MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第83話 内閣総理大臣
◆◆◆
《人界日本・東京》
勇人『―――あー、はいはい。今度会った時にでも遊んでやるからって言っとけ』
「頼むよ。娘も君に会いたがっていたからねぇ」
豪華で大きな部屋で、携帯を使って気さくに話しているのは、勇人とダンディーな中年男。エリートサラリーマンに見えなくはないが、その身はプロボクサーか何かではないか?と問いたくなるほど身が引き締まっている。
時空管理局の局長殿との電話を終えた直後に、この男が勇人に連絡を飛ばしたのである。
勇人『つーか、テメェ。マジに武闘会見に来る気か?』
「ああ。一般の参加がOKということで、私も招待されたからな。優秀な人材は、早めにスカウトしておきたいのさ」
勇人『そうかよ』
「娘の、良い旦那候補を探さないとな! 私個人としては悠希君を是非にと思ったのだが、既に相手がいるようだしなぁ……」
勇人『別に付き合ってる訳じゃねーみてーだが、あんまちょっかい出してやるなよ?』
「分かってるよ」
男は残念そうに息を吐く。
そして勇人は、
勇人『ま、今度はサミットの時みたく、護衛を離しとくようなマネはすんなよ、根岸総理大臣さん』
と言い、電話を切った。
根岸総理大臣も通話を切り、携帯をポケットにしまう。
根岸「やれやれ、嫌な事を思い出させるなぁ……」
「……やはり、NO.7、NO.8の席も新たに用意すべきでは?」
根岸総理の側で、書類を片付けていた徳川和光は、眼鏡をクイッとかけ直して、総理に言う。
根岸「まぁ、そうしたいのは私も山々なのだがね。ロストナンバーズに入れるとなると…能力もそうだが、信用出来るかどうかも重要だ。前回の例があるからな……」
和光「………そうですね」
根岸の言葉に、和光はある男を思いだし、目を伏せる。
だが、直ぐに目を開き、
和光「前回の例といえば……まだ確定した情報ではありませんが、星乃が海羽浩史の情報を掴んだそうです」
根岸「!?。本当かい?」
和光「ええ」
和光が口にした『海羽浩史』なる人物。その人物こそが……。
和光「なんでも初音島に向かった飛行機の便に、名前が残っていたそうです。恐らくは……」
根岸「………誘いか」
和光「でしょうね。今までろくな情報が入ってきていなかったにも関わらず、このタイミング」
根岸「………初音島か」
初音島と聞き、2人はある人物を頭に浮かべる。
根岸「最近あまり仕事がなくて、良いことだと思ったけど」
和光「ええ。神城が聞けば、何をしでかすか分かりません。この情報は言わない方が……」
根岸「……そうするか。まぁ、彼には島にいる間護衛の仕事をしてもらうつもりだし、何かあれば頼むよ和光。彼の面倒はまゆみの仕事なんだけど、もし呪魂の力を使ったのなら、無傷で事を収められるのは君だけだ」
和光「えぇ、分かってます」
◆◆◆
《初音島・ゲーセン》
悠希「――――へっくし!!」
と、突然大きなクシャミをする神城悠希。
楓「悠希くん、大丈夫ですか?」
稟「風邪か?」
心配気に悠希の顔を覗き見る土見稟と、芙蓉楓。そんな2人に、悠希は何でもないと手を振り、
悠希「誰かが噂でもしてるんじゃね?」
と、言った。
純一「おっしゃあ、5連勝!!」
ナギ「くっ…まさか、この私が………」
ハヤテ「やはりゲームとはいえ、お嬢様は身体を動かすのは苦手なのでは?」
あの騒動の後、予定通りゲーセンに来て『ファイトシュミレータ』を堪能している悠希達。
麻弓「シアちゃん達も来ればよかったのにねー?」
樹「仕方がないじゃないか、おじさん達に呼ばれたんじゃ。まぁ、俺様としても確かに非常に残念なことだが……」
稟「神王と魔王のおじさん。何かやけに真面目な顔してたようだけど………」
放課後、稟達は当然のように、シア、キキョウ、ネリネ、リコリスに遊びに行く声をかけたのだが、珍しく真面目な顔をした神王・魔王両陛下が娘達を連れて行ってしまったのだ。
ことり「勇人くんに用があったみたいですよ?」
麻弓「そーなの?」
ことり「はい。生徒会室出た所で、皆さんにお会いしましたし」
楓「何があったんでしょうか………?」
稟「……………」
勇人と神王・魔王達は昔からの付き合いのようで、別に勇人のもとに会いに行くのは何の違和感もないが、
稟「何かあるような気がするのはなんでなんだ……?」
と、稟は小さく呟くが、
純一「くっ!? やはり一番の敵はお前のようだな、杉並!!」
杉並「はっはっはっ!! その程度の腕で勝ち誇るなど片腹痛いわ!!!」
という、ゲームにヒートアップした2人の声に、その言葉は誰に聞こえることもなく消えていった。
◆◆◆
《神爪邸・リビング》
勇人「―――……それ、本気で言ってんのか?」
生徒会室にやって来た両陛下一同に、勇人は妙な気迫を感じて、一同を自分の家まで連れてきて話を聞いた。
ネリネ達は、何故連れてこられたのかはよく分かっておらず神王・魔王に強制的に連れてこられたようで、勇人と話をしているのは両陛下のみ。
神王「ああ、本気も本気よ」
魔王「本気と書いてマジだよ、勇人ちゃん」
勇人「……って、急に言われてもなぁ」
2人の言葉に、勇人は面倒くさそうに頭をガリガリと掻き、
神王「頼む、勇人殿。俺達を『総合魔法連盟』の総帥に、会わせてくれねぇか?」
神王の発した言葉に、深々と溜め息を吐いた。
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