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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第81話 悠希VS………?





真人「………てっめぇ、いきなり蹴りいれてくるたぁ、いい度胸してんじゃねーか」



筋肉は伊達ではないことを証明した瞬間か、あまり大して効いた様子もなく立ち上がる真人。


蹴りのダメージより、鈴の「臭い」発言の精神的ダメージのほうが上だったようだ。




真人「この真っ黒黒助野郎……俺に喧嘩売ったこと、航海させてやるぜ!!」


謙吾「海を航ってどーするんだ」


理樹「航海じゃなくて後悔だよ、真人」




真人のアホ発言に、心底呆れながら突っ込む2人。だがそんなアホアホトークが耳に入っていないような静かな声で、





「……ムカつくな……お前……」



静かにそう呟く。





「俺、大体年下って嫌いなんじゃんよぉ。その校章の色、お前ら1年だろ? 年下のクセに生意気で、そこの暑苦しいヤツとか、正義ぶったヤツとか、スカしたヤツ見ると、ついつい八つ裂きにしてブッ殺したくなっちゃうじゃん?」




稟「!?」


真人「テメェ……この俺がスカシッペ野郎だとぉ? 俺の屁はちゃんとデケェ音を発てて出すぜ!!」


純一「誰もんなこと言ってねぇよ」


鈴「やっぱ馬鹿だ、コイツ」






「まぁ、まずはこの五月蝿い肉ダルマ潰したら、テメェらも八つ裂きにしてやるじゃん!!」


「あーあ。私、知らねーよ……」




男が真人に迫る。稟を触れもせずに転がした得体のしれないヤツが相手だが、真人は臆することなく拳を握る。




だが、








――――――ガッ!!!!





「くっ………!?」




男は急に、何かに軽く弾かれたように頭を捻り、その場に踏み留まった。





カッ、カッ、カッ………と、何かが地に落ちた。




それは、1つの石ころだった。



















悠希「俺のクラスメートに何やってんの、アンタ?」




声が聞こえた先には、手に石ころを弄んでいる神城悠希が、木の上に座りながら、膝に猫を乗せてそこにいた。





稟「あっ!!」

楓「悠希くんっ!?」




ジロリ、と、男は悠希を睨み付けた。







◆◆◆



《鳳凰学園第0生徒会室》




豪輝「―――で、何がやっかいなんだよ?」



リストをパラパラと捲ってる神爪勇人に、豪輝は聞く。





勇人「魔導師選抜試験だからな。ロアの件も片付いてねーし、それなりに面倒なことになるのは承知してたんだが………」




勇人は三枚のリストを机の上に、無造作に放る。





勇人「この3人は『月臣大付属高校』の生徒でな、コイツらが今回の試験に参加してるんだと」


豪輝「月臣大付属ってぇと………アレか。あの名門校の」




『月臣大付属高校』



魔法・紋章術・錬金術・超能力等……鳳凰学園同様様々な学問を扱っている超名門校で、そのカリキュラム内容は日本でもトップレベル。幼稚園・小学校・中学校・高校・大学院の5つがあり、親無き子供を受け入れる孤児院まで存在している。


超難関校で、そこに通っているものは実質エリートである。






勇人「そこの学園は孤児を引き取って入学させるんだが、その孤児3人が今回の試験に参加している」


豪輝「………それが?」


勇人「その3人の内の1人がな、『皇』の名を名乗ってる」


豪輝「なんだよ、その皇ってぇのは?」


勇人「皇ってのは、月臣大と孤児院……ま、孤児院というよりは研究所なんだが、立ち上げた初代校長兼研究所長の名字だ。名字がない孤児で、中等部までを最優秀で卒業した孤児には『皇』という名字が与えられる。一期に1人だけしかこの名を得ることは選ばれない。中でも、今回の皇の生徒は少し特殊でな」




勇人はリストに載ってある白髪の少年の写真を凝視したあと、ふと窓の外へ目を向ける。





勇人「……杞憂であればいいがな」





◆◆◆



《初音島・天神通り》





「―――チッ、ムカつく野郎がもう1人いるじゃん」


悠希「その程度の投擲も避けられないようじゃ、まだまだだな」




木の上から男を見下す悠希。それが気に食わなく、男は悠希を見上げ、





「おい、降りてくるじゃんクソガキ!!」


悠希「………………」


「俺はお前みたいにスカしたガキが一番嫌いなんじゃんよ」



男は何やら腕時計を操作し、後ろにいた女が慌てて、




「おい、アレスタントまで使う気かよ!?」


「ウルセー!! 止めんじゃねーじゃん、智!」





向こうは何かしらの術者。こんな人気の多いところで悠希は目立った行動を取るわけにはいかないが、楓や稟達を巻き込むわけにもいかず、降りようと立ち上がり、


















「――――あ゙ぁ゙? 何してやがる、稔」



悠希「!!」



後ろから声が聞こえ、振り返る。




そこには、悠希が乗っている木よりも更に高い位置に、白髪の少年が木の上に立っていた。





「このクソ虫が…………」



苛立たし気にそう呟いた少年を見て、男は顔を青ざめながら、




稔「み、帝…………」




声を震わせ、呟いた。





悠希(コイツ……いつの間に俺の後ろに………!?)




それなりに場数を踏んできた悠希でも、いつからそこにいたのか、この男の気配がまるで読めなかった。





悠希(…………NO.1並の実力者だな……)




悠希の内心での判断を他所に、白髪の男は稔を睨みながら、





帝「こんなとこまで来て、くだらねーことしてんじゃねぇぞ」


稔「い、いや……その……これは、そいつらが…………」























帝「黙れ………ブチ殺すぞ」


稔「……っ………」


帝「………フン……」




白髪の男は地に舞い降りる。男と女の間に立ち、





帝「行くぞ」



2人を引き連れてこの場から去ろうとするが、






悠希「待て、そこの白髪………」




悠希も木の上から、稟達の前に飛び降りて、白髪の男を呼び止めた。






悠希「アンタ、名は……?」



白髪の男は立ち止まり、ゆっくりと、顔だけ半身振り返り、






帝「……………皇…帝……」



と、名乗る。





帝「……………俺もお前に興味がある。名は?」



悠希「神城……悠希だ………」




視線が交差する2人。数秒の時が流れ、





帝「…………行くぞ」




皇帝は2人を連れて、何処かへと去っていった。



姿が見えなくなって、みんな一斉に「ハァ……」と息を吐く。





ハヤテ「物凄く緊迫した空気でしたね……」


ナギ「何だったのだ、今の奴等は?」



みんなが話し合う中。悠希、恭介、杉並、樹の4人は、去っていった奴等の方を今も見つめていた。





◆◆◆




純一「まぁ、何か変な奴等と会っちまったけど、このままゲーセンにでも行こうぜ!!」


真人「そうだな。俺の筋肉が光って唸るぜ!!」


稟「光る筋肉って何だ」



再びアホアホトークを繰り出す馬鹿どもを木の上から見下ろしながら、















「―――――どう思う?」



木の影に隠れていた3人の内の1人が、2人に聞く。




「別に、大したことはないだろ」



「そうだな。だが、鳳凰の……いや、ロストナンバーズNO.2と、月臣大付属の白い悪魔………あの2人は要チェックだよ」





新たな影が、勇人達の知らないところで蠢いていた。







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