MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第164話 武闘会祭前
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『悲しみを優しさに』
◆◆◆
《鳳凰学園-グラウンド-》
ゴールデンウィークが明けて、約2週間ぶりに始まった学園生活。
長い休日だったが、そんなことはお構いなしに、学校行事は進んでいく。
この鳳凰学園には、年に三回の体育会がかり、それぞれ1学期ずつ行われる。
一学期に『球技大会』
二学期に『体育祭』
三学期に『マラソン大会』
この3つの体育会が毎年行われ、今日は午前中に球技大会があり、午後からは鳳凰武闘会の本選が行われる。
既に勇人達は午前の球技大会を終わらせ、午後から始める鳳凰武闘会の準備を進めていた。
勇人「……いよいよだな」
一般の参加者にとっては賞金がかかった大会。
魔法使いにとっては、自分のClassを上げるための大会。
そして裏の魔法使いにとっては、自身のランクを上げるための大会でもある。
更には各国の御偉いさんや、政府・軍の役人達が集まり、人族・神族・魔族の公式戦闘という滅多に観られないものを撮るために、テレビで全国放送するという、結構デカイ大会なわけだ。
神王や魔王が関わっている時点で、普通の大会でないのは確定なんだろうが。
魔王「やぁ、勇人くん」
神王「ここにいたのか、勇人殿」
グラウンドの端に設置されているテントの生徒会専用の席にいた勇人に、神界と魔界の王が揚々とやって来た。
そんな2人の王に勇人は真面目な視線を向け、続いて校舎の屋上へ視線を移す。
勇人の視線を追うように、2人も校舎の屋上に視線を向けた。
視線を向けたその校舎の屋上には、真っ白なスーツを着た黒髪長髪の男が、屋上のフェンス越しからグラウンドを見下ろしている姿があった。
神王「………なぁ、勇人殿」
神王の言葉に、勇人は小さく頷く。
勇人「ああ、あの男が俺のひい祖父さんであり、裏の魔法使いを束ねている総合魔法連盟の総帥……神爪総賢だ」
まだゴールデンウィークに入る前の日に、勇人は神王と魔王に、ある頼まれごとをしていた。
それは、勇人のひい祖父さんであり、裏の魔法使いを束ねている男に会わせて欲しいというものであった。
勇人は事前に総賢へ連絡を取り付けて、会ってくれるよう頼んでみた。
そして、会ってもいいと返事を得たので、2人を総賢に会わせるように、人気がない屋上へ来て貰ったのだ。
勇人「俺はここまでだ。悪いが、後はお前ら次第だぜ?」
魔王「わかってるよ、わざわざすまなかったね」
神王「そんじゃあ、早速会ってくるか。武闘会開始には、席に着いてなきゃいけねーからよ」
総賢がいる屋上へ向かうため、校舎に入ろうとする2人に、
勇人「ああ、先に忠告しておく」
最後の念を押すように、普段の飄々とした表情など失せて、心底真面目な声色で、
勇人「あの爺は俺ほど優しくはねぇからな。気をつけろよ」
と言った。
魔王「ああ、わかってるよ」
まるで歯牙にもかけていないかのように、全く気を負っていない。
人族最強級の魔法使いに会いに行くのにも関わらず。
それだけの踏んできた場数と自信があるからなのであろうが、2人が総賢に今から持ち掛けようとしている話を、簡単に通ると思っている。
陽気に校舎内へ入っていった2人の王を見送り、その姿が見えなくなって、
勇人「……お前らは地球と人間を甘く見すぎなんだよ」
勇人は、後は勝手にやってろとばかりに、もう2人から関心を外していた。
そんなことよりも気にかかることがあるからだ。
勇人「……やな風が吹きやがる」
この武闘会で、危惧していたこと以上の何かが起こると、そんな予感がしてならなかった。
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