいる栓を抜く。
勇人「封魔の瓶-ラゲーナ・シグナートーリア-」
ロア「―――――――!?」
勇人のその言葉に、ロアはギョッとした。
自身を覆い尽くす程の数の捕縛術のせいで、その姿を観ることが出来ないが、勇人が発したその言葉には聞き覚えがあった。
その小瓶は当然、ただの小瓶ではなく、強力な魔法具。
高レベルの魔族や精霊を完全に封じ込め、無力化する魔法具。
それにロアを閉じ込めたら、もう一人の自分である遠野四季を“直死の魔眼”で殺してしまっても、それによりロアが間接的に死んでしまうことを防ぐ事が出来る。
片方が死んでしまえば、もう片方も死んでしまう。
そして転生術でまた復活。
そんな面倒なことを防ぐ為に、元々勇人がロアを完全に殺す機会を失ってしまったときのために、用意していた魔法具。
ロア「ク…ソ……っ………!?」
勇人「無駄だ。俺が出てきた時点で終わってんだよ、お前は」
捕縛魔法を無理やり抜け出そうとするが、何重にも幾重にも重ねた捕縛術をそう簡単に抜け出せる筈もなく、
勇人「封神星雷波!!」
勇人が手から発する白い雷が、ロアを覆っている捕縛魔法ごと包み込み、小瓶の中へと吸い込まれていく。
ロア「バカな…この私が…魔神相手とはいえ……こんなに…容易く……ぅぁあああアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ………――――――――」
断末魔の悲鳴を上げながら、ロアは完全に小瓶の中へ吸い込まれた。
直ぐ様小瓶の栓を詰めて、勇人はロアを完全に封印した。
勇人「やれやれ、ひとまずロアの片割れは封印出来たな………高い買い物をした甲斐はあったか」
ロアを封印した小瓶を懐にしまいこみ、
沁々と呟く。
魔族や精霊、そして下級の神なら封印してしまうこの小瓶は魔法界ではそこそこに貴重で、結構値のはる代物だ。
この小瓶1つで、日本円だと約5000万円もするのだった。
勇人「さて、と。問題は志貴のほうだな、さっさと援護に行くか」
◆◆◆
志貴「……………」
真っ暗な旧校舎を僅かに照らす、窓から射し込む太陽の光。
だが、何らかの魔術的仕掛けでも施されてあるのか、その僅かな光すらも徐々に弱々しく消えていき、旧校舎の廊下は闇に包まれた。
だが、そんな暗闇でも、志貴の眼は、眼鏡を外した志貴の眼は、しっかりと辺りを視認している。
そんな志貴の前に、
四季「……………」
幼馴染みであり、義兄弟であり、親友であり、最悪の敵が、現れた。
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