MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第76話 盗んだバイクで走り出す
◆◆◆
《校庭》
砂煙を上げ、ブルルンブルルンと喧しくバイクが走り回っている前へと、
勇人「………………」
この鳳凰学園の総会長である神爪勇人は、ゆっくりと姿を現した。
眉間に皺を寄せて、喧しく騒ぎまくる馬鹿どもを睨みすえ、
勇人「………邪魔だクズども。失せろ、殺すぞ」
と、呟く。
しかし当然、違法に消音機を改造して喧しくしている脳足りんどもには、勇人の言葉は聞こえない。
いやそもそも、この手の輩に人間の言語が通じるのかどうかも怪しいものだった。
よく見ると、2人の女生徒がバイク連中に囲まれていた。
迷惑そうに顔をしかめて逃れようとしているが、脳足りんどもに逃げ道を塞がれて逃げられずにいる。
そのクズどもはただバイクにまたがり、あひゃひゃ笑いながら、
「っだてめぇわよぉ!!」「っそぼそしゃってんじゃねぇよクラァッ!!」「っびってんじぇねぇのぉ?」「ビビりこいてんじゃねぇのコイツぁよぉ!!」
あひゃひゃひゃ、あひゃひゃひゃひゃ。と馬鹿面の染め金髪どもが醜く笑う。
シンナーで歯が抜けた馬鹿が馬鹿らしく馬鹿面で笑う。
その馬鹿どものひどく愉快そうな汚い笑い顔を見て、勇人は大きく一つ頷くと、
勇人「よし分かった。そのまま地獄に落ちても馬鹿らしく笑ってろ」
と、腰に差してある儀礼剣を抜こうとした瞬間、ポケットに入れてある携帯が震える。携帯を取り出す。携帯を開くと、着信画面には学園長と書かれている。
勇人は携帯のボタンを押して耳に当て、
勇人「んだよ、今取り込み中」
とだけ言って切ろうとするが、それに学園長は慌てて、
学園長『ちょっと待たんか勇人!』
勇人「なんだ?」
学園長『お主、今、こんな大勢が見てる前で大量殺人事件を起こそうと起こそうとせなんだか?』
勇人「?。それがどうした?」
学園長『………こんな人目のつくとこで殺人はするな。さすがに揉み消すのは難しいぞ?』
勇人「気にすんなよ」
学園長『いやいや気にせんか!!』
勇人「ま、取り敢えずこいつらは邪魔だから、殺すわ。激ウゼェし」
学園長『だから殺してはいかんて!? ただでさえお主が暴れまくって総賢からも止めてくれと言われておるのに――――』
勇人「気にすんなよ〜♪」
学園長『だから気にせんかぁぁぁぁぁぁぁ―――――』
と電話口で学園長が叫んでいる横で、走り回っていたバイクが止まる。
バイクに乗っていたクズどもが、どうやったらそんなにも顔を歪められるのか不思議なほどぐにゃりと醜く汚く顔を歪めながら、
「あぁん? あーん? てめぇ何済ました面でシカトこいてんのぉ? 殺っちゃうよぉ? マジ殺っち―――」
が、その言葉の途中で、
勇人「ウゼェ」
――――ゴキィッ!!!!
と、勇人は携帯を持ったまま、暴走族の1人の歪んでいる顔面をおもいっきり蹴り潰して、本当に歪ませる。鼻が折れる音がして「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!?」と叫びながらそいつはバイクからずり落ちる。
すると学園長が狼狽したような声音で、
学園長『Σ待たんかぁぁぁ!! 何をした!?』
勇人「安心しろ、寸止めだ」
学園長『今骨が折れる音が聞こえおったぞ!?』
勇人「まだ殺してねぇよ♪」
学園長「Σそういう問題か!?」
と、学園長が言いかけたところで、他の暴走族達が一斉になにやら怒鳴り始める。
「っめぇ、なにさらしとんじゃゴラァぁぁああああ!!」「んなことしてタダで済むとぉもってんのかクラァぁぁあああああ!!」「ちぃびってんじゃねぇぞオラァああぁぁぁぁぁああああああ!!」「っめてんじゃねぇぞファラあぁぁぁあああああ!!」
それに勇人は少々首を傾げ、
勇人「………ファラ?」
「「「馬鹿にしてんのかドラァァアアアアアアア!!!!!!」」」
と、暴走族どもがまた、一斉に怒鳴った。
だから勇人は聖母のような優しげな笑みを浮かべ、足を上げる。そのままさっき蹴り倒して地面に横たわっている不良の1人の顔面を踏み潰す。
――――グチャアァッ!!!!!!
すると、
「Σぎゃあああぁぁぁぁぁ!?」
と悲鳴が上がり、学園長が、
学園長『Σだから止めんかぁぁぁぁぁああああああ!?』
なんて叫ぶ。
さらに他の不良どもも、クラァとかドラァとかゴラァとかオラァとかファラぁとか怒鳴り散らすが、勇人の耳には入っていない。
勇人「ったく、最近のガキゃあ。無駄にカッコつけるだけでロクなモンに乗らねぇなー」
と、勇人はさっき蹴り倒した男が乗っていたバイクを起こし、それにまたがる。
改造されまくってはいるが、オリジナリティが溢れている訳でもなく、1〜2万円位の中古で買ったような安いバイクである。
それに暴走族どもが、
「こん野郎逃げる気だぞ!?」
だの、
「行かせっわけねぇだろうが!!」
だの言うが勇人は無視し、バイクのエンジンをかける。そして携帯に向かって、
勇人「ちょっと俺は青春の衝動に駆られて、盗んだバイクで走り出してくるわ♪」
『お主は………』
呆れる学園長を無視して勇人は携帯を閉じ、ポケットに入れる。バイクのクラッチを切り、ギアを一速に入れ、アクセルを吹かす。
「逃がすんじゃねぇ!! ぶっ殺せ!!!!」
と叫んで、バッドやら飛び出しナイフやらを振り上げる雑魚どもを尻目に、勇人はクラッチをつなぐ。
勇人「走れ〜風のようにブル●アイ!!」
するとバイクが急発進する。
そして瞬く間に校庭を飛び出してしまう。空気を裂き、風のように物凄い勢いでバイクは前へと進む。
勇人「………ま、ガキが乗るバイクなんざこんなもんか」
自分が持っている違法魔改造したバイクに比べれば玩具みたいなものだが、改造してあるだけあってスピードはそこそこ出ている。
が、そこで背後からまた何かが近づいてくるのを感じた。初めは雑魚どもが追いかけてきたのかと思ったが、それはスピーカーで拡大された声で、
『あー、そこのノーヘル、スピードを落として止まりなさい』
なんて言ってくる。
背後にはパトカーがサイレンを五月蝿く鳴らしながら近づいてきている。
勇人は自分の今の様子を考える。
バイクの免許は持ってる。年齢を偽っているが自動車や飛行機や船等々様々な運転免許証は持っているから、無免許ではない。
問題は所持品ではなく見た目。
ノーヘル、スピード違反、信号無視、交通無視、銃刀法違反………と、不良五点セットフル装備の勇人は、
勇人「…………アハハ♪」
と、小さく笑って、更にアクセルを回した。
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