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明日の値段〜End of Hypnosis〜
第33話 仮面の男





勇人「カノンノ程度は騙せても、俺を騙せると本気で思ってやがったのか?」



エンヴィー「思ってはいなかったけどね。でも、アンタの居場所位はこのお嬢ちゃんを付ければ分かると思ってさ」




勇人はこの砂漠に着いてから、気や魔力といった気配は戦闘中以外は消していた。極力管理局などに見つからないようにするための措置である。


他の連中は気配を完全に消すことは出来ないから、見つからないは勇人だけだが……







勇人「……で、お前がカノンノの後つけて来た理由は何なんだ? 七大罪も闇の書の完成を目的にしてるんなら、俺のとこ来てないで管理局の妨害でもしてくれりゃあいいだろ」



エンヴィー「私が此所に来たのはアンタの足止めだよ。理由はよくわからないけど、仮面とは目的が同じみたいだからねー」



勇人「あ゙? 仮面?」







―――ガキイィィィィンッ!!!!




勇人の耳に、二つの金属がぶつかり合った音が聞こえた。



それは、戦闘でここまで移動してきたフェイトとシグナムによるものだった。


勇人達とは大分距離が離れていて、戦闘中であるフェイトとシグナムは勇人達の存在を視認出来ていない。








だがその戦闘に異常が起きた。




フェイト「―――ぁ―っ――!?」


シグナム「ッ!!?」




フェイトの背後から、何者かが腕をフェイトの胸に貫通させ、リンカーコアを抜き出しているのを、勇人は視認する。





勇人「チッ!」




勇人は口の中で舌打ちしつつ、フェイトとシグナムの下へ飛ぼうとするが





エンヴィー「だーから、このために私がここにいるの!」




エンヴィーが勇人の前に立ち塞がり、勇人の進路を塞ぐ。





エンヴィー「アンタなんだかんだ身内や女子供に甘いからねぇ。他の見知らぬ管理局員ならともかく、対立してるといっても知り合いの子達は魔力徴収に手をかけたりは出来ないでしょ?」



勇人「……いい度胸だよテメェ」




勇人は待機状態のデバイスを起動させて、バリアジャケットを身に纏う。




勇人「押し通らせてもらうぜ」



続けてデバイスを起動しようとするが、その勇人の前にカノンノが立ち、エンヴィーにデバイスを向ける。



カノンノ「勇人はフェイトとシグナムの処に行って! この人は私が止めるから!!」



セブンスサマーを持ったカノンノが、エンヴィーから視線を逸らさず勇人に言い放つ。


そのカノンノの言葉が余程可笑しかったのか、エンヴィーはゲラゲラと大声で笑いこけた。





エンヴィー「私を止める? アンタが!? 寝言は寝てから言いなよねー」



勇人「……癪だが、エンヴィーの言う通りだぜ? お前じゃアイツの相手は無理だ」


カノンノ「む…そんなことないよ、私1人でも足止めくらい―――」


エンヴィー「――残念だけど1人じゃないんだよ」



エンヴィーの真横の地面に突如魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣から仮面を被った黒髪の男が1人現れた。




勇人&カノンノ「「!?」」



その男は、ついさっきフェイトを襲った男と同じ仮面を被っているが、髪型や髪の色や身に付けているものが違っている。






勇人「なんだコイツ……」


エンヴィー「もう1人の協力者♪」








◆◆◆




一方その頃。地球で龍の事を嗅ぎ回っている美沙斗、恭也、美由希、リニスの4人は何の情報が入らないまま街を歩いていた。




美沙斗「――簡単には見つからないと思っていたが、まさかここまで情報が皆無だとはな」



恭也「ここまで調べても何の情報もないと、龍が海鳴市にいるっていう情報もデマの可能性がありますね」



手懸かりがあるとすれば、約一年前に海鳴市で起きた『六道事件』。


その事件に関与していた者達の顔写真くらいだが、大して役には立たない。


何名か脱獄したという情報は警察から入ったが、その脱獄者の行方までは不明なまま。




美由希「一度戻って勇人さんに、警察や軍の人に捜索を頼んでもらった方がいいんじゃない?」



相手は国際規模で動き回る韓国マフィア。


世界政府や地球連邦軍、警察等に強いコネクションを持つ勇人に捜索の依頼を頼んでもらえば、このまま探し続けるよりは見つかる可能性はある。




リニス「まぁ、強いコネクションを持っているといっても勇人も一応犯罪者の部類に入りますから、相応の代価は払わないといけないでしょうが……」



山猫状態で美由希に抱かれているリニスは、探索魔法で街に何か異常が無いかを常時調べているが、一向に何も異常はない。


街は平和のようだった。















――――ドゴォッ!!!!!!





美沙&恭&美由&リ「「!」」



歩いていた美沙斗達の前に、突然横の居酒屋から扉をぶち破って人が飛んでいく。




それに続いて何人かが、何かから逃げるように店から血相を欠いて出ていく。





恭也「………何だ?」



豪輝「――ったくよぉ。酔って喧嘩売ってくんのは構わねぇが、相手を見て喧嘩売れってんだよなぁ」



その店の壊れた扉から、勇人が病院送りにした獅子尾豪輝が欠伸をしながら気ダルそうに出てくる。





美沙斗「君は確か……」



豪輝「! おー、勇人の連れじゃねぇか!!」



恭也「貴方は確か、入院してたはずじゃあ……」



豪輝「ヘッ。俺は打たれ強さが売りなんだぜ、こんな怪我3日もあれば治らぁ」


美由希「全治3ヶ月の筈だったと思うんですけど……」



豪輝の身体には多少包帯が巻かれてはいるが、確かにもう殆ど傷は塞がってるようだった。




リニス(物凄い自然治癒力ですね……)



豪輝「で、オメェらこんなとこで何してやがるんでぇ?」



恭也「まぁ、ちょっと人探しというか……」



美沙斗「とある組織を追ってるんだがな、その情報が中々見つからないのだよ」


豪輝「へぇ…何て組織何でぇ?」



美沙斗「『龍』という韓国マフィアだ。その一員がこの海鳴市に来ているという情報があってね」



恭也「……言ってしまっていいんですか?」



美沙斗「何の情報も入ってないんだ。この際どんな噂程度の情報でも手に入れないと、捜査が進展しな―――」

















豪輝「―――龍の一員ならついこの間会ったぜ」



美沙斗「……………なんだと?」



豪輝「俺に神爪勇人に喧嘩を……抹殺の依頼をしてきたのが、ハボルムっつーオッサンだ」



美由希「ハボルム!?」




六道事件の際、美由希はそのハボルムという男と直接対峙していたから、その男の事は鮮明に覚えている。




豪輝「何かワケありみてぇだな。何ならそのワケを聞きながら、依頼時に俺に教えたアイツの宿泊してるホテルまで案内しようかい?」





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