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異界への旅〜FAIRY TAIL〜
第22話 バニッシュブラザーズと魔導士処刑人





◆◆◆




俺達が逃げ込んだ部屋は、部屋の壁側にビッシリと並べられた本棚がある部屋だった。


軽く図書館みたいな部屋だな。




勇人「とりあえず、この部屋探すか」


ルーシィ「そうね」



ナツ達も既に探しにかかってるし。


近くの本棚から順に、並べられている本のタイトルに目を通していき、目的の本を探す。



えーと……『魔法の書-入門編-』『東洋の神秘』『恋する乙女は嫉妬で男を呪い殺す』『騎士道物語』『モンスター大百科』『これで貴方もモテモテに! 誘惑の惚れ薬調合法』『Hな新任家庭教師〜淫欲の放課後〜』『恋する乙女は片手でアクノロギアを滅ぼす』『痴漢馬車〜犯された処女〜』『恋する乙女は聖なる白魔法で黒魔導士ゼレフを葬る』

………おい、何かエロいのと物騒な恋愛?小説が多いんだが。




ルーシィ「エバルー公爵って、頭悪そうな顔してるわりには蔵書家なのね」




『敏感な処女は列車に乗って〜神の手を持つ男の痴漢技術〜』『サバイバル〜生き残りをかけたデスゲーム〜』『恋する乙女はカオス理論を凌駕する』『最終痴漢列車〜汚された巨乳魔導士〜』『拷問の歴史』『大きく振りかぶって斧を振り下ろしたアイツの身体は血に染まり』『恋する乙女の涙は枯れ果てた世界樹を潤す』『メイド凌辱日誌〜御主人様に抱かれて〜』

………おい、エロいのと物騒なのしかないんだが。




ルーシィ「これ全部読んでるとしたら、ちょっと感心しちゃうわね」


勇人「そうか、ろくな本しかねぇぞ?」


ルーシィ「………うわ、何? そっちの本棚エロい本くらいしか置いてないじゃない」


勇人「むしろこのタイトルの中に、普通の本が置いてあることに違和感を覚えるぜ」


ルーシィ「あー、でも『恋する乙女シリーズ』もある。純愛小説も読むのねぇ、顔に似合わず」


勇人「Σこの『恋する乙女シリーズ』って純愛小説なのかっ!?」




本日一番の驚きである。






ナツ「Σあったぁぁぁぁぁ!! 日の出-デイ・ブレイク-!!!!」


ハッピー「見つかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


勇人「マジで?」




ナツが持っている金色の本に目を向けると、その本のタイトルは確かに『DAY BREAK』と書かれていた。




ルーシィ「こんなにアッサリ見つかっちゃって言い分け!?」


勇人「ま、見つかったんだからいいんじゃねーか?」




随分アッサリと見つかったが。





ナツ「さて、燃やすか」


ルーシィ「Σちょ…ちょっと待って!?」



言って、ルーシィはナツから本を引ったくった。




ルーシィ「こ…これ……作者ケム・ザレオンじゃない!!」


ナツ「ケム?」


勇人「確か…魔導士でありながら小説家だった男……だっけか?」



レヴィに借りた本にも、何冊かケム・ザレオンの名前があったような気が………。


アイツがケム・ザレオンのファンで、よく話聞かされてたっけ。


だが、日の出-デイ・ブレイク-なんてタイトル聞いたことねーけど。





ルーシィ「私、大ファンなのよ!! ケム・ザレオンの作品、全部読んだハズなのに、未発表作って事!?」


勇人「……ルーシィ、その本燃やすってこと分かってるか?」


ルーシィ「Σ何言ってんの!? これは文化遺産よ!! 燃やすなんてとんでもない!!」


ハッピー「仕事放棄だ」


ルーシィ「大ファンって言ってるでしょ!!」


勇人「今度は逆ギレか……」


ルーシィ「じゃあ燃やしたって事にしといてよ!! これは、私がもらうから!!」


ナツ「ウソはやだなぁ」


ルーシィ「この世に一冊しかないのっ!! 燃やしちゃったら二度と読めないのよ!!」




ま、気持ちは分からなくはないが、仕事は仕事だ。


依頼は果たさなければならない。





勇人「……ま、それなら依頼人であるカービィさんのところに持っていって、頼んでみたらどうだ?」



この世に存在しているから消したいのか、それともエバルーのところにあるから消したいのか……依頼人の言葉から察するに前者だろうが、頼めば読ませてくれる位のことは出来るかもしれねーし。



