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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第167話 レオンハルトVS匿名の男?





◆◆◆



《鳳凰学園高等部校舎-屋上-》




時を遡ること、ゴールデンウィークの5日ほど前……。




屋上に、漆黒色のローブを深く被った男が、フェンス越しに下を観ていた。


その男は、武闘会祭の予選に参加していた、匿名希望の男。


男の視線には、教室で授業を受けている神城悠希と土見稟の姿が写っている。





匿名「……僕も、君たちも、厄介な人の目に留まったのは不幸だよね」




若干複雑そうな、それでいて何かを諦めきった目をしている男は、ローブのポケットから一本の解剖刀……メスを取り出す。




匿名「……………」




男は、握り締めたそのメスを…………












……―――フェンス越しに身体を向けたまま、手の動きだけで背後へ投げた。




――――パシィッ!!





と、その飛んできたメスを片手で止める男が、匿名の男の後ろに立っていた。



その男は、この学園で教師をしている、





匿名「へぇ、さすがはレオンハルトさんだ……僕の死角からの攻撃を難なく止めるなんて」



この学園きっての実力を誇る魔法教師、レオンハルト・オルティシア。


レオンハルトは、匿名の男が放ったメスを無造作に床に棄てた。




レオンハルト「貴様、確か武闘会祭の予選に出てた男だな。俺の気配に気付き直ぐに武器を構えるとは……ただ者じゃないな」


匿名「いやぁ…それほどでも……」


レオンハルト「で、うちの生徒に何の用だ……事と次第によっては、殺すことになるが」


匿名「……出来ますかねぇ」




匿名の男は、フェンスからレオンハルトへと身体の向きを変えて振り返り、不敵に笑った。




匿名「あなたごときに、僕が殺れますか……?」


レオンハルト「上等だ、ブッ殺すぞクソガキ」




匿名の男は再びメスを取り出し、レオンハルトは銀色に光る拳銃をスーツの懐から取り出す。





レオンハルト「で、貴様は誰だ? 名は? 大人しく答えろ」


匿名「……嫌だと言ったら?」


レオンハルト「質問してんのは俺だ」



鈍く、銀色に光る拳銃の銃口を男に向け、いつでも発砲出来るように、レオンハルトは引き金に指をかける。


そして匿名の男を静かに睨みながら、





レオンハルト「貴様は……ヴァルドールと繋がってるのか?」




レオンハルトが発した人物の名前を聞き、嘲笑を浮かべる男。





匿名「今ここで僕を捕まえたら、ヴァルドールとの繋がりを証明出来ないかもよ? 泳がせとけばその内分かるだろうから、今回は見逃してくれないかなぁ?」



なんて笑いながら言った男に、レオンハルトは肩を竦め、




レオンハルト「……我が儘なガキだな、お前」



酷く、ドスの効いた声を発しながら、





レオンハルト「……大人をあんまナメてんじゃねーぞ、ガキが」



その身に宿す魔力で、屋上に威圧感を振り撒きながら、拳銃のグリップを強く握り直した。





匿名「……やっぱり素直に帰してくれないか」



「でも………」と、匿名の男は口にし、その直後。





匿名「あなたの、その右目の神眼。どうやら神爪の一族ほど巧くは使えないようですね。僕の術に気づけないなんて」




………匿名の男は、陽炎のように揺らめき、その姿を消してしまった。





レオンハルト「何っ!?」




直ぐ様辺りを見回し、周囲の気配を鋭敏に察知してみるが、既に匿名の男の気配は完全に消えてしまっていた。





レオンハルト「……逃げられたか」




特に気配と姿を消して攻撃してくるようなこともなかったので、レオンハルトはそう判断した。





レオンハルト「何だったんだ、術とか言っていたが、分身の類いか……右眼を使ってないとはいえ、俺の眼を欺くとはな………」




結局明確な正体も掴めずに逃がしてしまい、重い息を吐くレオンハルト。


実力もハッキリとは解らなかったが、レオンハルトの眼を欺くのは決して容易いことではない。


彼は、魔法界ではそれほどの実力を持つ魔導師だ。





レオンハルト「もし今の男がヴァルドールの下にいるとなると、俺もこのままじゃあな……」







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