MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第84話 総合魔法連盟
勇人「魔連の総帥か……」
両王の申し出に、勇人は煙草を吹かして目を瞑る。
勇人「ま、確かに総帥とは知り合い………つーか、身内だからな」
魔法使いの裏世界を統べる『総合魔法連盟』……通称『魔連』。
その『魔連』の頂点に立つ総帥は、他ならぬ勇人の曾祖父『神爪総賢』である。
勇人「俺は魔連の所属じゃねーが、まぁ、同盟を結んでるから謁見出来ねーことはない」
魔法使いの数が圧倒的に少ない日本を守護するために、魔連と同盟を結び、その地の管理者となり日本を護る『日本十二士』に所属する勇人なら、魔法使い達にとって雲の上とも言うべき総帥に会うことは可能だ。
勇人「けど、極力会いたくはねーんだよなぁ………」
閉じた目をゆっくりと開き、短くなった煙草を灰皿に捨て、肺に溜め込んだ紫煙を吐き出す。
勇人「何だってあの野郎に会いたいのよ?」
勇人にはおおよその見当がついているが、それでもやはり直接神王・魔王の口から聞きたく、両王を軽く睨み付ける。
だが、両王も本当に珍しく真面目な顔で、
魔王「『開門』まで人界は非魔法世界であり、科学によって発達した世界だと我々は思っていた。だが、“三世界平和宣言”の式典を行っていた時、その認識を覆された。『総合魔法連盟』……通称『魔連』という、事実上人界の“裏”を統べる組織の存在が公表されたのだからね」
神王「だがその組織は奇妙なことに、存在を公表することしかしなかった。人族にも魔法使いと呼ぶモノは存在すると。そしてその魔法使い達は独自の社会を構築し『魔法界-ムンドゥス・マギクス-』なる、異世界を有していること。人界の社会を調整している『世界政府』と同等の最高機関ってこと。だが、組織や魔法使い達の所在に関しては何一つ明かしてねぇんだ」
魔王「存在を公表したにも関わらず、何故姿を現さず存在を明かさないのか。私達はそれを知りたいのだよ。そしてあわよくば、御近づきになりたいと思ってるのさ」
両王の言葉に、勇人は「なるほど」と頷ぎ、
勇人「断る」
と、爽やかに笑いながら言った。
神王「………いったい、何がイケねぇってんだ?」
勇人が断るのは考えの内だったのか、両王は特に勇人の返答に動じることもなく、
魔王「神界や魔界と違って、人界は『世界政府』が収めてることが世間での認知になってはいるが、別に統一されている訳ではない。開門直後に、人界が大混乱に陥ったのは今更語ることでもないだろう。突如、異界からやって来た我々神族・魔族を排他しようと、戦争とまではいかなくとも大きな争いが起きた。それは三世界平定の同盟を結んだ今でも、一部でテロが起こされている。そんな中、魔法使い達の存在が公表されたのに今まで全く姿を現さないのは、我々には不気味でならない。そんな不気味な正体を把握したいのは、世界を束ねる我々にとっては当然の考えなのだよ」
と、魔王の捲し立てるような言葉に、神王も横で頷く。いつになく真剣な話しに、王女としてこの場にいるネリネ達も多少緊張してきていた。それに気づいた勇人は、心の中で溜め息を吐き、
勇人「分かったよ………」
早めに会話を終わらせようと、半ば折れるように両王の申し出に了承した。
魔王「! 本当かいっ!?」
勇人「ああ。ただ、ひいジジイがいる魔連の本部に案内することは出来ん。あそこは特別秘匿でな」
神王「それじゃあ、どうやって会わせてくれるんだ?」
勇人「鳳凰武闘会予選が終わった後の、一ヶ月後に行われる武闘会の本選。それを観るために、魔連の代表としてやって来る」
当然、“表”の市民達はその事を知らないが………。
勇人「取り敢えず、その時に会ってくれるかどうか聞いてみるさ。会えるかどうかは保証しないぜ?」
魔王「いや、充分だよ。話が出来れば文句無しだけど、この目で直接見てみたいのが一番の理由だからねぇ」
今まで存在を公表しただけで、決して表舞台に上がってこなかった魔連。そのトップをようやく拝見出来る。
勇人「ま、つーわけで堅っ苦しい話しはここまでにしようぜ」
神王「そうだな」
と、みんな軽く息を吐き、勇人と両王はいつの間にか為政者となっていた顔を、普段の顔に戻し、それを固唾を飲んで観ていた王女は安堵の息を吐いた。
魔王「それじゃあ、我々はこれで失礼するよ。長話に付き合わせて、悪かったね」
神王「まぁ、せっかくの放課後を潰しちまったからなぁ。悪ぃが、キキョウ達と遊んでやってくれ」
魔王「なんなら泊まり込んで夜を共にしていいからね、ネリネちゃん」
ネリネ「お父様っ……」
両王はそれだけ言って部屋から退室していき、そして勇人は、
勇人「んじゃ、どーすっか?」
と、この場に残った4人の王女に聞き、帰ってきたイヴやアリシア達と一緒に遊ぶこととなった。
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