MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第145話 AMF-アンチ・マギリング・フィールド-
◆◆◆
ルルーシュ「……なるほどな」
ルルーシュの両目が赤く光り、瞳には翼を描いたかのような紋様が浮かんでいる。
『ギアス』
この世界では勇人とルルーシュが持つ特別な力。
相手にどんな命令をも下せる絶対遵守の力。
その力を使って、侵入してきた『WLA』を操って必要な情報を入手していたのだ。
ルルーシュ「よし、お前は次の指示を与えるまで待機しろ」
「yes,my lord」
WLAの男に待機指示を出し、ルルーシュは城内の廊下を駆け抜ける。
ルルーシュ「富豪の娘と王女の誘拐、並びに両王の抹殺か……」
さっきの男から聞き出した情報でWLAの目的を知り、
ルルーシュ「勇人のやつ……何で城に警備を配置しないんだ」
侵入されて当たり前。
友人の雑さに溜め息を溢す。
―――ドゴォォォン!!!!
ルルーシュ「何だ?」
爆発音が轟き、城が少しばかり揺れる。
爆発音は城の外側から聴こえてきて、ルルーシュは窓の外を見た。
ルルーシュ「……あれは」
◆◆◆
なのは「誰なんですか、貴方達はっ!?」
城の外側、壁が破られた城の外から侵入してきた男達に、デバイスを向けて呼び掛けるなのは達。
既にバリアジャケットを身に纏い、非戦闘員であるアリサとすずかを後ろに下がらせ、戦闘体勢を取っている。
「あれがデバイスとバリアジャケット……」
「では彼女達が『時空管理局』なる組織のものか」
「おい、アレを出せ!」
『WLA』の連中が、ポケットから何かを取り出す。
それは鉄のブレスレットのような形をしていて、WLAはそれを腕に付けた。
はやて「なんや、アレ……?」
訝しげにソレを視るはやて達。
WLAが付けたブレスレットがカチリと鳴り、連中は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、
「突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
男の掛け声で、WLAのみんなは城内へ侵入しようと、なのは達に突撃をしかけた。
なのは達も襲い掛かってくる敵に対して、迎撃するため魔法を打ち出す。
当然、相手を死に至らしめないようにするため、非殺傷設定にしてある。
なのは「ディバィン……」
フェイト「サンダー……」
2人のデバイスの先端に魔力が収束され、
なのは「―――バスタァァァァァ!!!!」
フェイト「―――レイジィィィィィ!!!!」
魔法が発動することなく、収束されていた魔力が「ボスッ」と音を立てて、霧散した。
なのは「えっ!?」
フェイト「魔法が……」
はやて「発動せぇへんっ!?」
凡ミス?
否、素人ならともかく、なのはもフェイトも一流の魔導師。
時空管理局でもエース級に分類される彼女達が、自身の得意としている魔法の発動を失敗することなどありえない。
ヴィータ「どうなってんだよ、いったい!?」
シグナム「分からん。少なくとも、魔力を失った訳ではなさそうだが……」
ヴィータ達も魔法を発動させようと試みるが、魔力が途中で霧散してしまう。
アリシア「もしかして、コレって“AMF-アンチ・マギリング・フィールド-”?」
ヴィータ「おいおい、相手は地球の人間だろ!? AAAランクの魔法防御を何でコイツらが!?」
アリシア「それは分からないけど……」
リイン「だが、奴等があの妙な腕輪を着けてからこの状態になったんだ。他に理由らしいものが見当たらない」
『AMF-アンチ・マギリング・フィールド-』
フィールド系の防御魔法の一種。
AMFはフィールド系ではかなり上位に位置し、そのフィールド内にある魔力の結合を消されてしまうのだ。
魔力攻撃オンリーのミッド式魔導師は咄嗟には手も足も出ず、ベルカ式でも並みの使い手なら威力増強は武器の魔力に頼っている部分が多い。
飛行や基礎防御もかなり妨害され、並みの魔導師は太刀打ち出来ない。
シグナム「仕方がない。テスタロッサ達は月村とバニングスを連れて外へ逃げろ」
フェイト「シグナム達だけでやるつもりなの!?」
ザフィーラ「ベルカ式である我らなら、魔法無しでもある程度は戦える」
ヴィータ「お前らミッド式じゃ、こんな屋内じゃ手の打ちようがねーだろうが。城ブッ壊しすぎたら勇人に殺されるしよぉ……」
なのは「そっちのほうが厄介だよね……」
リイン「AMFの中でも戦える者はこのまま行くぞ!」
アリシア「なのは、フェイト、アルフ、シャマル、はやて、ツヴァイはアリサとすずかを連れて外に逃げて!」
なのは「って、アリシアちゃんとリインフォースさんとイヴちゃんは戦えるの?」
イヴ「……大丈夫」
リイン「魔法無しでも戦闘手段はある」
アリシア「勇人に鍛えられてるからね」
苦笑気味に応えるアリシア達にこの場を任せ、なのは達は非戦闘員であるアリサとすずかを連れて、城の外へと走って行った。
◆◆◆
雄二「ぐぁっ!!」
向坂「っ痛ぇぇぇぇぇ!?」
みんなが集まっていた、城の外である森の中。
その深い森の中から飛んできたトランプが、坂本雄二と向坂雄二の身体に突き刺さった。
それは本当にトランプのカードなのかと問いたくなるような切れ味で、人間の肉体に突き刺さっている。
恭介「何だ!?」
トランプが飛んできた方向に目を向ける。
するとその方向から人影が浮かび、カードをシャッフルするような音が聴こえてくる。
唯湖「………誰だ?」
何処から取り出したのか、模造刀の切っ先を人影に向けて問い掛ける唯湖。
陰にしか見えなかった人影が月明かりに照らされて、その人影が明らかになる。
ウィラード「くくくく♪」
まるで、サーカスのピエロのような風貌をした細身の男、ウィラードがトランプを切りながら愉しげに歩み寄ってきた。
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