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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第67話 鳳凰学園の猛者達





◆◆◆




勇人「あ゙ー、何だこの人だかりは?」




桜並木を抜けた通学路で、鳳凰学園の生徒達が端から端まで溜まっていた。





杉並「なんでも、お前に喧嘩を売りに来た他校の連中が、校門前に蔓延っていて入れないらしいぞ」


勇人「お前ホント何処にでも現れるのね」


杉並「不可能を可能にする男、それが俺だ」


フェイト「それより、あの人達何で勇人さんを狙ってるの?」



校門前で鉄パイプや釘バットを振り回している男達が、口々に「総会長は何処じゃああ!!」「出てこんかいぃぃぃ!!」と怒鳴り散らしている。


風紀委員が他校の生徒達を退かそうとしているが、威嚇されて怯んでいて動く様子がない。





杉並「昨日勇人が服従させた不良グループの一部が『獄悪高校』の連中に応援を求めたんだそうだ」


理樹「獄悪高校………」


恭介「いかにもなネーミングの学校だな」


勇人「ふーん。奴隷のクセにその応援を求めた奴等は分かるか?」


杉並「無論だ。後でリストにして渡してやろう」


勇人「サンクス」


杉並「礼は不要だ。俺とて学園を荒らす奴を野放しには出来ないんでな。非公式新聞部は全面的にバックアップしてやる」


勇人「そうかい。じゃあ、ま、俺様はPartyを楽しむとしようか!」




勇人は学生カバンをルルーシュに投げ渡し





勇人「お前等は杉並に案内させっから、裏口から学校に入れ」





前にズラリと溜まっている人だかりを軽く跳び越えて、敵さんのもとへ行った。




なのは「………止めなくてよかったのかなぁ」


はやて「まぁ、エエんちゃう。別に」


アリシア「万に一つも負ける可能性ないからねぇ」





◆◆◆




勇人「YAーHAーーーー!!!!!!」




人だかりの頭上を一気に跳び越えて、勇人は百人程溜まっている不良学生達のど真ん中に飛び降りた。





「な、何だテメェは!?」




突然空から降ってきた勇人に驚愕の声を上げ、得物を構える獄悪高校の不良達。





勇人「Ah? お前等俺様に用があるんじゃねぇのか?」



勇人は腰にぶら下げてある漆黒の儀礼剣を鞘から抜き放つ。


不良達は自分達が探している男が目の前に現れたと分かった瞬間、勇人を包囲する形に陣形を整えた。




勇人「今回は……千人程か?」



鳳凰学園の不良グループに獄悪高校の不良達。他にも鳳凰とも獄悪とも違う学校の改造制服や私服を着た連中が大勢いる。



他校の不良グループ達も大勢呼んだのだ。あまりにも人数が集まったせいで、鳳凰学園の風紀委員だけでは対処出来ていない。



故に、今校門付近には味方は居らず勇人一人しかいなかった。





勇人「That’s ALL right! 俺様と戦ろうってかい?」



儀礼剣を構えて





勇人「Are you ready?」



勇人のその声を合図に、不良達は各々の得物を構え、激しい怒声を上げながら一斉に襲いかかる。




勇人「Here we GO! Yeah!!」



勇人は剣を大きく横に薙ぎ、前方の敵を文字通り吹き飛ばした。





◆◆◆




勇人「―――おーい、どーしたぁ? かかってこいよ!」



僅か1分で、既に百人を撃破した勇人。


千人で挑んでも怯みもしない勇人に、不良達は息を呑む。





「―――はーい、ちょっとゴメンよ」




そんなことを言いながら、1人の男が不良達の頭を跳び越えて、勇人の前に立つ。




勇人「あーん? 誰だテメェは?」


臨也「はじめまして、勇人総会長。俺は折原臨也、よろしく」




場違いな、にこやかに挨拶してくる折原臨也に一瞬ポカーンとしてしまう勇人。


だが、響いてくる怒声に直ぐ様正気に戻った。






静雄「いぃぃぃぃざぁぁぁぁやぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」




その怒声が響いてくる方向へ眼を向けると…


その宙を飛来している物体に眼を見開き驚愕している不良や生徒達。




何故驚愕しているかというと……








………電柱が空を舞っていた。




重さ1tを超える電柱が、まるで野球ボールが投げ飛んだかのように勇人を襲う。





勇人「――――ほっ」




―――ボゴオォォォン!!!!



