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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第80話 敵………?





◆◆◆



《鳳凰学園高等部1年1組》




撫子「―――それじゃあ、今日はここまでだ。委員長、号令!」




このクラスのクラス委員長である西蓮寺春菜の号令を持って、本日の授業が終わった。



なんか色々ゴタゴタしつつも、いつも通りの学園生活を過ごした生徒達は、各々の放課後を過ごすため、教室から去っていく。




が、撫子はふと思い出したように、





撫子「あ、そうそう。もうすぐ魔法使いClassアップの試験を踏まえた新入生歓迎会があるからな。歓迎会の『鳳凰武闘会』に参加する生徒は、早いうちに出場届けを出しとけよ」




と、言い残し、教室から去っていった。





◆◆◆




『鳳凰武闘会』



本来この時期、大抵の学校では新入生親睦会だのオリエンテーションだのがあるが、今年から開設した鳳凰学園にはそれがない。


その代わりにあるのが歓迎会であり、魔法使いのClassアップの試験を兼ねた『鳳凰武闘会』がある。


歓迎会は2日かけて行われ、それは少し規模が小さい学園祭並みの催し。祭り好きの風見学園が母体になっているだけのことはあり、鳳凰学園にはお祭り行事が多い。その記念すべき第1回が新入生歓迎会である。



魔法使いの『Class』とは『表』の………一般的に認知されている魔法使いのランクを表すもので、魔法使いとしてどのレベルかを示す免許証のようなものである。下からD→C→B→A→Sの順にレベルの高さを表し、Classアップの試験とは、入学時に魔法科入学した魔法生徒は皆『Class.D』の魔法免許を与えられ、次の『Class.C』の資格を獲るために行うものなのだ。


これは魔法使いだけではなく錬金術師にも当てはまり、上のClassの資格を持てばそれだけ様々な特権が得られ、一般人には不可能な高度な研究が可能になる。



そして『鳳凰武闘会』とは歓迎会に行われる、魔法使い・錬金術師達による実技試験。1日目、魔法生徒と錬金術生徒達はClassアップの筆記試験を受けて、一般生徒は武闘会に参加する者達と観戦する者達に別れ、参加する者達は2日目に行われる魔法生徒達の実技試験に参加する資格を得るために、バトルロイヤル形式の試合を行う。



そして2日目に、筆記試験に受かった魔法生徒達と、バトルロイヤルに勝ち抜いた一般生徒達との実技試験を行う。実技試験と言っても一般生徒は何の損もなく、単純に腕に覚えのある者達が学年性別問わず参加するだけであり、それが親睦を深める目的となっており、優勝者には賞金も授与されて、遊び感覚で誰でも参加出来るようにしてある。



この実技試験は、神界・魔界のプリンセスや婚約者候補等で世界的に注目されている鳳凰学園に、神界・魔界・人界の世界各国の御偉いさんの耳にも入り、事によっては卒業後に研究機関等からのスカウトもあり、スカウトされれば、それだけ魔法使い等としての地位も確立する。





表向きは…………。




実際は『裏』………『表』の試験を隠れ蓑に『総合魔法連盟』による『魔導師選抜試験』を行うのが真の理由である。



『魔導師』……時空管理局に属する魔法使いを魔導師と言うが、ここでの魔導師は別の名称である。


魔導師とは、魔法使いの中でも圧倒的に優れた者を指し、その存在は希少である。一般の『表』を除き、人界・魔法世界中に存在している約12億人の魔法使いの中でも1000人未満しかいない。魔法使いや魔術師等の到達目標だが、到る事は稀。個々が持つ能力も優れ、実力も大きく抜きん出ている。魔法世界では『魔導師』の事を『マギステル・マギ《偉大な魔法使い》』と呼ぶ別称がある。



表の魔法使い達の試験でもあるが、表沙汰に出来ない裏の……ホンモノの魔法使い達の実力を測る試験の方が今回の試験ではメインになり、魔法社会の重要人達も一般の御偉いさん同様に、2日目の試験を見に来る。



