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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第172話 その頃の奴等





◆◆◆



《鳳凰学園グラウンド-観客席-》




健児「―――第1回戦、勝者、剣儀烏哭!!」



試合の勝敗を決した審判の声が高らかに空へ響き、観客の歓声が沸き上がる中、




純一「………なんなんだ?」


眞子や工藤といった、いつもの面子で試合を観戦してる純一は、先ほどの勇人と同じように空を仰ぎ見る。


勇人が感じ取っていた霊圧を純一も僅かながら感知しており、奇妙な威圧感が放たれている方向へと視線を移すが、その視線の先には、ただ青い空が広がっているだけで、特に何か変わったところがあるわけではない。


魔法使いとしては“半人前”の純一は、その感じる威圧感を“霊圧”や“魔力”といった類いのものだという知識はなく、ただなんとなく肌に奇妙な圧迫感を感じ取っていただけである。


だが、





純一(……かったるい予感がしてならないんだが)




そんな知識はない純一だが、コレと同じような気配は経験済みで、その気配から感じられる嫌な予感に、深々と溜め息を吐くのであった。





◆◆◆




恭介「………………」


理樹「どうかしたの、恭介?」



空の一点にずっと視線を向けて首を傾げている幼馴染みに、理樹は訝しげに声をかける。




恭介「……ん、ちょっとな」


真人「何だよ、もうすぐ試合だから緊張してんのか?」


謙吾「緊張なんてするタマか、コイツが」


鈴「コイツにそんな神経はない」




なんて、口々に容赦なく遠慮ない仲間達の発言を、恭介は心外だと言わんばかりに、




恭介「おいおい、さすがにそれは俺でも傷つくぜ。兄ちゃん泣いちゃうぞ?」


「オーイオイオイ」とサンタを信じる子供ですら容易に看破出来そうな下手な泣き真似をしながら、恭介は鈴に抱きつきに行く。




鈴「キショイ、ウザイ、寄るな!!」



が、鈴の加減なきハイキックをモロに受け、地面に勢いよく頭を打ちダウンしてしまった。


そんな恭介を心配するように、一部の仲間は声をかけたりしてみるが、




恭介「―――――――」


美魚「……返事がない、ただの屍ですね」


葉留佳「あやや、見事に気絶してますネ」


小毬「恭介さぁん、大丈夫〜?」


クド「生きてますデスカ〜?」


唯湖「まぁ、大丈夫だろう、恭介氏なら」


古式「棗先輩、白目剥いてますが……」




起き上がりそうな気配はなく、完全に意識を失っていた。


そんな恭介を苦笑しつつ、理樹は先ほど恭介が見上げて視線を向けていた空へ視線を移す。


その視線の先には、




理樹「……なんだろ」





青かった空が、徐々に灰色に染まっていくのが見えた。





◆◆◆




ハヤテ「……雨でも降るんでしょうか?」


理樹達と同様に空を見上げるハヤテは、今夜の夕食のメニューを考えながら、三千院家で干してある洗濯物の心配をしていた。


借金返済に当てるための金を得るために武闘会祭に参加していたのだが、先ほど負けてしまい、こうして観客席で、自分の雇い主である三千院ナギの世話をしている。




ナギ「まぁ、家にはマリアもクラウスもいるんだし、洗濯物は大丈夫だろ」



ハヤテが自販機で買ってきたアイスティーを飲みながら、ナギは適当に言った。


ただでさえ外に出たがらない絶賛ニートな彼女には、この学園の催しもどうでもいいことで、外にいる今、雨とか降ったらめんどくさいなーと考えていたら、




ナギ「鬱だ、帰ろう………」


ハヤテ「Σいや、まだお祭りは始まったばかりですよ、お嬢様!?」



引き留める声を出すハヤテだが、そんなめんどくさいことにさほど興味のないナギは、来週発売する携帯ゲームのことを思いながら、サボろうと堂々と正面玄関から早退し、ハヤテもナギの後を追った。







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あきゅろす。
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