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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第144話 テロリスト





◆◆◆




静雄「……で? いったい何なんだ、テメェらは?」



額に青筋を浮かべ、血塗れに倒れている男の髪を掴んで、持ち上げて静雄は言う。




「…ぁ……が…っ………」



うめき声を上げる男の顔面がボコボコに腫れ上がっていて、もう整形が必要なんじゃないか?という位に顔が変形している。


恭介の誘いを断って、静雄は友人である新羅に付き合って娯楽室に向かっているところだったが、向かっている途中で武装した男達が襲いかかってきたので、返り討ちにしたのであった。


地に横たわり、倒れている男達は、




「あ、ありえねぇ………」

「何でナイフ刺しても2mm位しか刺さらねぇんだよ……」

「銃弾食らって立ってるし……」



などと呻いていた。


男達は静雄に銃弾を撃ったりナイフを刺したりしたがあんまり効果がなく、太ももに当たった銃弾が1〜2cmほどめり込んで出血している程度である。


まぁ、静雄の頑強な肉体だからこそ、この程度で済んだわけだが。





新羅「この人達、たぶん『WLA』じゃないかな……?」



ただ呻き声を上げる男達を見て、喋らない男達の変わりに、新羅が静雄に応える。




静雄「『WLA』ってーと、アレか? 最近ニュースに出てる……」


新羅「うん。地球から神族や魔族、月人を追い出そうとしている地球人主義者。異世界人達と共存しようとしている政府をも敵に回している、テロリスト」




『WLA』


別名『地球解放連合軍』



世界各国の元軍人、軍需産業会社やマフィア等々、食い潰した戦争屋達が集まった、世界規模で活動しているテロリスト集団。





静雄「何でテロリストがこんな無人島にいやがんだ?」


新羅「……たぶん、シアちゃんやネリネちゃんを狙って来たんだと思うけど」



「…へ…っ…へへ…へ…っ……」



と、倒れている男達の内の1人が、口元を歪ませ笑う。




「お前ら……俺らに手ぇ出して生きてられると思うなよ? 目的の奴等以外は、拉致った後で適当に解放してやろうと思ったが、もう遅い! テメェら纏めて皆殺しだぁぁぁぁぁぁぁ!! ふははは――――――Σぐべゃっ!?」


静雄「死ネ」




負け惜しみの高笑いを上げていた男の頭を、静雄は鬱陶し気に踏み潰した。


男を黙らせた後、静雄は踵を返し、




新羅「って、何処行くの?」


静雄「取り敢えず勇人の執事呼んでくる。コイツら、このままにしておけねーだろ」


新羅「……他にも侵入者は居るかな?」


静雄「居るんだろうなぁ、勇人がもう狩り出てんのかもしれねーけど……」



静雄は首を傾け、コキッと鳴らし、




静雄「クラスメイトを拉致するって聞いちまったら……行かなきゃならねーよなぁ?」



キレてる…とまではいかなくとも、爆発前の火山のような静けさを、静雄は今纏っていた。


WLAの人間を見かけたら、片っ端から殴り倒すつもりなのだろう。


怒りを内に秘め、歩き出す静雄に、





新羅「やれやれ」



と呟きながら、新羅も静雄の後に続く。


こんな面倒なことになるんなら、仕事でこの旅行に誘えなかったセルティと一緒に、自宅に居るか、もしくは無理矢理にでも連れてくればよかったかなぁ、ということを考えながら………






◆◆◆




杉並「……真夜中の孤島にテロリスト襲来、か。ミステリーだな」


臨也「テロリストのどの辺りがミステリーなんだい?」



杉並のいつもの馬鹿な台詞に、臨也は手でナイフを遊びながらツッこみを入れる。


2人の足下には、静雄やC.C.のもとに現れたテロリストと同じ格好をした男達が倒れていた。





「こ、コイツら、バカ強ぇぇ……」

「なんで俺らが、ガキ2人に……」



臨也がナイフで切り裂いたと思われる箇所から流れ出る、血を手で押さえて出血を塞ぎながら呻く男達。


この2人にとっては、武装した素人臭い軍人程度の相手をするのは、楽なものだった。





杉並「しかし妙だな。両陛下や王女達は確かに居るが、どうやって調べたんだ」


臨也「調べようと思えば調べられるだろうけど、この旅行が決まったのは昨日、それに移動に使ったバスや船は全部勇人や両陛下の私用だ。外部から調べるのは難しいだろうね」



まぁ、この2人なら容易にやってのけるだろうがな。




杉並「偶々シア嬢やネリネ嬢達を見つけて追い掛けて来たとは考えにくいし、急に決まった旅行を計画的に狙って襲撃しに来たとも考えられない、ということは……」



杉並がその先を言おうとした時、コツッと足音が廊下に響いた。


その足音に視線を向け、





杉並「おう、調べはついたか?」


田端「………全て吐いた」



ゴトッ、と田端の手からテロリストが床に転げ落ちた。


必要な情報を入手するために、田端がテロリストに尋問していたのだ。





杉並「で、どうだ。俺達の予想通りだったのか?」


田端「……………(コクリ)」


臨也「やっぱり『神魔連合』から情報を受けてた、か」




『神魔連合』



人間との共存を否定している神族・魔族の貴族や軍人で結成された、反地球のテロ組織。

ユーストマやフォーベジイの今のやり方を快く思っていない者達の集まりでもある。

そして一体誰が『神魔連合』なのか、明確に誰かとは分かっていない。

神族や魔族の王家にも、神魔連合に賛同する者はいて、誰が神魔連合に所属しているかはユーストマやフォーベジイにも全ては知らず、物的証拠もない。

今回の襲撃の件は、神王や魔王の身近にいる者がWLAに情報を流した可能性がある。





臨也「まぁ、神族・魔族を地球から追い出そうとしている『WAL』と、人間との共存を否定している『神魔連合』の利害は一応一致してるからね。手を組んでいるかどうかまでは解らないけど……」


杉並「まぁ何にせよ、面白くなってきたな」


臨也「……ああ、確かにそうだ」



「ククク……」と不気味に笑う杉並と臨也を眺めて、田端は静かに溜め息を吐き、肩を竦めるのであった。






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あきゅろす。
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