そんな試験に参加するハメになってしまった勇人は………





◆◆◆



《鳳凰学園第0生徒会室》




勇人「――――で、これが今回試験を受ける魔法科生徒と推薦の魔法使い・魔術師・紋章術師・錬金術師。それと来場する御偉いさん方のリストか」



豪輝「ああ」




この学園で体育教師をしている、勇人の古い友人『獅子尾豪輝』が、勇人の頼みで持ってきたリストに目を通していた。



勇人「………ん?」


数枚あるリストに目を通していた勇人の目が一文に止まり、



豪輝「あ? どーしたよ?」



と、聞いてくる豪輝に、勇人は眉間に皺を寄せ、





勇人「いや、またメンドクセェ事になりそうだなーっ、と思ってな」




深々と溜め息をついた。






◆◆◆



《初音島・天神通り》





樹「―――どうですか、麗しきお嬢さん。俺様と一緒に恋のアバンチュールを――」


麻弓「はいはーい、盛って他人に迷惑かけないよーに!!」




通りすがりの少女にナンパを仕掛ける緑葉樹を、何処からか取り出した縄でグルグル巻きに締め上げる麻弓=タイム。



みんなは今、放課後を満喫するため喫茶店にでも寄ってからゲーセンに遊びにでも行こうかと、商店街を歩いていた。




麻弓「まったく、目を放すと直ぐコレなんだから……」


楓「あの、樹くん、白目剥いてますけど………」


稟「いつものことだろ」


純一「ゲーセンに入った最新機って何なんだ?」


杉並「うむ。魔法科学を注ぎ込みまくったと言われる『ファイトシュミレータ』とやらが導入されたとの噂だ」


恭介「ああ! あの体感シュミレーションゲームか!!」


ナギ「身体を動かすのが苦手なゲーマーでも、動かさざるを得ないアレか!?」


ハヤテ「アクションやRPG好きにはたまりませんね!」


準「ヒナギクちゃんや音夢ちゃんは来れなくて残念ねー」


ハチ「ぬぅ、これだけ綺麗所が揃ってるとはいえ、やはり華が減るのは………」


雄真「生徒会や風紀委員会は仕事があるんだから、しょーがないだろ」


智子「ことりは生徒会の仕事はなかったの?」


ことり「勇人くんが『特にないから解散〜』って言ってたけど………」


加奈子「勇人君も来れば良かったのにね?」


ことり「用事があるって言ってたから、仕方ないっすよ。部活もあるでしょうし………」



真人「チッ。謙吾も勇人も友達甲斐の無い奴等だな。遊びより部活かよ!」


理樹「まぁまぁ………」

鈴「なんだ、男相手に嫉妬か? キモいな」


真人「ああ? んだとテメェ、俺の何処がキモいってんだ!?」


鈴「全部」


真人「俺の筋肉がキメェってことか!? テメェは俺を怒らせた!!」


鈴「うっさい、寄るな!! キモい!! 臭い!!!」


真人「Σ臭いっ!?」




鈴の“臭い”発言でショックを受けて、地面に膝をつき、項垂れる真人。


理樹が真人の背を叩き、フォローの言葉を何か言おうとする。





だが、






「あぁ? なんだコイツ、スゲー邪魔じゃん」





―――――ドガッ!!!!




真人「ぐはぁっ!?」



突然何者かに蹴り上げられ、悶絶しながら転がる真人。




理樹「Σ真人っ!?」



悶絶している真人に駆け寄る理樹。身体が頑丈に出来ているから、それほど大した怪我は負っていない。だが、いきなり友人に蹴りを入れた者をこの場にいる奴等は見逃すはずもなく、




「こんな道のど真ん中で転がってんじゃねーよ、筋肉ダルマ」


「止めときなって、後でどやされるよ」



真人を蹴った男と、その男と一緒にいる女に目をやる。




稟「おいお前、何なんだいきなり!?」



道のど真ん中にいた真人は確かに通行の邪魔だったかもしれないが、稟の、友人をこんな程度のことで暴力を働いた男に、多少怒気を含んだ声を発する。


その声に男は稟の顔を見て、そのまま視線を下にやり、制服と、身に付けている校章に目をやり、




(フン……こいつら、鳳凰学園の生徒か………)




鼻で「はっ」と笑う。




「オレっちの前に転がってんのが悪いんだよ。ウルセーのが来る前に、ちょっと遊んでるだけだ」



稟「……………」




男の言葉に、無言で歩を進める稟。その手の拳を硬く握り、稟は男に殴りかかろうとするが、





「ふん」




クイッ、と男が指を軽く動かすと、





稟「…なっ……」




何もないところで、稟は急に何かに躓いたかのように転けてしまう。




樹「?」


杉並(………何だ、今のは?)



稟「っ…………?」




何が起きたか分からないという顔をした稟を見て、





「なんだ、弱ぇな。鳳凰の連中はよぉお!!」



と、転けた稟を見下しながら言った。



そんな中、恭介は男と女の着ている制服と校章を見て、




恭介(………こいつら、確か『月臣大付属高校』の生徒か。何で初音島に……?)






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あきゅろす。
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