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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第162話 鳳凰学園の部活





◆◆◆



《鳳凰学園-クラブ棟-》




もうすぐゴールデンウィークも終わり、休日が終わったら直ぐに武闘会祭やら球技大会やら清涼祭やら中間テストやら林間学校やらの学園行事が立て続けにあるので、今のうちに生徒会業務を終わらせようと、ゴールデンウィークのこの休日に態々勇人達は集まっていた。






鳳凰学園のクラブ棟には、わりと得体の知れない部室が多い。




勇人「風見学園やバーベナ学園が基盤になっているが、鳳凰学園として合併して開校したのは今年からだからな」



と、この学園の生徒会を纏めている生徒会総会長の神爪勇人は言った。





勇人「合併前から元々あったクラブはそのままなんだが、鳳凰学園になってから学校の活性化をはかるという名目で、わけの分からないクラブが乱立してしまってな」


ことり「そうなんですか」


と、勇人の言葉に頷いたのは、同じく生徒会に所属する生徒会副会長の白河ことりである。





ことり「でも、勇人くん。本館にあるクラブはそれなりにまともだと思いますけど……」


勇人「だから、この別館のクラブ棟は奇想天外なクラブの巣窟になってんだよ」


ことり「……なるほど」


勇人「……ホント、この学園はカオスだな」



いいながら勇人は、心底面倒くさそうな憂鬱気味な表情を浮かべて、前方に伸びる廊下を見やった。



無機質な鉄の扉だけが延々と並ぶ廊下。


本館が影になっていて、窓からも光が射し込まない。


明らかに薄暗い。


いや、薄暗いどころか、道の遥か先は完全に暗闇である。


雰囲気は完全に安手のお化け屋敷だ。


いや、むしろ地獄への入り口か。


そんなことを思いながら、勇人は溜め息を吐いた。


面倒くさいこと極まりないといったその手には………





大きなバケツと真新しいモップ。


隣にいることりも似たようなものだ。


違いがあるとすれば、ことりが制服の上から律儀に花柄の可愛いエプロンを着けているのと、断固拒否した勇人が申し訳程度にゴム手袋をはめていることくらいだろうか。




勇人「ゴールデンウィークのうちに、片付けられる仕事は片しとかねぇとな」


ことり「……でも、私と勇人くんだけでこのクラブ棟を掃除するのは、無理があるんじゃあ」


勇人「ルルやイヴ達には、こことは違うクラブ棟の掃除をさせてる。人手が足りねぇんだから、しゃあねーだろ」



ちなみにこの学園には100以上のクラブが存在し、ここ以外にもクラブ棟は存在している。




ことり「リトルバスターズの皆さんは、協力してくれなかったんですか?」


勇人「もう既に協力してくれてる。それでも尚、人手が足りねぇんだ」



勇人の溜め息を吐きながら言った言葉に、ことりは苦笑しながらも、前向きに楽し気に言った。




ことり「まぁ、面白そうではありますよ。廃部になったとはいえ、この学園には面白い部活が多いですし」


勇人「そうか、俺は激面倒くせーよ」



鬼が出るか蛇が出るか。


いや、鬼や蛇ならまだ可愛いものだ。


ただでさえブッ飛んだ奴等が多いこの学園の部活。


とてもマトモなものがあるとは思えない。


勇人はそう思うのだ。




◆◆◆



ことり「最初は何の部活なんですか?」


勇人「……七転八倒同好会」


ことり「なんですか、その部活」


勇人「文字通り、七回転んで八回倒れる部活動だそうだ。この部活の活動に勝利の文字はなく、敗北主義と負け犬根性がポリシーだとか」


ことり「……………」


勇人「確か、部屋の中には一定の高さに異物が侵入するとセンサーが感知して、軍事用のトラップにも使われている錬金術で錬成された水撃銃が放たれる仕組みだったな。だから常に負け犬の如く、俯きながらでしか動けなくなってな。部室にそれを設置したはいいが、解除出来なくて怪我人が続出したために廃部になったとか」


ことり「……なんで学園の部室に軍事用のトラップが」


勇人「ま、この学園の生徒だからな」


ことり「その一言で全て片付けられるのもどうかと思うっす…」


勇人「ま、次の部室に行くか」


ことり「えーと……この部屋の掃除はいいんですか?」


勇人「………本気で言ってるわけじゃねーよな?」


ことり「………あはは」



勇人の言葉に苦笑で返すことりは、特に否定せずに、次の部室へ向かう勇人に付いて行きながら、聞いた。




ことり「次の部活はなんなんですか?」


勇人「………………」


ことり「………………?」





















勇人「………爆弾愛好会」


ことり「………………」



奇妙な沈黙が2人を包む。


勇人はジト目で言った。




勇人「……なぁ、ことり」


ことり「…………なんですか?」


勇人「もういっそこの建物を木っ端微塵に粉砕して、一からクラブ棟を建てた方が時間も労力もかからないと思わないか?」


ことり「…否定はしないっす」







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あきゅろす。
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