MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第202話 拒死性肉体
―――鈍速の攻撃が風を切りながら襲いかかる。
鈍い故に、一つ一つは避ける事が容易い攻撃。
志貴も士郎も、伸ばされた部位を斬ったり、かわしたりしていた。
直死の魔眼で視える死の線は、土を媒介にしているアレにも有効らしく、死骸がドンドン足元に増えていく。
アルクの猛攻も凄まじく、肉体変化で鋭利な爪へ変貌したそれを驚異的な身体能力で振るい、一撃で複数の敵を土塊に変えていった。
すでに彼女たちだけでも百は倒しているだろう。
百も消えれば『減っている』と思うはずなのだが、
士郎「…っ! お、おい神爪っ!! コイツ等、本当に減ってるのか!? 全く減っている気配がないぞ!!」
勇人「……減ってねぇよ」
士郎「どうして!?」
ゴーレムを、魔術で強化した木刀で両断しながら尋ねてきた士郎に、詳しく語ってやる気は勇人にはなかった。
なぜかこのゴーレムたちは勇人のところに集中して襲いかかってきているからだ。
次々と殴り潰して土塊に変えていくが、それでも奴らの数に変動はない。
それは四季の能力を考えれば十分に予想が出来る事態だ。
四季の能力『拒死性肉体』
それは、端的に言えば、肉体を作り変える能力。
つまりは、自分の肉体を自在に操る能力と言える。
流出させた自分の血液を操ることだって出来る。
奴はこの土地に染み込んだ自分の血を土を媒介に受肉させ、再び操るといるのだ。
幾らコイツ等を殺そうと、元はただの土。土をどれだけ潰そうと斬り崩そうと、土は土に変わりない。
元の土に戻れば、また受肉させられてゴーレムとなり襲ってくる。
つまり、際限などないのだ。
眼の前のゴーレムを十体ほど潰しながら、後ろで戦っている志貴に、勇人は話しかける。
勇人「志貴、死の点は視えるか?」
志貴「あ、ああっ、 全部に視えている!!」
勇人「それを出来る限り突け、そうすれば奴の血を使ったとしても、ゴーレムの核となってる死者の魂が消滅して、もう再生しなくなる!!」
志貴「わ、分かった!」
ゴーレム達を倒すには直死での死の起点を刺す攻撃か、勇人や夜葬の力での一掃が効果的だ。
しかし魔法や能力で一掃しようにも、ゴーレムはすぐに再生してくる。
それでは魔力の無駄遣いだ。
やはり、大元である四季とロアを早々に片付けるほうがいい。
アルクェイド「勇人っ!」
同じ考えに至ったのか、アルクェイドが爪でゴーレムを凪ぎ払って道を作る。
ロアと四季を殺すことが出来るのは、"直死の魔眼"を持つ志貴と、
勇人「ま、俺しかいねぇよな」
邪魔と言わんばかりに勇人は目の前にいたゴーレムを蹴り倒し、
勇人「俺と志貴であの二人を始末する! お前らは被害が広がらないように、ゴーレムを押さえててくれ!」
勇人の言葉に各々返事をして、
勇人「……いくぞ」
志貴「ああ!」
空いた道を、二人は駆け出し、旧校舎内へと突入する。
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