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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第201話 二つに別れた魂





ロア「クックック……それに、私の切り札は、他にもある」


ロアが歪に口を歪ませる。


それは一体どういう意味なのかを知る時間は、十秒も必要なかった。


奴の背後から、誰かが歩いて来るのが見えたからだ。


アレは……




志貴「四……季…?」




震える声帯から絞り出す様に声を出し、志貴がその名を呼ぶ。


―――アレは遠野四季である。





四季「よお…久しぶりの顔見せだな、志貴」




……ありえない。


魂に憑依しているのだから肉体は一つ。それは絶対的にして不変だ。


だが、現実を見よう。向かい合っている二人は確かにロアと四季。


本来、『1』の彼らが別れている。


こんな事が起こるわけがない。しかし、それでは眼の前の奴はなんだ?


もう一度視てみるが、やはり幻覚などではなく、アレは実体。


では、何故、どうしてこうなっているのか。


人形を作って…ではない。そんな精巧な人形があっても、一になりかけている魂を二つに分けるなんて出来るわけがない。


聖杯なら可能だろうが、聖杯はまだ現界していない。


なら、他に何か神秘が……
















勇人「―――…枯れない桜に願ったか?」



志貴達『!?』


夜葬「来たか………」



この場に現れた新しい気配に、皆が目を向ける。


現れたのは、この学園の生徒のトップに立つ男。



神爪勇人。


そしてその後ろには、数人の魔術師とサーヴァントが並んでいる。





聖杯の如く願いを叶えるものがこの町にはある。




夜葬「やはり…枯れない桜か……」


ロア「ああ、あの桜は便利だな。真摯な願いなら、どんな願いでも叶えてしまうのだからな」


勇人「叶える相手くらいは、選別してほしいもんだな……」


問題は奴の叶えた願いだ。


ロアは枯れない桜に何かを祈った。


しかしロアの願いが『個としての肉体を持たせる』なんて感じの願いではないだろう。


では、何なのか。


それは間違いなく、ロアの言うところの切り札となりえるもの。


ロアの余裕はそれがあってこそのものだ。




ロア「クックックック…流石の魔神も、俺がどんな願いをしたのかは分からないらしいな。では、教えてやろう!」


笑みを浮かべたロアと四季を視ていたが、その変化が起きたのは地面だった。


微かだが、地響きを感じ視線を向ける。


土が幾つも山のように盛り上がり、そこから何かが形成されていく。


凜「土人形-ゴーレム-……!? しかもこれだけの数を…」


勇人「違うぞ、遠阪凜…これはゴーレムじゃねぇ。それぞれに魔力回路が視える。これは生きてる」


士郎「い、生きてる!? どういう意味だよ!?」


勇人「そのままの意味だ、アレは生きてる。いや、生きていた、と言うべきか」


セイバー「生きていた?」


キャスター「……そう、なるほどね」


志貴「オレたちに分かるように言ってくれ! 結局、アレは何なんだ!?」


セバスチャン「……アレは、奴の犠牲者です」




志貴と士郎が口を開いて眉を顰める。


どうやらわけがわかっていないらしい。


しかしこれは現実だ。


奴に従う存在はそれしかいない。この地は奴の食屍鬼の血肉が染みついている。


大地に染み込んだそれを使役し、土を媒介に受肉させているようだ。


つまり命を持った土。


それを操るのは、今回の転生先の肉体、遠野四季の能力。



勇人「……厄介だな」


アルクェイド「…そうね」


志貴「どうしてだ? 結局は死者と変わらないんだろ? 全部片付ければ2対9。戦況は大して変わらないだろ?」


勇人「変わってる……おそらく、ロアの力が奴等を二つに分ける要因になっている。つまり、奴の元々持っている魔術師の力も、そして魂が一つになりかけていた事によって四季の魂も奴に近いものになっている」


志貴「…それって…」


アルクェイド「アナタの幼馴染はすでに、ロアと同じ魂に組みかえられている、ということよ。それに加えて、片方が死ねばもう片方も死ぬようになっている」


アルクの金色の瞳が、ロアと四季を凝視していた。奴らの中身を見ているのだ。


夜葬「なるほどな。喩え直死の魔眼で、片方の魂を殺したとしても、もう片方は効果での死となり、新たなロアとして転生する。本来なら命が繋がるのはリスクなんだが、アイツらにとってはリスクにならんな」


志貴「―――第二のロアってところか」


勇人「その通りだ……来るぞ!」



歪んだ笑みのまま、ロアの手が横に払われ、 ―――百にも近い数のゴーレムが動き出した。

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あきゅろす。
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