明日の値段〜End of Hypnosis〜 第62話 腕試し ◆◆◆ シグナム「………おい、勇人」 勇人「あ゙ぁ゙?」 シグナム「あの男1人で大丈夫なのか? 以前、途中までお前とあの男との闘いを観ていたが、とても勝てるとは思えんのだが……」 勇人「豪輝なら問題ねぇよ。つーか、あの場に残ってても豪輝が加勢させねーだろうし。南川とかいう野郎も、俺は通すつもりだったみてーだからな。あの場に残んのは時間の無駄だ」 シグナム「………そうか」 クロノ「みんな、突入するぞ。構えろ!」 いつの間にか次の敵がいそうな部屋の前まで辿り着き、勇人達は扉を開けて突入する。 ◆◆◆ 南川「フッ……オスティア王宮守護警備隊長を勤めた俺様を三下呼ばわりたぁ、面白い。ここぁ1つ、互い自慢の両腕だけで………」 南川は手に握っていた鎖を離して、トゲ鉄球を棄てた。 南川「文字通り『腕試し』といこうじゃねぇか!」 豪輝「はっ! 上等だゴラァッ!!」 豪輝は階段を一気に駆け上がり、南川へ突っ込む。 豪輝「オラァ!!!!!!」 ガシッ、と互いに相手の手を取り、腕力を頼りに押し合う。 文字通りの腕試しである。 ◆◆◆ 勇人「………で、次はデブとチビのコンビが相手かよ」 勇人達が入り込んだ部屋には、何度か出てきている短身の男『北島』と、はやてを拐った時にもいた肥えた男『西山』の2人が待ち構えていた。 北島「東条と南川は何してやがんだにょーぅ!?」 南川「俺が知るわけねーだろうが。コイツらがここに来たんだから殺られたんだろ」 実際1人は現在進行形で戦っている最中であるが、柳生組はその事に気づいていない。 クロノ「………勇人、君は先へ行ってくれ」 S2Uを携えたクロノが一歩前に出て、相手2人の背後にある扉に視線を送る。 クロノ「いつまでも下っ端に足止めを食らっている訳にはいかないからな!」 西山「俺達が下っ端か……ガキのクセして言いやがるじゃねぇか」 北島「この俺を今までの俺だと思うなにょ!!」 ユーノ「それ、完全に死亡フラグだよ………?」 クロノに続くようにユーノも一歩前に出て、クロノの横に並ぶ。 ユーノ「僕も加勢するよ。向こうも2人だし」 ザフィーラ「騎士のやり方にそぐわぬが、我もその戦列に加わろう」 ヴィータ「ま…2人より倍の人数で戦れば直ぐに終わるだろ」 アイゼンを肩に担いだヴィータやザフィーラも、クロノとユーノの隣に並び各々の相手に別れた。 北島にクロノとユーノが、西山にヴィータとザフィーラが付く。 ヴィータ「シグナムとシャマルは勇人に付いて行って、早くはやてを助け出してくれ!!」 ザフィーラ「ここは……我等が引き受けた!!」 シャマル「ヴィータちゃん、ザフィーラ………」 シグナム「……この場は任せたぞ」 勇人とシグナムとシャマルは4人が敵を足止めしている隙に、奥の扉を抜け出し先へ駆け出した。 北島「お、おい、いいのか。奴等を行かせちまって!?」 西山「この状況じゃ仕方ねーだろうが。それに、元々神爪勇人は御頭のもとに通すって話しだろ。それより………」 西山はこの場に残った者達を見据え、北島を一瞥する。 西山「気ぃぬくんじゃねーぞ。闇の書が手に入ればコイツらは用無しだ。この場で殺すぞ」 北島「わ、わかってらぁ!!!!」 ◆◆◆ はやて「…………ぅ……ん…………」 気を失っていたはやてが目を覚ます。 リインフォース「………目が覚めましたか?」 はやて「リインフォース!?」 はやての騎士服はいつの間にか解かれており、今は元の服装でリインフォースと一緒に、椅子に座り込んでいた。 腕にはリインフォースもはやても手枷が付けられており、その枷のせいなのか魔法が使えず、体内の魔力も感じ取ることが出来ない。 寛「………気がついたようだな」 はやて「貴方は………?」 リインフォース「主を誘拐した者達の親玉です」 はやて「!?」 寛「勘違いするなよ。貴様の持つ闇の書などに俺は興味がない。それを欲しがっているのは、欲にまみれた商人だ」 柳生寛は懐から一振りの短刀を取り出して、はやてに投げ渡す。 はやて「これは………」 寛「ヘタに希望は持たない方がいい。神爪勇人達がお前らを奪還しに来ているが、奴等はこの展望台まで辿り着けはしない。お前が闇の書を手放さなければ、待つのは救済ではなく拷問」 はやて「!」 寛「苦痛の生か、安息の死か。せめてもの情けだ、自分の望む方を選ぶといい」 無表情でそれだけを告げて、心底どうでもよさそうに八神はやてに一瞥もくれないで、柳生寛は展望台から出ていった。 [*前へ][次へ#] |