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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第65話 転校生の噂




騒がしかった入学式の翌日……



◆◆◆



《鳳凰学園・校門》




学園に近づくにつれて増えていく学生達の姿。



人間、神族、魔族。様々な種族の若者達が学生服に身を包んで登校してくる姿は、初音島ではこの学園独特のものだろう。




『私立鳳凰学園』



前学期までは風見学園だったが、今学期から様々な学園が超合併して出来たばかりの、歴史も建物も設備も、全てが新しい新造学園。


人間、神族、魔族が共に勉学に励む空間。そして、魔法というものに対する知識と制御法を正しく教える学舎。



同じような学校は世界各地にも作られているが、その全ての見本となっている『国立バーベナ学園』も、この鳳凰学園に合併された。




――――バッチーーン!!!!




突如背中を襲った衝撃に前へつんのめりかけるが、土見稟は右足を突きだしなんとか耐える。


ジーン、と広がる痛みを堪えながら後ろを振り向き、稟はその人物の名を叫んだ。




稟「亜沙先輩っ!!」


亜沙「は〜ろ〜♪」



元気だけなら売るほどにある、その見慣れた姿がそこにはあった。




楓「亜沙先輩、おはようございます」


亜沙「今日は悠希くんと桜ちゃんを置いて2人でご登校? 仲良いわねー」


稟「で、今の攻撃は嫉妬なわけですか?」



―――バッチーーン!!!!




亜沙「稟ちゃん、女の子っていうのは傷つきやすいんだから、もっと言葉には気を付けないとダメよ」


稟「す、少なくとも、亜沙先輩よりは俺の方が傷つきやすいと思いますが………」


亜沙「こらこら。男の子たるもの、いつでも女の子を守れるように身体を鍛えておかなくちゃ」


稟「それなりには鍛えてるつもりなんですけどねぇ……」


亜沙「つまり、まだまだ足りないってことね。それじゃあ、ボクは先行くから。あまりイチャイチャのんびりしてると『KKK』にシメられちゃうわよ」



亜沙はウインク一つ残すと元気いっぱいに駆け去っていった。





『時雨亜沙』



中学時代からの、稟と楓と悠希と桜の先輩。



中学のとき楓は料理部に入っていて、そのクラブで知り合ってきたのが亜沙である。




楓「相変わらず元気ですよね、亜沙先輩」


稟「元気というか、元気すぎるだろう、絶対に。こっちの身体がもたんぞ」




◆◆◆



《鳳凰学園高等部1年1組》




樹「楓ちゃん、俺様の胸の中へようこそっ!!」


稟「残念、外れだ」


樹「…………稟、俺様の無念の中へようこそ……」



稟を朝から迎えたのは、樹の熱い抱擁だった。




稟「昨日もそうだったが、抱きつかれる俺の身にもなってくれ」


樹「むしろ、君に抱きつかなければいけない俺様の身になってほしいね」




そんな2人のやり取りを、楓はクスクスと笑って見ていた。




楓「樹くん、おはようございます」


樹「楓ちゃん、おはよう。相変わらずの可愛さは、もう犯罪だよね。俺様逮捕しちゃっていいかい?」




麻弓「何、歯が銀河系外まで浮かんでいきそうなセリフ吐いてるのよ。自分のキャラ考えなさい」



心底呆れたような顔をして、奥から女学生が一人やって来る。




楓「麻弓ちゃん、おはよう」


稟「おっす」


樹「俺様の甘いマスクには、少しくらい歯が浮く程度の言葉が丁度いいんだよ。麻弓にも、もう少し胸があったら言ってあげるところだけどね」


麻弓「熾烈に激烈に猛烈に御断り申し上げます。大体、私くらいに胸が小さい子って貴重なんだから。平均より小さいってことは、それだけ数も少ないってことなんだし。全体の比率で考えれば、むしろ売り手市場なのよ」



フフンと笑いながら、麻弓は無い胸を張ってみせる。




楓「ま、麻弓ちゃん………」


麻弓「とりあえず、転校生に緑葉くんを近づけないようにした方がいいわね」


樹「へぇ………」


楓「そういえば昨日そんな噂がありましたよね」


稟「なんだ、情報入ったのか?」


麻弓「詳しいことはまだだけど、転校生は4人。それも4人共にうちのクラスらしいのですよ」


樹「ふ、ふふふふふふ………」


楓「4人共、ですか………?」


稟「昨日入学式だったのに急だな。まぁ、うちの学園の性質を考えれば転校生が多いのも頷けるんだが……他種族か?」


麻弓「とりあえず、それは確かみたいなんだけど……」


樹「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ………」



稟「にしても、さすがに4人同時、それも同じクラスってのは変じゃないか?」


麻弓「んー………変よね」


楓「4人共このクラスに好きな人がいて、無理を言って同じクラスにしてもらった、なんていうことは…………」


稟「んなマンガみたいなこと、現実にあってたまるかって」


麻弓「そうそう。そんなどこかのご都合主義的ゲームじゃあるまいし」


楓「………ですよねぇ」


樹「はーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!!!!!!!!」



稟「………出来ればあえて無視したかったところなんだが、いい加減嫌になってきたな。どうした樹。さっきから気味悪い笑顔を浮かべて」


樹「いやぁ、俺様を遠ざけるっていうことは、4人のうち最低1人は女子だってことだからね。そう思ったら嬉しくて嬉しくて♪。未知の女性との出会いは、いつだって喜びと感激のフルコース! それに、俺様の勘から言わせてもらえば、超極上の香りがするし」


稟「……なんの匂いを嗅いでいるつもりだ、お前は……」





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あきゅろす。
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