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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第116話 名探偵勇人?





◆◆◆



《鳳凰学園高等部1年1組》




ある日の放課後。




今日も野球に興じようと、教室から出ようとしたら、




唯湖「勇人氏」


勇人「あ゙?」


後ろから声をかけられて、振り向く勇人。後ろには唯湖がいて、更に唯湖の後ろにいる人物に気づく。




勇人「西園か」


美魚「……こんにちは」


勇人「おう」




珍しい組み合わせ。





唯湖「時に勇人氏、西園女史が無くしてしまった本を探しているそうなのだが、心当たりはないか?」


勇人「あん?」



そういえば、と中庭で以前本を読んでいたことを思い出す。




勇人「いや、見てねーな」


唯湖「そうか、まぁそうだろうな」


勇人「聞いといて、んな分かってました、みたいなこと言うなよ」


唯湖「それはそれとして、勇人氏」


勇人「あ゙? 何だ?」


唯湖「手伝え」


美魚「あ、あの、来ヶ谷さん…突然その物言いはどうかと……それに、神爪さんには関係ないことですし………」


勇人「ま、構わねぇよ」


唯湖「だ、そうだ。いいだろう別に。探し物など、人手が多いに越したことはない。それに、全く無関係ということもないだろう?」


勇人「ま、生徒会長として困ってる女生徒は放っておけんな」


唯湖「あぁ、君ならそう言ってくれると思ったよ」


美魚「…………………………………では、お願いします」




そういうと、美魚はペコリと頭を下げた。




唯湖「じゃ、頑張れ」




唯湖は去っていった。





勇人「………おいおい」


美魚「……………」



唯湖が去り、美魚に一歩間を置かれる。


勇人は警戒されているらしい。




勇人「で、どんな本で、いつ頃、どの辺で無くした?」



こうして美魚の本探しが始まった。





◆◆◆




話を聞けば、朝、鞄に入れたのは間違いないらしい。


昼休みが終わり、体育の授業で教室で着替える前に、鞄の中にしまった…はずだそうだ。




勇人「体育の前まではあったんだな?」


美魚「……はい」




なくなったのは、五時間目が始まる前から放課後に美魚が気付くまでの短い時間。


体育が終わった後は、美魚はずっと教室にいたそうだから、実質は体育の授業の前後一時間くらいだ。


その間に、本はなくなった。





勇人「……西園の机は、ここだよな?」


美魚「はい」


勇人「ってことは………」



勇人は一瞬思考した後、




美魚の席の、斜め左前の机の中を漁る。




美魚「あ、あの、神爪さん…?」



放課後で既に2人以外の生徒は教室からいなくなっているとはいえ、急に他人の机を物色する勇人に、美魚は戸惑いがちに声をかけた。



だが勇人はそのまま机の中を漁り、ほどなくして、中から何かを取り出す。





勇人「コレだろ?」


地味なグリーンの表紙の文庫本が出てきた。




美魚「そうです……間違いありません」



勇人は本を美魚に渡し、





美魚「………ありがとうございます」



美魚は本を受け取ると、大事そうに胸に抱え込んだ。




勇人「ま、大事なもんならなくすなよ」


美魚「……すみません、善処します。ですが、どうしてわかったのですか?」



美魚の疑問はもっともで、勇人が調べた机は、このクラスの伊藤という人のものだ。


特に目立つような生徒でもなく、今回の件に一見無関係としか思えない人の机の中にあることを、何故知っていたのか。




勇人「ま、誰かにパクられたってんなら話は変わってくるんだが」




なくなったのは昼休みから体育の授業の間に限られる。


この教室は女子の更衣室代わりにされていたのだから、対象は更に女子に絞られる。


普通に考えれば、美魚が着替えの際にうっかり机から本を落としたのだろう。


だが、床にあるのなら直ぐに気づく。


それが無かったということは、誰かがその本を拾ったということだ。


すると可能性的に一番あるのは、美魚の机に近い位置にいる人物。


更に言えば、その拾得物を周りの人間に確認も出来ない内気な女子、というところまで絞り込めるわけだ。


休憩時間もそんなに多くはない。しかも体育の授業は、着替えに移動と時間を取られる。


そんな状況で、とっさに拾った本を自分の机の中に入れてしまっても不思議はないだろう。


後から持ち主を探すつもりで、ついつい聞きそびれてしまった。





勇人「以上の条件に当てはまる確率が一番高いのが、伊藤というわけだ」


美魚「……名推理、ですね」



美魚は感心するような声を上げた。





勇人「ま、人の物をパクるような奴じゃねーから、明日にでも拾ってくれたお礼でもするんだな」


美魚「そうですね、そうします。神爪さん…本当に、ありがとうございました」


勇人「フ……気にするな」




と、そこで勇人は1つ閃いて、





勇人「なぁ、礼と言ってはなんなんだが、ちょっと頼まれごとを引き受けてくれねーか?」


美魚「……頼み、ですか?」


勇人「ま、大したことじゃねーよ。クフフフ………」


美魚「……………?」








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