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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第72話 逃走劇と入部





◆◆◆



《廊下》





勇人「………なんとか撒いたか」



悠希「みたいっすね」




屋上から飛び降りて、窓際の手すりを掴んで窓から廊下に入り込む勇人と悠希。






「見つけたわっ!!!!」





このままバックレようかと考えていたのも束の間、長い黒髪の少女が数人の生徒を引き連れて、2人の前に立ちはだかる。






勇人「あー………誰だ?」



唯「あなたと同じクラスの風紀委員会副会長、古手川唯よ!」




唯という少女の左腕には、風紀委員会の証である『クリムゾンレッド』の腕章が、確かに付けられている。


だが、何故風紀委員会が2人を捜しているのか、理解が出来ず首を傾げる2人。




悠希「で、風紀委員会が何か用?」



唯「よくもまぁ、そんなぬけぬけと。あなた達が何をしたのか、分からないとは言わせないわよ」



勇人&悠希「「…………?」」




勇人と悠希は互いに顔を見合わせるが、直ぐに視線を唯に戻して、再び首を傾げた。






唯「………本当に分かってないの?」



勇人「だから何だ、用件を言え用件を」



唯「さっき流れた放送に決まってるでしょ!! あの放送で親衛隊達が暴動を起こして大変なんだから!!」



勇人「アレは非公式新聞部が―――」

唯「問答無用! 風紀委員会室まで来てもらうわ!!」




バッ!! と、風紀委員達が散り勇人と悠希にジリジリと詰め寄る。





悠希「話し聞いてくれそうにもないっすね」


勇人「だな。よし! 悠希!!」


悠希「?。何すか?」


勇人「逝っといで!!」




―――――ドン!!!!




悠希「Σうぉわぁっ!?」




勇人に不意に後ろから突き飛ばされたため、前のめりになりながら風紀委員達に突っ込む体勢になってしまった悠希。





勇人「じゃな!!」




悠希をスケープゴートにした勇人は、爽やかな笑顔を悠希と風紀委員達に見せながら軽快な足で去っていく。





悠希「にゃろう………」




勇人の所業に額に青筋を浮かべながら、悠希は自棄気味に風紀委員達に突っ込んでいった。







◆◆◆




勇人「Σうぉ…っと」


「Σキャアッ!?」




風紀委員会に悠希を押し付けて走り去り、階段を一気に飛び越えた先で、女子生徒達とぶつかりそうになる。





勇人「と、悪い悪い。大丈夫か?」


「う、うん………大丈夫」


「危ないわねぇ、気を付けなよ」


「階段を一番上から飛び降りたのはスルー?」


勇人「気にすんなよ、この学園では見慣れた光景だぜ?」


「確かに、非常識な人が多いからね」




「それで、神爪くん何でそんなに急いでるの?」


勇人「何故か風紀委員会に追われててな」


「あきらかにさっきの放送が原因だろうね」


勇人「つーか………俺名乗ったか?」


春菜「………同じクラスの西連寺春菜だよ」


里紗「自己紹介したんだからクラスメイトの顔くらい覚えたら?」


未央「そーそー」




勇人の反応に呆れる3人。もはや学園で知らぬ者の方が少ない神爪勇人の名はともかく、クラスメイトとはいえ一般生徒の1人1人の名前までは、さすがの勇人も記憶していなかった。





「―――――いたぞ!!」




勇人「あ゙ぁ゙?」




振り返った階段の先に、屋上にいたのと同じ様な屈強な男達が勇人の姿を視界に捕らえた瞬間、怒りと嫉妬に満ちた形相で迫ってくる。





勇人「あー、じゃあ俺もう行くわ。メンドーなのが来たからな」


春菜「う、うん。気を付けてね」




クラスメイト3人を後に、勇人は迫り来る親衛隊を撒くため、走り去って行った。





◆◆◆



――――キーン、コーン、カーン、コーン。




終礼のチャイムが鳴り響き、時は放課後。





勇人「やれやれ、なんかドタバタした1日だったな」


謙吾「まぁ、朝から色々あったからな」


理樹「謙吾は、これから部活?」


謙吾「ああ」


真人「ったく、毎日剣道やってて飽きねぇのか?」


謙吾「剣の鍛練は、もはや習慣のようなものだからな。飽きるとか、そんなものは無い」


理樹「真人の筋トレと同じ様なものだよ」


真人「そうか。確かに飽きはないな」


謙吾「お前の筋トレと一緒にされたくはないんだがな………」


勇人「ま、練習頑張れよ」


謙吾「ああ。お前達も、暇なようなら何か部活を始めてみたらどうだ?」




剣道具一式を竹刀にぶら下げて、謙吾は教室から去っていった。





勇人「部活ねぇ………」





◆◆◆




勇人「ま、生徒会や店のこともあるし、入るんなら時間の融通が効きそうな文化系の部活かねぇ」




理樹達と別れて、学生らしく学園生活をエンジョイするために、ひとまず文化系の部活を行っている部室棟を歩き回って見ている勇人。




勇人「ま、非公式新聞部っつー偏執狂の塊のような部員達の部活は論外として――――」


「――――澪っ!!!!」



勇人「ん?」




突然女子生徒の大きな声が辺りに響き、声を発したと思われる方へ視線を向ける。


そこには、長い黒髪の女子と、カチューシャで前髪を上げた女子と、沢庵(?)な眉毛をした女子がいた。





「あのときの約束は嘘だったのか!?」



カチューシャ少女の悲痛な声が辺りに木霊する。





「私がドラム、澪がベースで、ずっとバンド組もうって!!」


澪「律………」




2人の間に、緊迫とした空気が、静かに流れる。




勇人(?。何だ、修羅場か?)
























律「それでプロになったらギャラは7:3ねって―――」

澪「―――捏造するな!!」



ゴスッ!! と、とても少女が放ったものとは思えない程の鋭いチョップがカチューシャ少女の頭を撃つ。




勇人「………そんなオチか」


「何だか楽しそうですね」


勇人「楽しそうか? まぁ、愉快には見えるがな」


「ええ。とっても良い画になるわ」/////


勇人「………んな恍惚とした面で何をトリップしてんだ、ムギ」


紬「うふふ」


勇人「聞いてねぇし。ま、毎度のことだが」

律「お? お! おぉ!? もしかしてお前も入部希望者かっ!?」


勇人「……つーか何の部活だ? ドラムとベースって言ってたから、音楽部か?」


律「違うな、軽音部だ! 軽音部に入らないか!? 今部員が少なくて………」


勇人「………生徒会や仕事があるから、毎日って訳にはいかないが、それで構わねーんなら」


律「Σマジか!? ありがとーっ!! これで後1人入部すれば廃部せずにすむぞー!!!!」


澪「……私も、もう人数に入ってるのね……」


律「これでドラムとベースとキーボードか………お前は何が出来るんだ?」


勇人「大体なら何でもこなせるが……」


律「よし! じゃあギターをやれ!!」


澪「そんな強引な……」


勇人「構わないぜ」


律「後ギター出来るやつが1人加わってくれれば完璧だな!!」




こうして勇人は、鳳凰学園の軽音部に入部した。






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あきゅろす。
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