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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第68話 超極上の転入生





◆◆◆



《鳳凰学園高等部1年1組》




撫子「―――今朝はご苦労だったな、お前達」



勇人「ま、これも仕事だからな」



不良達を勇人の『脅迫手帳』で黙らせた後、教室で朝のHRを行う勇人達。


幸い不良達を除いて怪我人は極僅かで、このクラスでは怪我人は静雄1人だけである。


鉄パイプでおもいっきり頭をド衝かれて血を流しておきながら、頭に包帯巻いて既に何もなかったかのような平然とした表情で席に座っているが。




撫子「あー、もうみんな知っているだろうが、今日このクラスに転入生が来る」



先程起きた、勇人や静雄、生徒会や風紀委員会やリトルバスターズ達が鎮圧した事件で教室中の話題で持ちきりだったが、撫子の一声で直ぐ様話題が変わる。




撫子「4人とも、入って来なさい」




――――ワアアアアァァァァァ!!!!!!!!



男子の間から大歓声が巻き起こった。





勇人「………何だ、男子のこの異様なテンションは?」



杉並「ん? 何だ知らないのか、勇人」


樹「今日やって来た転入生は、皆極上も極上。超極上の美少女達なんだよ!!」


麻弓「勇人くん達が校門で暴れている間に、転入生達が4人共極上の美少女だって噂を聞いて、みんな楽しみに待っていたという訳なのですよ♪」



勇人「なるほど」




パンパンパーン、と何処に用意していたのかクラッカーが鳴り響き、拍手が巻き起こる。



そして、そんな盛大な歓迎の中、二つの影がゆっくりと姿を見せる。


























筋肉男「あっはっはっはっはっはっはっはっ!! いやぁ、なんか面白そうなとこじゃねーか。人間界の学校もよぉ」


色男「うん、まったくだ。若く美しいお嬢さん方がいっぱいで、若返ってしまいそうだね」




期待は失望を二乗する。



今の教室内の心境を言葉で表すなら、まさにこの通りだろうか。


歓声もクラッカーも拍手も、その全てが鳴り止み、ただ静寂だけが教室を支配する。





筋肉男「なんだ? どーしたオメー等。んな静まり返っちまって。さっきの元気はどこいった。あん?」


色男「まぁまぁ、あまり脅しちゃ可哀想じゃないか神ちゃん。彼等もまだ子供だからねぇ、いわゆる人見知り、とかいいやつじゃないかな」


筋肉男「あぁ、そーいやそんなのあったなぁ。ま、まだまだヒヨッ子なんだし、仕方ねーか」



和服に身を包んでいながら、それが見事に似合っていない筋肉質の大男。


そして、何処か危険さを感じさせる細身の色男。




――――――ゴツッ!!




勇人「知ってる気配がするなーとは思っていたが………」



不意に机に頭を強く打ち付けた勇人は、軽く呻く。



神族の筋肉男と、魔族の色男と目が合うと、2人は一直線に勇人のもとへと歩いてくる。




筋肉男「よお、勇人殿! 久しぶりだなぁ!!」


色男「息災そうで何よりだよ♪」


勇人「つーか、何でテメェ等がこんな所にいやがるんだよ」


色男「ネリネちゃんが会いたがっていたからさ!!」


筋肉男「キキョウが会いたがっていたからだぜ!!」


勇人「……そうかよ」



ことり「あの、勇人くんのお知り合い……ですか?」


勇人「一応な……」



勇人は眉間に皺を寄せて、深々と溜め息を吐いた。




筋肉男「で、どの坊主がそうだって?」


色男「ちょっと待ってくれよ……っと、発見。いたいた」


筋肉男「どれどれ……おお、アイツか。なるほど、中々の面構えじゃねーか」



勇人に軽く挨拶したと思えば、2人は稟のもとへと歩いて行く。




色男「やぁ稟ちゃん、一昨日はすまなかったねぇ。けれどお陰さまで、君の人となりがなんとなく分かったよ。君は実に誠実な男性のようだ。やっぱり男は誠実でないといけないからねぇ。一途に1人の女性を想い続けることの出来る誠実さ。これが大事だ」


稟(いや……どの面下げてあなた様がおっしゃいますか………)


色男「リコリスのこと、よろしく頼んだよ」



その長い手が稟の手を掴み、強引に握手をさせられる。その手は、見た目からは想像出来ないほど力強い。


筋肉男「おいおいおいおい、抜け駆けはなしだぜ、まー坊。それに、そいつはちっとばかし違うだろ。漢はやっぱり力よ力。いざというとき女を守る、その力こそがかっこよさだぜ」


稟(あんたは見たまんまで、少しの変化球もないですね………)


筋肉男「まぁ、見たところ中々の身体つきのようだしな。これなら前途有望か。シアのことよろしく頼むぜ、稟殿よぉ」



その大きな手がバンバンと稟の肩を叩く。見た目に違わぬ力の込められたその腕は、肩が外れるんじゃないかと思うほど強かった。




勇人「? 何だ、お前等知り合いだったのか?」


稟「い、いや、俺にも何が何だか………」















?「お父さん!!」




―――――バギャッ!!!!




不意に勇人と稟の目の前の神族の頭が横にズレた。同時に、まるで椅子で人間の頭を殴ったかのような音がした。




筋肉男「シア、キキョウ、さすがに椅子に魔力を込めんのはやりすぎだと教えただろうが……」


シア「普段血の気が多いから、こうして抜くくらいが丁度いいんです!!」


キキョウ「ホント、脳ミソまで筋肉で出来てるんだから」



その筋肉男の後ろから、同じく神族らしき少女が2人姿を見せる。


片方の少女はその両手で椅子をしっかり握り締め、筋肉男を睨み付けている。


その椅子はバチバチと発光し、素人目に見ても魔力が込められているのがよくわかる。




稟(本当に椅子で殴ったのか………)



ネリネ「お父様もやりすぎです。勇人様が驚いてらっしゃるじゃないですか」


リコリス「稟くんも何が起こってるのか分からないって顔してるね」




そして更に、今度は色男の後ろから2人の少女が姿を見せる。




色男「いや、驚かせるつもりじゃなかったんだけどねぇ。やっぱりパパとして、挨拶くらいはしておきたいじゃないか」


ネリネ「ですから、今日の夜にでもご挨拶に伺おうという話になっていたじゃないですか」


色男「いやぁ、神ちゃんと話してたら、お世話になる皆さんにも挨拶をしておいた方がいいだろうって話になってね」


筋肉男「Σおい、まー坊! 俺1人のせいにするんじゃねぇぞ! オメーだって乗り気だったろーが!!」


色男「Σけれど私は止めはしたじゃないか。神ちゃんなんか『行かねぇんだったら俺1人で行くぜ!!』とまで言っただろ」


筋肉男「Σあ、テメ、きたねーぞ!!『じゃあ私も行こう』なんて嬉々として付いてきたくせに!!」



少女×4「「「「2人共同罪です!!!!」」」」


パパ×2「「はい…………」」



今までの態度が嘘のようにシュンとなる2人。どうやら間違いなく娘の方が強いらしい。


そして、その状況を待っていたかのようにかけられる、何処か強張った声。




撫子「それで、もう話を進めてもよろしいですか………?」


6人「「「「「「……はい……」」」」」」




後ろには、素敵な笑顔を浮かべた紅女史の姿があった。






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あきゅろす。
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