MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第138話 殺人鬼
◆◆◆
勇人「……………?」
勇人はふいに、海岸付近に存在する森に目を向ける。
何者かの気配を感じ取ったのだが、それはほんの一瞬で、既に気配は消えてしまっていた。
勇人(…今なんかいたと思ったんだが……野生のモンスターでもいたのか?)
脳内で勝手にそう結論付けて、
純一「おーい、何やってんだ、勇人ー!!」
キキョウ「アンタもさっさと参加しなさーい!!」
と、離れた砂浜に作ってあるビーチバレーのコートから呼ぶ皆の声に、
勇人「おう、今行く」
勇人も皆が遊んでいるビーチバレーに、参加することにした。
◆◆◆
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」
深い森の中、男の断末魔の叫び声が響く。
その叫び声を上げた男は、膝を地面に着いて蹲っていた。
肘から下が無くなった、自分の両腕に視線を向けながら……
ウィラード「あーら不思議、腕が消えちゃった。タネも仕掛けもございません♪」
「う、腕が…おぉオオォぉおオれレのオオぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
腕を消された男の周りにいる仲間達は、そんなウィラードに近づかないように距離を置いた。
ウィラード「君、さっき何て言ったのかな……?」
「っ!?」
ウィラード「何か勘違いしているみたいだけど、僕は別に君達の下についたわけでも、君達の組織『WLA』に入ったわけでもないよ。君達とは仕事の関係で組んでるだけだからね」
その両手で無数のトランプを弄びながら、
ウィラード「君達の目的や手段も僕の知ったこっちゃないけど、あの魔神は僕の獲物だよ。まぁ、君達程度が仕掛けても返り討ちにあうのがオチだろうけど、もし彼を狙うなら……」
禍々しく、毒々しい気配を放ち、言った。
ウィラード「―――殺すよ」
ウィラードは男達を置いて、その場から立ち去っていった。
「おい、誰かソイツを手当てして基地まで連れていけ」
「は、はいっ!」
この男達の中での纏め役と思われる男は、両腕を失って蹲っている男を顎で指して、ウィラードが去っていった方角に視線を向けて言った。
「あ、あの、河道さん……」
纏め役…河道に、男は河道と同じ方角に視線を向けながら、恐る恐る聞く。
河道「何だ?」
「あのウィラードという男、何者なんすか……?」
河道「そうか、知らなかったか。奴は『九天魔人』の一角……つまりは、政府に犯罪を容認された犯罪者だ」
『九天魔人』
一定の上納金を納めることで、政府から犯罪を認められた犯罪者達。
つまりは、政府の後ろ楯を得た危険な奴等である。
河道「奴はその加盟者でな。組織『シュヴァルツェ・ジョーカーズ』の一員だ」
「あの戦争屋ですかっ!?」
河道「正確に言えば戦争屋ではないがな。アレは好き勝手に暴れている5人で成り立っている、組織…というより集まりだ。明確に何がしたいのか分からない、ただの犯罪者だよ」
もっとも、犯罪者の一言で片付けるには危険過ぎるやつだが。
河道「今回の目的の対象の一人である、神爪勇人には手をだすなよ」
「え………?」
河道「アレは殺しをしたくてウズウズしている、殺人鬼の目だ。私達の捕獲対象達を殺害されないためにも、奴の目当てに極力近づかないほうがいい」
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