だが、勇人はソレを難なく叩き割った。




……剣を持っていない方の手の、人差し指一本で。





臨也(うわー。もしかして静ちゃん以上の化け物………?)



勇人を見て何処か渇いた笑いを洩らす臨也。





静雄「いぃぃぃぃざぁぁぁぁやぁぁぁぁくぅぅぅぅん、つぅぅぅぅぶしぃぃぃぃましょぉぉぉぉ!!!!!!!!」



固まってた不良達が、その異様な光景におののき、折原臨也を追ってきた平和島静雄に道を開く。


不良や喧嘩を観ているギャラリー達は、皆静雄がその手に持っている物に眼を丸くする。




静雄のその手には、何故か道路標識が持たれていた。



棄ててあったのを拾ったという風ではなく、あきらかに力づくで引っこ抜いてきたといわんばかりに、標識の地面に埋め込まれる鉄棒部分にコンクリートがくっついていた。





勇人「静雄、何やっんだお前。かなり異様な光景だぞ」


臨也「飛んできた電柱を人差し指一本で叩き割った君が言うかい」


静雄「あ゙あ゙? そこにいる折原臨也をぶっ殺しに来たんだよ!」


臨也「キャア、こっわーい♪。そんなので撲られたら死んじゃうって!」


静雄「たりめーだろ、殺しに来たっつったろーが!!」


勇人「………何があっ――――」




勇人の言葉を遮り、一台のバイクが不良達頭上を越えて勇人達の前に降り立つ。



その様子を見ていた不良達は、それを取り巻く数々の異常に気づいた。


まず、文字通りバイクが音も無く飛んできたこと。


タイヤが擦れる音や着地した音はあったが、肝心のエンジン音が全く聞こえなかったのだ。


更にそのバイクは後ろに座っている学生を除けば、ドライバーを含めた全てが漆黒に包まれており、エンジンやシャフトはおろか、タイヤのホイールすらも漆黒に染め上げられていた。ヘッドライトは無く、本来ナンバープレートがつくはずの部分には、ただ黒い鉄板が掲げられている。


唯一黒く無い物は、ドライバーが被っているフルフェイスのヘルメットのみだ。



新羅「静雄、少し落ち着きなよ」



被っていた漆黒のヘルメットが霧散し、漆黒のライダー…セルティの後ろに乗っていた新羅がバイクから降りる。




静雄「うるせぇぇぇぇぇっ!!」


勇人「何があったんだ?」


新羅「あー、うん。アレが原因なんだ………」



新羅が指した方へ視線を向ける。静雄を指差しているが、静雄の頭を細目で良く視ると、まるでギャグマンガのようなたん瘤が出来ていた。





勇人「……たん瘤? 何故?」


静雄「転んだんだよ!!!!…………………………………………………………バナナの皮で(ボソッ」


勇人達((((うわぁ馬鹿だ))))


新羅「君は人より身体が丈夫だけど、馬鹿ほど石頭って言うよねー?」


静雄「……どういう意味だコラ…………」


臨也「いやー、まっさか本当にバナナの皮で転ぶとはねーっ。しかも一回転までしてくれるなんてっ!!」


勇人達((((Σ一回転したんだ………))))



静雄「やっぱテメェが黒幕かぁぁぁぁ!!!!」


臨也「そんな怒んないでよ、シズちゃん♪」


静雄「その呼び方止めろって昨日も言わなかったかぁ!? 俺には平和島静雄って名前があるんだよ!!」





「Σへ、平和島静雄ッ!?」



その名前に聞き覚えがあるのか、それを聞いた不良達は恐れ戦いた。




静雄「あ゙ぁ゙!? んだテメェら゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!?」



声を上げた不良を睨みつける静雄。いや、睨み付けるというレベルではなく、眼力だけで相手を射殺さんばかりの形相で不良達にガンくれてる。




「ぅ、ぅ、ぅ、ぅぅぅうわああぁぁぁああぁぁぁぁっ!!」




その眼力に気圧されたのか、不良の1人が必死の形相で手に持っている鉄パイプで静雄に殴りかかってくる。




――――バキィッ!!




