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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第181話 運命の日





◆◆◆



《鳳凰学園-観客席-》




学園の敷地内にいる者の大半が強制睡眠に陥っている中、術にかからなかった魔法教師達は、辺りに現れた武装集団を見て、




アデル「……かなりの数だな」


レオンハルト「それだけじゃない、もっと最悪な事態だ。高等部校舎の屋上を見ろ」



レオンハルトの言葉に、アデルは言われた方向へ眼を向ける。



アデル「結界魔法か」


レオンハルト「……その結界の中だ」


アデル「あれは……幽亀のユリア!?」



二人の視線の先にある結界の中には、鳳凰学園学園長と2人きりになっている人影の姿があり、そのもう1人は魔法連盟に所属している者なら、知らないはずはないと言ってもいいほどの魔導師。


ユリア・ジーニアス。


かつて、魔法界に“伝説の四賢人”と謳われた1人である。





◆◆◆




なのは「……どうなってるの?」


フェイト「急に眠気が襲ってきて……」



頭を押さえて、眠そうに眼を擦るなのは達は、今、自分の達の周りで起きている出来事に、呆然と立ち尽くす。


倒れている観客達に、管理局の魔導師ではない者達による、魔法を駆使した戦闘。


いきなりの出来事で何が何だが分からないが、とにかく何かヤバいことになっているのは確かだ。




リンディ「落ち着いて状況整理も出来ないけど、ボンヤリと立ち尽くしてるわけにもいかないわよ」


クロノ「そうだ。まずはこの場を治めないと!」


はやて「結界も張らんと戦うん!?」


クロノ「結界を展開する時間はない!! 一般人は眠っている内に、手早く済ませるよ!!」















「―――そう容易くやれるかしら? 時空管理局」


なのは達『!?』




デバイスを起動させ、バリアジャケットを身に纏い、戦闘準備を済ませたなのは達の上空から、女性の声が響いた。




フェイト「…………嘘」


アリシア「あの人は………」



その姿を見たフェイトとアリシアは、有り得ないモノを見たような眼で、その女性を見上げた。





◆◆◆




綱吉「ど…どうなってんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


リボーン「……荒れてやがるな」



眠りについてしまった沢田綱吉とその仲間をリボーンは蹴り起こす。


目を覚ました綱吉達は、周りに起きている出来事に驚愕し、リボーンは眉間に皺を寄せる。




獄寺「……どーなってんだ、一体」


山本「何か急に眠くなってきて……」


笹川「うむ! いつの間にか極限に寝てしまったのだっ!!」


綱吉「……ね、ねぇ、リボーン!! 何が起きてるの!?」


リボーン「俺は知らねーぞ」



騒ぐ綱吉に、リボーンは素っ気なく言った。そんなリボーンに詰め寄ろうとする綱吉を適当にあしらいながら、リボーンは辺りを見回し、





リボーン「………勇人が見当たらねぇな。アイツなら何か知ってると思ったんだが」



この学園に通っている古い友人に状況説明でもしてもらおうと思ったが当てが外れ、さてどうしようかと考えるリボーンの前に、





「―――貴殿らは、あのボンゴレファミリーか?」


綱吉達『っ!?』



突然、ダークスーツを纏った男達が現れる。




「魔法界戦力の偵察に来ただけのつもりだったが……ついでだ、貴殿らのボンゴレリングを渡してもらおうか」




◆◆◆




フォーベシイ「……どうやら、彼らもこの騒ぎに便乗しているようだねぇ」



WLAのような武装テロリストとは別に、魔法を使って騒ぎを起こしてる集団がいる。


『神魔連合軍』


人族との共存を反対している、神族・魔族で構成された、現神王・魔王の在り方を快く思ってない者達。




ユーストマ「まさか、お前がそっちにいたなんてなぁ……グラジオラスよ」



自分達の周りを包囲している神族・魔族の中には、ユーストマとフォーベシイの見知った顔ぶれが何人もいた。


神界・魔界の軍人達や、王族、貴族、大臣達。


高い地位にいる者もいれば、一般人のような神族・魔族もいる。




ユーストマ「WLAと組んでこんな騒ぎまで起こしやがって…戦争でもする気か?」


グラジオラス「愚問だな。人族のような脆弱な生き物と共存など、頭が腐ったとしか思えん。ユーストマよ、神界が平和になって気が緩んでるのではないか?」