なんてことを考えていたその時、





エバルー「なるほどなるほど、ボヨヨヨヨヨ………貴様等の狙いは“日の出-デイ・ブレイク-”だったのか、泳がせておいて正解だった!!」




不快な声と共に、不愉快な姿が床から飛び出してきた。





ナツ「ほら、もたもたしてっから!!」


ルーシィ「ご……ごめん」


勇人「ま、侵入には気づいてたみたいだし、遅かれ早かれだ……」



この屋敷に入る辺りから、ずっと誰かに監視されてる視線は感じていた。


まぁ、取るに足らないことだから放っておいたが……。




エバルー「ふん…魔導士どもが何を躍起になって探してるかと思えば、そんなくだらん本だったとはねぇ」


ナツ「くだらん本?」



依頼人が200万Jも払って破棄したい本を、所有者のエバルーまでもくだらないと………?





ルーシィ「も…もしかしてこの本、貰ってもいいのかしら?」


エバルー「嫌じゃ、どんなにくだらん本でも我輩の物は我輩の物」


ルーシィ「ケチ」


エバルー「五月蝿い、ブス」



エバルーのブス発言がグサリと来たのか、ルーシィが崩れ落ちた。




ナツ「燃やしちまえばこっちのモンだ」


ルーシィ「Σダメ!! 絶対ダメ!!」


勇人「あのなぁ、ルーシィ。仕事だぞ?」


ルーシィ「じゃあせめて読ませて!!」


勇人達&エバルー『Σここでか!?』


床にドッシリと座り込んで本を読み始めたルーシィに、俺とナツとハッピーどころか、エバルーまで一緒に思わずツッコミをいれてしまった!?





エバルー「ええい!! 気に食わん!! 偉ぁぁぁぁぁい我輩の本に手を出すとはっ!!」



憤慨した様子のエバルーは、





エバルー「来い!! バニッシュブラザーズ!! 魔導士処刑人!!」



そう高らかに叫ぶと、さっきまで俺達が調べていた本棚が横にスライドして動き出し、





「やっと仕事の時間か」


「仕事もしねぇで金だけ貰ってちゃあママに叱られちまうぜ」



本棚の奥から3つの人影が現れた。




「グッドアフタヌーン」


「ほぅ…コイツらが噂の、フェアリーテイルの魔導士か」



現れたのは、でかいフライパンを背負ったハゲ、鶏みたいな髪型をした鼻デカ野郎に、西部劇に出てくるカウボーイのような風貌をした3人の男。





ハッピー「あの2人の紋章、傭兵ギルド『南の狼』だよ!!」


ナツ「こんな奴等雇ってたのか!?」


勇人「……で、もう一人は、最近有名な『魔導士処刑人』か」



主に懸賞金が掛けられている闇ギルドの魔導士を対象に、魔導士の抹殺を生業としてる賞金稼ぎ。


『魔導士処刑人』という2つ名が付けられた男。





シュライヤー「フェアリーテイルに覚えて貰ってるとは、俺も有名になったもんだぜ。俺の名はシュライヤー……シュライヤー・ヴァスクードだ。夜露死苦、妖精皇帝-フェアリー・カイザー-さんよぉ」


勇人「……俺のこともご存知なわけね」




有名は互い様か。





エバルー「バニッシュブラザーズ!! 魔導士処刑人!! あの本を奪い返せ!! そして殺してしまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」





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