鈍い音が辺りに響く。


鉄パイプは静雄の頭部をモロに直撃し、静雄は頭からダラダラと血を垂れ流している。


痛みに頭を手で押さえる静雄だが






静雄「おい……テメェ…………」


「ひっ………」



殴りかかってきた不良を一睨みし、何か確認を取るように質問する。





静雄「お前今頭を殴ったよな? それも鈍器で? 当たり処が悪かったら死んでるよな? 死ぬかもしれなかったてことは殺す気でやったってことだよなぁ? てこたぁ、俺がお前等を殺しても………文句は無ぇってことだよなぁ!?」




ギラリ、と静雄の目が血走り瞳孔が開いた瞬間………




――――カッキィィィィン!!!!




………静雄が手に持っている道路標識で、野球のボールを打つバッターのように、殴りかかってきた不良を空へ打ち飛ばした。




その光景を見た新羅は溜め息を吐き、勇人とセルティは合掌し、臨也は嫌らしい笑みを浮かべ………



……不良達はトチ狂ったか、吹き飛んだ不良を合図に再び一斉に殴りかかってくる。




勇人「やれやれ」


静雄「うらあぁぁぁぁぁぁっ!!」



勇人は剣で、静雄は道路標識を手に、一薙ぎで不良達を数十人単位でブッ飛ばす。




臨也「あれ? 何で俺まで狙われてるのかな?」


「身に覚えが無ぇとでも思ってんのか!?」


臨也「知らないなぁ」


「テメェが俺等にあの総会長の情報を流して向かわせたんだろーが!!」「誰のせいで俺等が奴隷になったと思ってやがる!!」



臨也「やだなぁ、俺はただ君達に彼を倒せば学校を自由に出来るんじゃないかな?って言っただけで、別に行けなんて命令を出した覚えはないけどねぇ」



「な、んだとテメ―――」

臨也「ああもういいよ黙れよお前。俺に八つ当たりされんのは迷惑だし、いくら俺が人間を愛してるって言っても、ツマラナイお前等は鬱陶しいからさぁ………」


ヒュッ、と、両の袖口から鋭利なナイフを取り出し不良達に刃先を向ける臨也。




臨也「………退いてよ?」



淡白な面持ちのまま、軽業師のように不良達の合間を縫って走って跳んで、ナイフで次々と切り刻んでいく。




新羅「うわぁ…相変わらず凄いなぁ、静雄も臨也も」



呑気に感嘆の声を上げる新羅は、自分達の回りも不良達に囲まれている事に今更ながら気づく。




新羅「あれぇ、ひょっとして僕も狙われてるのかな?」


セルティ『多分な……』



新羅の間抜けな発言をPDAで返すセルティ。



新羅「セルティ〜、助けて〜」




やれやれと肩を竦めながら、セルティは『影』の中から己の得物を取り出す。


『影』の手の中に現れた物は、見るもの全てに圧倒的な『死』を連想させる。


それは『影』自身の身長と匹敵する程の、巨大な諸刃の鎌だった。




杉並「ほう、ミステリーな匂いがしてくるかと思えば、謎のUMAが居る!!」


新羅「………………………えーと、杉並くん、だったっけ?」


杉並「いかにも! 俺は杉並、常に世界を見つめる男!!」


新羅「囲まれてるのに何処から現れたの? 驚くほど神出鬼没だね」


杉並「フッ、褒め言葉と受け取っておこう。………………さて」



杉並は懐に手を伸ばすと、取り出したのは……………






新羅「………何、それ?」


杉並「ん? あぁ、安心しろ。火薬は調整してある」



杉並が懐から取り出したのは、なんと手榴弾等の手投げ爆弾だった。




杉並「ふはーはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!」



爆弾を辺りにばら蒔き、爆発を起こして不良達を吹き飛ばす。





――――ドゴオォォォォン!!!!





勇人「あ゙ーん?」



勇人達が暴れている中心部とは別方向、校舎側の不良達が宙を舞い吹き飛んだ。





「………邪魔だよ」



不良を吹き飛ばしたと思われる、学ランを肩にかけ、『風紀委員長』と書かれたクリムゾンレットの腕章を身に付け、持ち運びのしやすいトンファーを武装した中学生が歩いてきた。




「ひ、雲雀恭也だぁぁぁ!?」「中等部風紀委員長!?」「風紀委員会が動き出したぞぉぉぉぉ!!」





その者が誰か解っているギャラリーの方に動揺が走り、不良達は無策にも中等部最強生徒に突っ込んでいく。




雲雀「咬み殺す」




―――ドガァァァァァン!!!!!!