この神魔連合の指揮を取っていると思われる神族の男…グラジオラスは、冷めた眼でユーストマを見下す。




グラジオラス「………貴様らにはここで死んでもらう」


フォーベシイ「そういう訳にはいかないねぇ。後でネリネちゃんや稟ちゃん達と、合流しなくちゃならないんでね」


グラジオラス「神にも悪魔にも凡人にもなれる男…土見稟。次期、神魔王候補、か。ククク………」


ユーストマ「何笑ってやがる……」


グラジオラス「貴様らが奴に会うことはない。逃げた奴等は、グロリオーサが追ってるからな」


フォーベシイ「!? 彼も神魔連合の一員だったのか!?」



目を見開き、滅多に見ないくらいに驚愕した顔を見せたフォーベシイを、ユーストマは若干驚きながらも冷静に、




ユーストマ「何なんだ? そのグロリオーサってやつは……?」


フォーベシイ「魔族以外の種族を見下している、魔族主義者……。気性が荒く、魔界では珍しく投獄されていた男だよ」



本来魔族には好戦的な者や気性が荒い者が多く、フォーベシイやネリネのような、穏やかな性格をしたものは、魔界全体の魔族と比べると珍しい。


基本的に好き勝手に生きている魔族が投獄されているというのは、非常に稀なケースである。




フォーベシイ「この場にいるのは危険だと思ったから逃がしたんだけど…早まったかな」




◆◆◆



《鳳凰学園高等部-廊下-》




彼、衛宮士郎は息を切らせながら走っていた。





士郎「クソッ、何がどうなってるんだ!?」




つい先程、彼は殺された。


今起きている騒ぎの最中に、彼は奇妙なモノを見た。


人目のつかない校舎裏で、赤と青の戦士が、互いに剣と槍で殺し合っているところを目撃したのだ。


彼は、ソレは見てはいけなかったものと感じ取り、逃げなければ殺されるということも感じ取っていた。


それから命からがら走っていたのだが、青い戦士に追い付かれ、戦士の槍で心臓を貫かれて死んだ……




………ハズだった。



しかし、何故か彼は生きていた。



しばらく気を失っていたのか、青い戦士の姿は既になく、変わりに赤いペンダントが傍らに置いてあった。


何となくそのペンダントを拾って、彼は再び走り出したのだが、





「―――全く…一日に二度も同じヤツを殺すハメになるなんてな」


士郎「!?」



先程自分を殺した青い戦士……ランサーの声が聴こえ、気がついた時には、突然目の前に現れていた。


どうやって現れたのか、いきなり空間を飛び越えて現れたようにしか見えなかった士郎は、ただひたすらパニックに陥る。




ランサー「オラ、避けんなよ!!」


士郎(どうする!?)



槍を構えるランサーに、士郎は何か武器を探すが、周りに使えそうなものはない。




ランサー「この幻術が張り巡らされてる中で起きてるってことは、お前…魔術師だな。もしかするとお前が“7人目”だったのかもしれないが、コレで終わりだ。今度は迷うなよ!!」



ランサーは槍を突き出す。


士郎にはその様子が、酷く鈍く見える。


今まで送ってきた人生が頭を過り、それが走馬灯なんだと理解した。




士郎(……死ぬ? 俺はここで死ぬのか?)




―――冗談じゃない!!





士郎(俺はまだ誰1人救えていない! 俺はまだ正義の味方になれていない!!)



右手が火傷したように熱くなるのを感じ、何か、赤い紋様が浮かび上がってくる。




士郎「俺はまだ、死ぬわけにはいかない!!」




―――視界が白に包まれた。



金属音が響き、ランサーの槍が何かに弾かれ、目の前で小さな竜巻のような風が現れた。




士郎「一体、何が………」




竜巻が晴れる。


風の中には、金髪の少女が立っていた。





ランサー「バカな!? 7人目の英霊-サーヴァント-だと!?」



少女は両の腕を振りかぶり、ランサー目掛けて振り下ろす。


少女の手は何も持っていないが、ランサーはとっさに槍を前に翳す。


すると、激しい金属音と衝撃が槍に響き、ランサーは窓を突き破って校舎の外へと吹き飛ばされた。




………一瞬の静寂。




今、この廊下には、少女と士郎しか存在しない。



少女は、廊下の床にヘタリ込んでいる士郎に振り向き、





「―――問おう。貴方が、私のマスターか?」



透き通った声で、そう聴いた。






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