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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第69話 神界と魔界のプリンセス





◆◆◆



ホームルーム開始からおよそ15分。転入生の紹介は、ようやく正常進行を始めた。



教卓の横に並ぶ4人の美少女に、クラス中の熱い視線が寄せられる。




シア「リシアンサスです。神界からやって来ました。ちょっと長い名前だと思いますので、シアって呼んでください♪」


キキョウ「同じく神界からやって来た、シアの妹キキョウよ。よろしく」


ネリネ「あの、ネリネと申します。魔界からやって来ました。よろしければ、リンと呼んでください」


リコリス「はじめまして、リンの双子の妹のリコリスです。よろしくね♪」


筋肉男「ユーストマだ。シアとキキョウの父親やってるんでよろしくな。ま、一応神王もやってるが、こいつはついでに覚えといてくれ」


色男「私はフォーベジイ。ネリネちゃんとリコちゃんの父親であり、一応魔王でもある。ぜひ見知っておいてくれたまえ」


勇人「一応じゃねーよ、テメェ等そっちが本業だろーが」


撫子「お二人は結構です……」



その額に血管を浮かべながらも、紅女史は笑顔を崩さないでいた。さすがというか、かわいそうというのか………。




稟「お、おい樹、今あの2人………」


樹「シアちゃんとネリネちゃんてキキョウちゃんとリコリスちゃんかぁ。いるもんなんだねぇ、美少女っていうのは。彼氏とかいるのかな。まぁ、いたところで俺様には関係ないけど。奪い取ればいいだけだし。とりあえずは、お父様方に気に入ってもらうことから始めるとして………」


稟(……ダメだコイツは……)



そんな稟の想いを受け取ったかのように、楓の右手が一直線に天へと伸びる。




楓「あの、撫子先生。今、とても信じられないような言葉を聞いた気がするんですけど……。神王と魔王っていうのは………」



紅女史は、やっぱりきたか、と露骨に疲れた顔をした。




撫子「えー、まぁ……そういうことだ………。非常に残念……じゃない。非常に嘆かわし……でもない。非常に信じられないことではあるが……。このお二人は、それぞれ神界と魔界の王の立場にあるお方だ。そして転校生はその娘さん……私の言いたいことは分かるな、緑葉」


樹「もちろん。大丈夫ですよ、俺様が必ず幸せにしますから」


撫子「お前は近づくな、と言ってるんだ!」



樹へと向けられた紅女史の視線は、かぎりなく黒い殺気に満ちていた。




シア「あ、あの、神王の娘だとかは気にしないでくださいね。皆さんと同じ、この人間界に住む一クラスメイトと考えてください。気にされて、お姫様扱いされる方が嫌なので」


ネリネ「私も同じです。皆さんとは普通のお友達として付き合っていただけたらと思っていますので」


撫子「分かったな、緑葉。この2人は、あくまで普通のお友達としての付き合いをご所望だ」


樹「当然ですね。どんなに熱烈な恋愛も、まずは普通の友達関係から、ですよ」



その切れ長の目を輝かせながら言い切る樹。そんな樹を実に温かに見守る紅女史の表情は、何かを悟りきった笑顔だった。




撫子「で、だ………。カミヤン、つっちー」


勇人「なんだ?」

稟「はい?」



そんな紅女史の顔が、不意に勇人と稟に向けられる。心から疲れたような表情と共に。




撫子「転校生の面倒はお前達に任せる」






















稟「は?」


勇人「だと思ったよ………」



クラス中の男子の視線が、驚愕と共に勇人と稟へと集まる。




撫子「………超法規的処置によってそう決まった」


稟「いや、あの……紅女史? 超法規的っていうのは………?」


フォーベジイ「うん。それに関しては私から説明しようじゃないか」



言いながら、一歩前へと歩み出る魔王。




フォーベジイ「つまりだ、勇人ちゃんはネリネちゃんとキキョウちゃん、稟ちゃんはシアちゃんとリコちゃん、この娘達の婚約者候補に選ばれた訳なのだよ」


稟「Σは、はぁっ!!?」



魔王は実にサラリと、本当にアッサリととんでもないことをのたまってくださった。




フォーベジイ「あ ちなみに勇人ちゃんに関しては既にネリネちゃんとキキョウちゃんの婚約者確定だからね♪」


勇人「ま、そういう話だったしな………」


稟「Σって、何でお前はそんなに冷静なんだよ!?」



勇人と稟の元へと集まっていた視線の半分が、急激に殺意へと変貌する。



ユーストマ「ま、勇人殿の件はともかく。稟殿はハッキリ言っちまえば、神界・魔界の次期王候補ってわけだな。どっちが欲しいんだ? うちのシアを選んでくれりゃあ、神界の権力使い放題だぜ」


フォーベジイ「おっと、ずるいじゃないか神ちゃん。それなら、リコちゃんを選んでくれれば、魔界の権力使い放題なんだからね」


稟「Σち、ちょっと待ってください!! なんでそういうことになってるんですか!? 正直、俺がその2人の婚約者候補になる理由が分かりません!!」


フォーベジイ「まぁ、まだ幼い頃のことだからねぇ。覚えていろというのも難しいかな。君たちは、子供の頃に出会っているのだよ。たった1日のことではあるけどね」


稟「……出会って………?」


フォーベジイ「幼い頃の出会いと、その時に生まれてしまった淡い恋心……2人は、その想いの炎を弱めることなく、その小さな胸の中で………あ、ネリネちゃんもリコちゃんもバストサイズは問題ないから、安心してくれたまえ勇人ちゃん、稟ちゃん。むしろ立派だし♪ その胸の中で燃やし続け、再会出来る日を心待ちにしていたのだよ」


ユーストマ「おい、まー坊っ。うちのシアとキキョウだってなぁ、決して小さくはねぇぞ!! むしろ成長途上、これからいくらでだってデカくなる可能性があらぁ!!」



再び神王の首が真横にズレた。





シア「お父さん! お願いだからそれ以上恥ずかしいことはしないでっ!!」


キキョウ「ネリネもリコリスも真っ赤になって固まってるじゃない」



ネリネ「………」/////


リコリス「アハハ……」/////



ユーストマ「いや、しかしだな。こういうところでしっかりと売り込みを……」


シア「お父さんはしないで結構です」


ユーストマ「はい………」



神王は、娘達に背中をグイグイと押されて、廊下の方へと追いやられていく。


そして魔王も、その後に続くようにして自分から廊下へと向かっていった。



が、途中で立ち止まると稟の方を向いて、軽く手を上げる。




フォーベジイ「まぁ、詳しいことは本人達から聞くなり、思い出すなりしてみてくれたまえ。それでは、ネリネちゃんとキキョウちゃん、リコちゃんとシアちゃんのこと、よろしく頼むよ。勇人ちゃん、稟ちゃん」


ユーストマ「おう、よろしくな」



かくて、2人の親父は娘達に追い出されるようにして出ていった。





麻弓「Σか、楓!? ちょっとしっかり!! なに座ったまま気絶してるのよぉ!!」




ただ唖然としきったクラスの中、気絶したくても出来ない自分を稟は呪っていた。




勇人「ふわぁ〜……眠ぃ……」


悠希「zzz………」




………一部の例外を除いて。





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