今度は校門側の不良達が宙を飛んだ。



何だ何だと目を向けるギャラリー達。






悠希「……何なの、この集まり」


純一「……ゼェ………お、俺が…ハァ………知るか……ハァ……」


ハヤテ「大丈夫ですか、純一くん?」


純一「……ハァ………あ、あぁ……ハァ……ハァ………」


ハヤテ「不良達相手にハァハァして本当に大丈夫ですか、頭?」


純一「どーいう意味だぁぁぁぁぁっ!?」


ヒナギク「ゴメンねみんな、手伝って貰っちゃって」


音夢「いえいえ、これも風紀委員会の仕事ですし」


春姫「魔法は人のために使うものですから」


恭介「俺達リトルバスターズも加勢するぜ!」


真人「悪を成敗する正義の味方だからな」


謙吾「フ……今回ばかりはお前に同意見だ」





「瑞穂坂学園もとい…鳳凰の才媛『神坂春姫』に、高等部風紀委員長『朝倉音夢』、戦う生徒会長『桂ヒナギク』!」「見ろ! 元光陽のフリーキャットや、あのお騒がせ集団『リトルバスターズ』もいやがる!」「それだけじゃねぇ!! 三千院のコンバットバトラーまで!?」




他校の不良達は知らないが、現れた奴等が何者かを知る鳳凰学園に在籍している者達が、そこに現れた面子に驚愕する。




「見ろ、あの『かったるい星人』がいるぜ」「何ぃ!? かったるい星人がっ!?」「あのかったるい星人が前線に!?」




純一「何か俺の呼び名だけ酷くないか?」


亮「まぁ……ドンマイ」


紗夜香「あなたが言っても効果ないと思うわよ?」


亮「あ゙? 何でだよ?」





「かったるい星人だけじゃねぇ! 風見の『アイアンマン』に、剣道部の『スーパールーキー』まで!?」「ちぃ!! 鳳凰学園は化け物揃いか!?」





純一「………………」


亮「……あー………スマン」


純一「…………かったる」




















「お、おい! どーすんだ!?」「勇人総会長1人でも手こずってたっつーのに!?」「こんな連中に勝てんのかよ!?」




次々と現れる鳳凰学園の有名人に気圧されてきた不良達。




「構うこたぁねぇ!! 人数はコッチが上なんだよ!!」



リーダー格と思われる不良が周りの男達に一喝する。そのリーダーの声に不良達は士気を取り戻し、再び得物で殴りかかってくる。




「まずは女子を狙え!! 人質に取りゃあ奴等もおとなしく――――」



「―――俺達のアイドルな何さらしとんしゃゴラァァァァァァァァァァァッ!!!!」



女子を捕らえようとした不良を、純一達を追ってきた親衛隊達が蹴り飛ばす。






「あ、あれは『KKK』!?」「それだけじゃねぇ!! 各ファンクラブ共までいやがるぜ!!」「親衛隊まで出てきた!!」




「テメェらあぁぁぁぁぁ!! 俺達の桂さんに手を出したらどーなるかわかってんだろーなぁぁぁぁぁ!?」「死に晒せやクソどもがぁぁぁぁ!!」「春姫ちゃんに手ぇ出したらタダじゃすまさねぇぞおぉぉぉぉ!!」




またもや驚愕する鳳凰学園のギャラリー。身内に嫉妬心を炸裂させる連中ばかりだが、こーいう時だけは勇ましく見える。




「ひ、ひいぃっ!?」




最初は約千人が勇人を取り囲んでいたが、いつの間にか不良達が風紀委員会や親衛隊に囲まれている。




門田「終わったな、あの不良グループ」




この大混戦を見たギャラリーの1人が呟くと、周りの者達もウンウンと頷く。



これは鳳凰学園の生徒全員を敵に回したも同じである。






勇人「さて、と。いよいよクライマックスだな」




勇人が不良達に一歩近づく事に、不良達は顔面を蒼白にする。






勇人「Rest in peace! 成仏しなよ?」




不良達は断末魔の悲鳴を上げて、勇人達鳳凰学園に締め上げられた。



勇人が脅迫ネタを仕込み、不良達を屈服させたのを最後に、今回の事件は終息する。



これは、後に『鳳凰のビッグ4』の基盤となった事件である。


千人の不良を相手に圧倒した猛者達の伝説が、学園に長く語られていくのだが、それはまた別の話し。







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