明日の値段〜End of Hypnosis〜
第8話 アフロとモヒカン
◆◆◆
勇人がシグナムに連れ去られて、美沙斗がザフィーラと戦っている頃…。
なのはも謎の襲撃者と戦っていた。だが、敵の使ってくる未知の魔法に苦戦して殆ど歯が立たない。
『カートリッジロード』という謎の力は、術者の魔力を一時的に爆発的に上昇させる。その力により、なのはの射撃魔法は簡単に防がれて、防御するために展開したマジックシールドは容易く破壊されてしまう。
赤いゴスロリの格好をしてハンマー型のデバイスを使っている、赤い髪をした御下げの少女『ヴィータ』になのはは手も足も出ずにやられてしまった。
街に無数に建っているビルの屋内に弾き飛ばされて動けなかった所に、助けは来た。
ヴィータ「っ、仲間か!?」
「……友達だ」
そこには、半年程前にこの海鳴の地で出会い、敵として戦い、和解し、友達になった少女…フェイト・テスタロッサがいた。
フェイト「……私は時空管理局嘱託魔導師フェイト・テスタロッサ。あなたを逮捕します」
◆◆◆
一方勇人はシグナムに抱えて連れ去られて、今は何処かのビルの屋上にいた。
勇人(…あ゙ー……クソ。妙な傷だな……回復に時間がかかりすぎる……血ィ流しすぎて…意識が朦朧としてきたぜ……)
普段の勇人なら、土手っ腹に風穴を開けられても再生することが可能だが何故か今はそれが出来ず、今でも腹から血がドバドバと流れている。
勇人(…ヤベェ…意識が遠退いて幻覚が……オカマ畑…間違えた、花畑まで見えてきやがったぜ……)
もう相当ヤバいモノを見てしまい、勇人はそこで意識を落とした。
シグナム「―――シャマル」
腹から血を垂れ流してる勇人を抱えてシグナムは仲間の下へ戻った。シャマルと呼ばれた金髪のショートヘアの女性はシグナムの声に振り返り、直ぐに目立ったその抱えているモノに眼を向けて疑問を問いかけた。
シャマル「ねぇ、シグナム…その抱えている人は一体……」
シグナム「ああ、コレはさっきまで私と戦っていた魔導師だ。魔力の徴集を頼む」
シャマル「それは分かったけど…この人の傷は、シグナムが………?」
シグナム「いや………」
シグナムは先程まで起きたことをシャマルに説明した。勇人に傷を負わせた、赤いバンダナを頭に巻いた謎の男の事を…。
シャマルはシグナムの説明を聞きながら、勇人の魔力の核でもあるリンカーコアを抜き取って、その手に持つ魔導書に抜き取った魔力を納めた。
シャマル「…この人、とんでもない程の魔力量よ。魔力の反発力が強すぎて少ししか徴集出来なかったけど、それでも50ページは埋まったわ……」
シグナム「それは凄まじいな…一体何者だ……?」
勇人は魔力を奪われて、今はグッタリと地面に横たわって気絶している。只でさえ深傷を負っていた状態で魔力まで奪われて、息も絶え絶えの状態になっている。
勇人「…も、モヒカンが…モヒカンとアフロのコラボレーションがぁ…っ……」
シグナム「どんな夢を見てるんだ………」
シャマル「……治癒魔法をかけといた方がいいかしら……?」
シグナム「…そうだな。敵とはいえ、局員の魔導師ではないようだし……」
勇人の気絶して見ている夢に若干の好奇心と大半の呆れを胸に抱きつつ、シャマルは勇人に治癒魔法をかけた。
勇人「――アフロがチャンピオンなのかチャンピオンがアフロなのか! それは現代の科学力を持ってしても解明出来ねぇんだあぁぁぁぁーーーーーーッ!!!!」
シャマル「Σキャァッ!?」
地に横たわっている勇人に治癒をかけるときに、必然的に勇人の直ぐ側でしゃがんで魔法を使っていたシャマルは、急に起き上がって訳の解らないことを大声で叫んでいる勇人に驚いて尻餅をついてしまう。
勇人「…………」
シグナム「………」
シャマル「…………」
急に黙って立ち尽くす勇人に怪訝な視線を向けるシグナムとシャマル。するとクルリと勇人の顔が2人の方に向き、2人と視線が交差する。
勇人「…………」
シグナム「…………」
シャマル「…………」
勇人「………何なんだお前らは?」
いきなり起きたら見知らぬ場所にいて見知らぬ女性が直ぐ側にいて、勇人は2人にといかけた。1人はつい先程まで戦っていた相手だが、もう1人は見たことがない。
だがそんな勇人の言葉に、2人は肩をふるふると震わせて……
シグ&シャ「「それはコッチのセリフだぁ(よぉ)ーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」」
勇人「Σうおっ」
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