MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第125話 エラー
◆◆◆
そして一回裏。
今度はリトルバスターズの守備。
ピッチャーの鈴は、その持ち前の球種と、必殺技『ライジングニャットボール』を駆使して、一気にツーアウトまで取った。
ちなみに鈴が投げれる球種は、ストレート、スライダー、シュート、カーブ、シンカー、チェンジアップ、ナックル、速いストレート、物凄く速いストレートの9種類と豊富で、そして制球力もある。
とても運動部に所属してない女子とも思えない身体能力の高さで、相手を空振りさせていく。
スリーアウトでチェンジ。
相手に一球も打たせないまま、攻守交代だ。
◆◆◆
そして二回の表。
五番の謙吾がヒットを打ち、六番の真人がホームランで二点先取する。
だが、続いて七番から葉留佳、小毬、クドと続けてアウトを取られて、スリーアウトチェンジ。
そして二回の裏。
相手チームは四番、五番がヒットを打ち、ノーアウト一二塁。
だが、六番七番を連続してアウトを取り、ツーアウト。
勇人「練習は裏切らない、か」
勇人は、このペースで行けば充分勝てると踏んだ。
だが、
恭介「Σ何っ!?」
恭介の声に、勇人は改めてボールの行方を追った。
相手の八番がフライで打ち上げたボールを取ったかに思えたが、ボールは無情にも小毬の後ろへと転がっていった。
センターの唯湖がその脚力で、急いでフォローに周りボールを捕球しバックホームするが、結局は走者一掃のツーベースヒットを許してしまった。
勇人「小毬のエラーか……」
鈴は意気消沈することもなく九番をアウトにし、スリーアウトチェンジ。
これで2―3。
相手のリードである。
ベンチに戻ってきた小毬は、この世の終わりのような顔をしていた。
小毬「ご、ごめんなさい……」
何度も頭を下げる小毬に、勇人は「気にすんな」とだけ声をかけた。
小毬「でも、私のエラーでせっかくリードしてたのに、抜かれちゃったんだよ」
勇人「ああ、全くもってその通りだな」
小毬「Σうぅっ……」
勇人の容赦無き言葉が小毬にグサリと突き刺さり、小毬は涙目になる。
勇人「けどまだ二回が終わったばっかだ、逆転は充分に可能。これから取り返していきゃいーのよ」
小毬「……う、うんっ!」
小毬の肩をポンと優しく叩いた後、ようやく小毬に笑顔が戻った。
◆◆◆
そして三回の表。
打順が一周し、再び唯湖からのスタート。
相手は例の“浮くストレート”を投げてきてるのか、唯湖の腕をもってしても中々当たらない。
勇人(来ヶ谷の話じゃ、アイツが一回の表で打ったのはスライダーらしいな……)
今のところ、相手のストレートをちゃんと打てた打者はリトルバスターズにはいない。
勇人「いや……」
みんな打たせられてアウトになったと思いがちだが、一回表以外でも打った打者はいる。
謙吾と真人だ。
謙吾がヒットを打ったのはカーブで、真人がホームランを打ったのは、ストレートらしい。
勇人「真人はアレを打つことが出来たということは……」
それは偶々なのか、実力なのか、判断は付けられないが……。
勇人「ま、問題はない」
結局一打席も塁に出ることは出来なかったが、勇人は一人ほくそ笑んだ。
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