MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜 第152話 運命 ◆◆◆ クロノ「………それで?」 既に夜が明けて、眩い朝日が城の窓から射し込み、部屋を明るく照らす。 そんな会議室のような場所に座っているクロノ・ハラオウン提督は、眉間にシワを寄せながら、 クロノ「……またしても、厄介事が地球で起きたと」 勇人「ま、AMFの技術が使われてたんだ。管理局も無関係に出来る事じゃねーだろ?」 クロノ「それはそうだが……」 確かに無視出来る事件ではない。 だが、時空管理局の管理外世界で『PT事件』『闇の書事件』に続いて、またもや事件が起きるのは、管理局に所属するクロノには頭の痛い話だった。 WLAが退却したあと、時空管理局本局から戻ってきたクロノやリンディに、勇人は状況を説明し、アースラでこの無人島に来てもらった。 クロノ「地球のテロ組織にAMFが使われていたのも気にかかるが……君の報告にあったアレは、どういう意味だ?」 勇人「どうも何も、言葉通りの意味だが」 クロノ「……数年前に現れた“聖杯”とやらと似たモノなのか?」 勇人「……ま、厄介さというか貴重さで言うなら、聖杯よりもランクは上だな。冬木市に現れたアレは、レプリカなわけだし」 クロノ「……………はぁ」 勇人が状況説明の際に、クロノとリンディに話したこと。 それは、稟が解いた封印や、アリサとすずかが身に纏っていたモノについてだ。 今なのは達や、今回の騒動に巻き込まれたモノ達は、この事件やら管理局やらのことの説明を受けるため、リンディに別室で話をしている。 幸いにも事件に巻き込まれず、部屋でグッスリと寝ていた者達は、セバスチャンがリビングで朝食やお茶をもてなしていて、今この場にいるのは、勇人とクロノの2人だけである。 そして、アリサ達が身に纏っていたモノについてだが…… クロノ「世界創世に関わった神具……そんなブッ飛んだ話を本気で信じろと?」 勇人「以前、お前ら管理局が首突っ込んだ聖杯戦争で既に経験済みだと思うが、地球って世界は、他のどんな世界にも無い“特異”さがあってな」 クロノ「……聖杯と似たようなモノ、ということは、また管理局が保護しに行くような事は出来ない、か」 勇人「そうだ。お前ら管理局がロストロギアと呼ぶモノとかの大半は、人が使っているものだが、アレらは違う。アレらは持ち主を選ぶ。その持ち主以外の者には扱えんし、そもそも封印も解けなかった」 クロノ「今まで僕達に度肝を抜いてきた君でも解けない封印を解いたのが、彼か………」 勇人「ああ、封印の魔法陣に刺さっていた、鍵の役割を果たしている“テスタメンツ”を抜いたのは、土見稟だ。奴も適合者だよ」 クロノ「……検査の結果、彼は普通の人間だったが。魔力も並みの人間以下……犬並みだったぞ」 勇人「魔力はな……。特に目立った能力もないし、錬金術に優れてるわけでもない。体力や身体の頑丈さは人並み以上だが、それ以外は普通の人間と何ら変わりはない」 クロノ「……そんな一般人が、君が解くことの出来ない封印を解いたのか?」 勇人「何も、魔力や特殊能力-レアスキル-だけで全てが決まるわけじゃねぇ。何でも魔力ランクやレアスキルとかで測るのは、お前ら管理局の悪いクセだ」 眉間にシワを寄せるクロノに、勇人はポケットから煙草を取り出し、発火能力で煙草に火を着けて、紫煙を吹かしながら言った。 そんな勇人の言葉に、クロノは今まで地球や勇人に関わって来た事件を思い返し、否定出来ないと首を振る。 勇人「そろそろリンディが説明を終えた頃か……」 部屋の壁に掛けてある時計に目を向ける。 時刻は既に午前10:00。 勇人「そろそろ行くか。あんまり長く大勢不在だと、巻き込まれずにいた奴等に怪しまれる」 クロノ「結界も張らずに魔法戦や銃撃戦をしておいて、よく目を覚まさなかったな……」 勇人「防音の結界は、各部屋事に元々施してたからな。五月蝿い奴等が多いからよ」 クロノ「……確かにな」 主に神界・魔界の王の姿が頭に浮かび、クロノは深々と溜め息を吐きながら、部屋を出る勇人に続いて、部屋を出た。 [*前へ][次へ#] [戻る] |