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The dream which binds you


深夜アッシュは目を醒ました。冷えた体が痛い。隣に在ったはずの温もりに手をのばすと温もりが何時の間にか消えていた。
「ルーク………?」
ルークが居なくなっていた。


「こんな所に居たのか、ルーク」
「ひっ!嫌、嫌だ」
「ルーク?」
「さ、触るな!」
触ろとアッシュがのばした手をルークが叩く。
合っていない焦点がアッシュを見つめた。
錯乱状態。ルークはたまにこうなる。
人を判別出来なくなり、酷ければ他人に手をだす事もある。
つまりは意識があって無いようなものなのだ。

「ルーク、落ち着け」
「………っひ!」
アッシュがルークを抱きしめる。
ルークも無抵抗な筈もなく、手足をばたつかせて暴れた。
不意にルークの手がアッシュの顔に当たった。
「……!あ、」
泣きそうにルークの顔が歪む。
「ご、ごめんなさい………赦して……」
「大丈夫だ、痛くはない。落ち着け、ルーク」
アッシュが優しい声で言い、ルークの背中を撫でた。
ゆっくりとルークの目の焦点が合い、呼吸が落ち着く。
「アッシュ……?」
「そうだ。ルーク、何があった?」
「夢を見るんだ……」
「夢?」
「手が伸びてきて、俺を掴むんだ。お前が殺したんだって、なんで生きてるんだって………」
「それは夢だ」
「それはわかってる、わかってるんだ!でも、……俺が殺した、殺したんだ」
蚊の鳴くような声でルークは言った。


あの夢が、ルークを縛る。
ルークの罪がルークを責める。
そしてルークは眠れない。夢に縛られながら。



「あいつはまだ、眠れないのか」

アッシュは一人、空を見上げた。

風がアッシュの髪を巻き上げていった。



あきゅろす。
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