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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第207話 神城 悠希VS皇 帝





◆◆◆



《初音島‐高台‐》


亮「おらぁっ!!」


智「ちぃっ……!」



上空から殴り掛かってきた赤輝亮の拳を、杉崎智は舌打ちしつつ、危なげに跳んで回避する。


智が避けた地点に亮の拳が突き刺さり、大地が砕け岩盤が捲れ上がった。



智「どんな身体してんだ、アイツ………」


気力や魔力を纏っているわけでもなく、何か特殊な能力を使っているわけでもないのに、この破壊力。


そのデタラメな腕力に呆れた声を出しながら、智は呪文を詠唱し、手の先から水を発生させ、その水は噴水のように吹き出し鞭のようにしなっている。



智「水翔刃!!」


鞭のようにしなる水は縦横無尽に宙を駆け巡り、薄く鋭く精練された水は凄まじき切れ味で、亮を切り裂かんと襲い掛かった。



亮「チィッ………!!」


身体を反らして避けようとするが、周りを水の鞭に阻まれて避けきれない。


ズバァッ!!と、水刃の鞭が亮の肉体を切り裂く。


だが………




智「………なに?」



その身体から、人間の身体には必ず誰しも通っているはずの血が出ることはなかった。


代わりに、亮の身体からはバチバチと火花が発生している。




竜徒「亮! 大丈夫か!?」



先程まで稔と戦闘を繰り広げていた如月竜徒が、赤輝亮と合流する。




亮「問題ねぇよ、これくらい。つーか、お前こそどーなんだ?」


身体中にあちこち切り傷のようなものがあり、竜徒の服はボロボロである。


血が出ていないところを見ると、傷は肉を斬るまでには達していないようだが。




竜徒「僕は退魔戦闘が主体だからね。あーいうのはちょっと………」


喋っていると、稔も智と合流したようで、彼女の傍らに空から降りてきた。


………全身がまるでロボットのような出で立ちで。



亮「……なんだよ、ありゃあ?」


竜徒「さぁ? 僕も詳しいことまでは……」


亮「まぁ、なんにせよ……ちょいと長引きそうだな。コレ………」


直ぐに援護に行ってやると神城悠希にタンカ切ったはいいが、はたして間に合うか。


コイツらを倒した頃には、向こうの戦いも終わっていた何てこともあるのでは。


そう考えていた瞬間、



竜徒「っ!?」



いち早く気づいた竜徒が空を見上げる。


続いて、亮や智達も空を見る。


亮「………何だ?」



空から、何かの鳴き声と、膨大な魔力を発した何かが近づいてきているのを、四人はひしひしと感じていた。




◆◆◆



《初音島‐枯れない桜‐》



そこは、激戦と化していた。



悠希「銃弾魔法‐ガンズ・マジック‐! ストームブラスト!!」


帝「はっ!」



悠希の拳銃が放つ魔法弾が帝に襲い掛かるが、帝が手を無造作に振り回した瞬間、方向を代えて、悠希の方へ向かっていく。


その竜巻を発生させている弾丸を高く跳躍してかわし、銃口を帝に向ける。


だが、その拳銃の引き金が引かれることはない。


先程から今の今まで、数ある魔法弾を放っているが、どれも大した効果がなく、全て弾道が曲げられてしまう。


そしてその曲げた弾道は、全て悠希の元へと向かっていく。


このまま弾を撃ち続けても、同じことの繰り返しだ。


着地してからも銃口を帝から外すことはないが、闇雲に撃つわけにはいかない。



帝「あぁ? どーしたよ、もう終わりかぁ?」


全く傷ひとつその身に負っていない皇帝は、退屈げにそう言った。



帝「やめとけ、時間の無駄だ。お前じゃあ俺には勝てねーよ、三下。いや、誰が相手でも、無敵の俺に勝てるやつはいねぇ」


悠希「随分勝ち気だが……まぁ、間違っちゃいねーか。いったい何なんだ? お前のその力は?」


帝「教えるわけねーだろ、ボケ」


悠希「それもそうだ」


殺しあいといってもいいこの状況で、そんな呑気なことを言い合える二人を、少し離れた場所から観ている純一達は、再びやって来た突然の出来事に、ただポカーンとしてしまう。



純一「おい、神城って何であんなに強いんだよ!?」


稟「いや、俺も何が何だか………」


理樹「稟の幼馴染みじゃないの?」


稟「……確かに悠希とは小さい頃からの付き合いだけど、こんなことは今まで見たことない」


かつて起きた『闇の書事件』。


その事件で亡くした大事なモノを、もう二度と亡くさないように、悠希は政府のもとで様々な経験を積んできたことを、幼馴染みの稟達は勿論、他の誰も知らない。


いつもつるんでる面子の中で事情を知っているのは、以前起きた『世界会議襲撃事件』の際に出会した、神爪勇人くらいのものだ。


だが、当然そんなことを知る余地もない稟達は、ただ困惑するばかりである。



恭介「それより、今はこの場をどうするか、だと思うが?」


真人「どうするかって、加勢すんじゃねーの?」


恭介の発言に、さも当然であるかのように答える真人だが、



謙吾「この武器のようなものが手に入ったとはいえ、みんな疲労しきってる。俺達が行ったところで、足手まといになるだけだ」


真人「じゃあ、どーすんだよ! このまま黙って見てろってか!?」


呆れて言う謙吾に、真人が噛みついてくる。


そんな二人を制止するかのように、








「―――いや、ここは私に任せてもらおう」



透き通った声が、真人達の動きを止めた。


決して大きな声ではなかったが、確かに耳に響く、威厳に満ちた声。


ガサガサと、その声の主は茂みの奥からやって来た。




稟「あの……貴方は?」


家光「私は徳川和光。神城悠希の上司だ」






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あきゅろす。
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