はじめまして
「はじめまして、だな」
「いきなりどうしたんですか?」
公爵―――クリムゾンが呟いた言葉にルークは驚いた。
この場には自分とクリムゾンしか居ない。なら、さっきの言葉は自分に向けてのものだ。
だけど、初対面では無い相手に「はじめまして」はおかしい。
「いや、本当にルーク、お前を見たのは―――いや、本当のお前と逢ったのは初めてだ」
目を細めてクリムゾンは言う。
ゆっくり、溜め込んだものを吐き出す様に。
「改めて言おう。ルーク、――――愛してる」
「―――っ!!」
ルークは顔を赤くした。
慣れてない言葉を、しかも至近距離で言われたからだ。
目から溢れる雫が止まらない。
胸が苦しくて堪らない。
愛が―――溢れ出す。
その時に、
「父、上………。俺も―――!」
或いは叫ぶ様に。
或いは囁く様に。
或いは溢れ出す。
――――愛してる。
はじめまして、さようなら――――昔の自分。
また、歩き出す。
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