MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第163話 ギターのフィルム
◆◆◆
《鳳凰学園-軽音楽部部室-》
ゴールデンウィークも今日で最後、生徒会業務を片付けた勇人は、今日は部活に顔を出していた。
と言っても、澪達も今日まで部活動を行ってはいなかったが。
そして今日は、ゴールデンウィーク初日に唯が買ったギターの御披露目である。
新品でまっさらなギターを肩からかけて持ち構える唯を見て、勇人達は「おおーっ」と声を出してパチパチと拍手を送った。
澪「ギター持つとそれらしく見えるな」
勇人「あくまで見た目だけだがな」
律「ねぇ、何か弾いてみてよ!」
唯「…………………」
律の期待に応えるため、唯はギターの弦を鳴らして音を発てる。
チャラリ〜ララ〜チャラリラララ〜〜………♪
なんて、間の抜けた音が唯のギターから発せられた。
某有名なあの音楽。
律「Σチャ●メラっ!?」
随分器用なマネをする。
澪「唯、家でギターの練習してないの?」
律「家じゃほったらかしなんじゃないの?」
唯「Σそ、そんなことないよーっ!!」
訝しげに見てくる2人に、唯は心外とばかりに声を上げた。
唯「すっごい大事にしてるんだよ? 埃が付いたら拭いたり、鏡の前でポーズとってみたり、添い寝したり、写真撮ってみたり、ボーッと眺めてて1日が終わっちゃうなんてこともしょっちゅう……」
勇人「いや、弾けよ」
うっとりと溜め息を溢しながら語る唯に、勇人はジト目で突っ込みを入れる。
他のみんなも内心勇人と同様の思考をしているだろう。
そんなみんなの視線に、唯は取り繕うように、
唯「いやー、ギターってキラキラピカピカしてるから、なんか触るのが怖くて」
澪「ああ、わかるわかる」
誤魔化す唯に賛同するように、澪もウンウンと頷いてみせた。
そして唯のギターに目をやると、思った通りギターのフィルムも剥がしていない。
勇人「……唯って携帯のディスプレイに貼ってあるフィルムも剥がしてないだろ?」
唯「Σすごい!! なんでわかったの!?」
勇人&澪『いや、なんでって……』
多分、今の会話を聞いたら誰でも同じことを言うだろう。
そんな真新しいギターのフィルムを見て、律はなんだがウズウズして、
律「えーいっ!!」
フィルムに指をかけ、勢いよく剥がした。
唖然とするみんな。
唯は、律に剥がされたフィルムを見つめ、泣きそうな顔になってしまう。
律「な…なーんちゃってー……」
などと言ってみるが効果はなく、唯は部屋の隅で膝を抱えてグズグズと泣いてしまった。
勇人「律が唯を泣ーかしたー」
律「Σばっ、な、泣かしてねーよっ!!」
勇人の言葉に律は反抗するが、泣いたままの唯に慌ててかけより、
律「ど、ドンマイっ、気にすんなって! いつかは剥がれてしまうんだし、それが今だったってだけで……あー、ほら、後で飴でも買ってやるから、泣き止めって、な!」
色々言ってみるが、唯は一向に泣き止まない。
というか、
勇人「律は潔いのかどうか分からんな」
澪「まず謝れよ」
律「ご、ごめんなさいっ!!」
……その後、紬の持ってきた高級洋菓子を食べさせたことで、機嫌の治った唯であった。
イメージED
『疾走』
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