MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜 第130話 悠希と総理大臣 ◆◆◆ 《芙蓉家・悠希の部屋》 悠希「……ちょっと待ってください、どういうことですかっ?」 勇人達“軽音部”が、みんなで一緒に唯のギターを買いに行っている頃。 約7年前に起きた“闇の書事件”をきっかけに、幼馴染みである土見稟と共に芙蓉家に居候させてもらっている神城悠希は、自室で携帯電話に繋がっている相手に対して「何を言っているのか分からない」という声を出しながら、頭を抱えた。 根岸『いや、だからね。今度の本選に私も総理として出席するから、初音島の下見をナンバーズに任せたのだよ』 悠希の声に、電話口の相手はあっけらかんとした口調でそう言った。 悠希「てゆーか、一体誰が下見に来るんですか? まさかナンバーズ全員なんてことはないですよね?」 根岸『アッハッハッ、下見程度に流石にそれは無いよ。送ったのは2人だ。君にはその2人に島を案内してもらいたいんだよ、ロストナンバー2“神城悠希”くん』 悠希「……一応聞きますけど、誰を寄越したんです?」 根岸『流と高志だ』 悠希「よりにもよって騒がしい人達を……」 抱えた頭を更に捻って呻き声を上げる悠希。 根岸『あ、もうそろそろ初音島に到着すると思うから、駅まで迎えに行ってあげてくれ』 悠希「………………は?」 先ほどまでの悩みは一気に頭から吹き飛んで、根岸のその言葉に悠希はキョトンとした。 悠希「Σえ、ちょ……ちょっと待ってください! もうそろそろってなんですかっ、え…もしかして今日来るんですかっ!?」 根岸『うん…言ってなかったかい?』 悠希「初耳だっ!!」 根岸『うん、じゃあそういうことで』 悠希「え、いや、ちょ……」 ブツッと音が鳴り、電話が切れる。 根岸は言いたいだけ言って、悠希の言葉は聞く耳もたずだった。 悠希「あ…あのクソ総理大臣………」 とても一国の代表者に向かって言う台詞ではないが、まぁ、こんな扱いをされては仕方がないだろう。 頭を抱えた悠希は「はぁ……」と重い溜め息を吐いて、 悠希「……しゃあない、行くか」 身仕度を軽く整えて、仕事の上司を迎えに悠希は部屋から出ていった。 ◆◆◆ 《芙蓉家・リビング》 悠希「………何やってんだ、稟?」 家から出ようとした途中リビングに視線を向けると、何故か昼から酒に酔い潰れてると思われる神王と魔王の2人に絡まれている稟の姿が見えた。 稟「いや、なんか勇人の家行ったら留守だったらしくてな………」 悠希「で、コッチの家で飲んだくれてると……?」 稟「シアもリコリスも、キキョウもネリネも、楓と一緒に買い物に行って居ないんだ。頼むから助けてくれ……」 悠希「………………」 助けを求める稟の声に、巻き添えは御免だと言わんばかりに、悠希は稟を見棄てて家から出ていく。 稟の「薄情者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………」という雄叫びが近所に響き渡ったが、悠希は最後まで聞こえない不利をしたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |