明日の値段〜End of Hypnosis〜
第43話 勇人VSグリード&ラース
◆◆◆
《空》
リニス「―――本当に、厄介な事になりましたね……」
結界魔法を察知して、直ぐ様目的地へと向かうリニスとカノンノ。
美沙斗、恭也、美由希、豪輝の4人は港から去っていった柳生寛とハボルムを追って別に動いている。
カノンノ「ヴィータ達の魔力を感じられない……やっぱり……」
リニス「ええ。さっき勇人から念話が飛んできました」
闇の書に守護騎士達はリンカーコアを取り込まれ、戦場には七大罪の2人が乱入している。
リニス(……他の組織の者達も動き出すのでしょうか)
◆◆◆
《とあるビルの屋上》
佑二「―――本当にいいのか? 七大罪とかいうふざけた野郎共が、闇の書を狙ってるが……」
ビルの屋上から結界を遠目で見ていた悪魔の軍勢《デビルソルジャーズ》の一角……永濱佑二が、隣にいる男にそう問いかけた。
「ええ、何も問題ありませんよ」
佑二の横で、煙管をその手で遊ばせている、長身痩躯で和服を着ている男……エディオスはのんびりとした口調でそう答えた。
エディオス「彼らも我々と同じ目的でしょうが、問題ありませんよ。手に入れる数が多くてもしょうがありませんし、下手に3つ揃えると我々の手に負えなくなる可能性もあります」
佑二「まぁ、そうかもしれねぇが……」
エディオス「彼らや我々の目的は闇の欠片…『闇の書の構築体』……マテリアルですからね。まぁ、我々が手に入れようとしているマテリアルと被ることがあれば、容赦はしませんが…今は管理局が闇の書の暴走を阻止するのを待ちましょう」
◆◆◆
―――ガキィン!! ガキィィン!!
勇人「チィッ……」
西洋剣を携えたグリードと、巨体で突っ込んでくるラースの2人を相手に空で戦っている勇人。
さすがに七大罪を相手に2VS1では分が悪いのか、かなり面倒臭そうな顔をして戦っている。
勇人(コイツらレベルを相手に、影分身とかで数増やしても効果なさそうだからなぁ……かといって召喚術や口寄せしてる余裕もねえだろうし)
思考しながら相手の様子を伺って、勇人は指先から自身の能力を発動させる。
―――ピキ、ピキィ……
勇人の指先から手、手から前腕といった順で身体が黒く変色していく。
グリード「む………?」
その様子を訝しげに見るグリード。
グリード「……何だアレは、奴の能力か?」
ラース「ああ、お前知らなかったのか? アイツは七大罪のSEED能力を二つ持ってんだよ」
グリード「二つ?」
ラース「そうだ」
両腕の肘まで黒く変色した勇人は、更に指を刃のように鋭くさせる。
勇人(SEEDを完全に解放するには、まだ早計過ぎるからな)
勇人は虚空瞬動で宙を蹴り、グリードとラースに一気に詰め寄った。
グリードは勇人を迎撃しようと、手に握る西洋剣を勇人に向かって横に一閃させる。
――――ガキィィィィン!!
グリード「!?」
勇人はグリードの剣を、その黒く変色した右手で受け止めた。
グリード(何だ、コイツの黒く変色した腕は? 気や魔力とは違う何かのようだが……)
斬れないと判断したグリードは、剣で勇人の右手を弾き、一旦後ろへ下がり距離を取る。
ラース「うらああぁぁぁっ!!!!」
ラースは勇人の背後から、その豪腕を振るい拳を叩きつける。
―――ドゴオォン!!!!
だがその拳も、勇人の変色した左腕で防がれる。
ラース「ハッ、相変わらず頑丈だな。テメーの能力は」
勇人「お前ら程度じゃあ、俺の『無敵の盾』は破れねぇよ」
それは勇人が持つSEED能力の、二つの内の1つ。
人体の構成物質で高硬度、耐磨耗性質に変化しうる物質。
それは人体の3分の1を占める炭素。
炭素原子は結合の度合いによって、鉛筆の芯からダイヤモンド並みにまでその硬度が変化する。
勇人「炭素で極限にまで硬度を高めた、俺の『無敵の盾』にお前らは傷を入れられるか?」
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!