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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第128話 左打者の必殺極意





◆◆◆




試合はいよいよ九回裏に入った。



現在の点数は6―5で、リトルバスターズの一点リード。


同点でない限り、泣いても笑ってもこの回で勝負が決まる。




古式も、片目が見えないながらも、勇人や謙吾との修練の成果か、よくやってくれている。



そして今、バッターボックスに入っているのは、九番バッター。


カウントはツーアウト、満塁。




後ワンアウト取れば試合終了だが、サヨナラ負けという可能性も充分ありすぎる状況だ。





勇人「なぁ、西園」



勇人は美魚に視線を送る。美魚は、試合開始前から先ほどまで読んでいた本を脇に置いていた。





勇人「そろそろ“左打者の必殺極意”を読んだ成果を発揮したくないか?」


美魚「私に、投げろとおっしゃるのですか?」


勇人「これから打つ九番は左バッター。抑えるには絶好の相手だ、そうだろ?」


美魚「はい」


勇人「お前のことだ。ブルペンで投げずとも、イメージトレーニングはバッチリだろ?」


美魚「ええ、もちろん。もの凄いことになってますよ」


勇人「そのもの凄いことに期待したい」


美魚「了解しました」





勇人はベンチから立ち上がり、審判にピッチャーの交代を告げた。



いよいよ大詰めという場面のコールに、相手チーム全体がどよめいた。相手だけでなく、リトルバスターズの面々も目を丸くしている。





理樹「え、まさか、西園さんがピッチャー?」



そのまさかだった。





勇人「西園だけじゃねーぞ。理樹、俺とキャッチャー交代だ」


理樹「勇人がピッチャーをやるんじゃなくて……?」


勇人「ああ、お前でも問題ないと思うが、俺も一打席位試合に出たい」



こうして、ピッチャーとキャッチャーが交代する。







「Σちょっ……何だっ、あのボールはぁっ!?」



美魚が投じた一球目に、妙などよめきが相手チームを駆け巡った。



リトルバスターズも驚いている、美魚の球種に。




勇人がしてやったりといった笑みを浮かべた。




美魚が投げたボール。



それは…………






勇人「あれぞ、スーパーノロノロスローボールだ」



本来彼女は右利きであるが、あえて左で投げさせることで信じられない低速度ボールが実現する。


この試合中、美魚がずっと読んでいた本に書かれていた方法であり、まさにそれが活かされた形となった。




相手バッターはまったくタイミングが合わず、たった二球で追い込まれてしまった。




勇人(後、ストライク一つ……)



守備についているメンバーの表情は真剣そのものだった。




勇人(フッ…どいつもコイツも、いい面してやがる………)




そう思ったとき、美魚が投げたスローボールが相手のバッターのバットに当たった。



それは高く打ち上がり、一塁と二塁の間を抜け、ライトへと飛んでいった。





勇人「小毬、落ち着いていけば大丈夫だ」




小毬は、ほんの少し不安そうな顔を覗かせていたものの、落ちてきたボールをキッチリと捕球した。






その瞬間、リトルバスターズの勝利が決まった。





挿入歌・イメージED
『夕空の紙飛行機』







恭介「よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」




叫びながら、ピッチャーマウンドに駆け出す恭介。



それに続いてみんなも集まりだし、満面の笑みで互いの健闘を祝福しあっていた。





理樹「本当に勝っちゃったよ……」


理樹の信じられないといった声に、勇人と恭介がうなずき返す。





勇人「ああ、俺達リトルバスターズの勝ちだ」


恭介「それじゃあ、宣言しないとな!」


勇人「はい、どうぞ〜」



恭介「――――ミッション、コンプリートだ!!」





抜けるような青空の下で、白球を追った日々。




勝利に向かってひた走る少年達は、光り輝いていた。




眩しすぎて、直視することが出来ないくらい熱く、熱く、燃えていた。








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あきゅろす。
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