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-惟神の道--
豊玉姫の出産


*宮崎の青島


*宮崎県の青島、周囲約1・5キロほどの小島で山幸彦が、海中のワタツミの宮より上陸した地が、この青島と言われています。

国指定天然記念物のビロー樹が約五千本をはじめ、宮崎の県花である(はまゆう)など多くの植物が自生しています。

対岸とは弥生橋で結ばれ、干潮のときには鬼の洗濯板と呼ばれる波状岩が島の周囲に現れ出て歩いて渡ることができます。

この海幸彦・山幸彦の物語りは、どこか浦島太郎の話しにも似てますよね。
山幸彦が建てた大宮が青島神社の創始とされていて
山幸彦の宮殿があったという青島神社。
この海幸彦・山幸彦の物語りは、どこか浦島太郎の話しに似ていることから、青島では夏になると大海ガメに酒をたっぷり飲ませ、浦島太郎の人形をのせて海に放つという「カメ祭り」が行われます。


さてさて、次の場面へと移ります。
やがて身ごもった豊玉姫が陸へ帰った山幸彦のあとを追ってきてから
「天つ神の御子は海の中で産んではならないと思い参上してまいりました。」
といってから

鵜(う)の羽(は)で葺(ふ)いた産屋をつくらせたが、まだ葺き終らないうちに皇子が誕生してしまいました。
このことから、この名がついたというのが
日向三代の王となり初代神武天皇の父君になる
ウガヤフキアエズノミコトなんです。

しかし、出産の最中に大変な出来事が発生した。
豊玉姫さまは夫の山幸彦に
「子を生むときには必ず本国の正体に戻って生むものですから
私も元の姿になって生もうと思いますが、どうぞくれぐれも覗いてごらんになりませんように…」
と、念を押して頼みました。
しかし山幸彦は姫の言葉がどうにも気になって仕方がない。

そこで、そっと中を覗いてみると、何と妻は、八尋(やひろ)もある長い鰐(わに)になってから、のたうち回ってのお産の最中であったというのです。

びっくり仰天したミコト
は驚いて逃げ去ってしまいました。

そこで豊玉姫は夫に自分の正体を覗き見られたことを知って、たいへん恥ずかしく思われ

皇子を生みおえると
「私は海の中から毎日欠かさず、ここに通ってまいるつもりでおりましたが
こうして正体を知られて
しまったからには、もう恥ずかしくてもう二度と訪ねてくるわけにはまいりません。」
と、海の道をふさいでワタツミの宮へ帰ってしまいました。

ワタツミの国に戻った姫は約束を破ってから覗き見した夫を、はじめは、やや、恨みに思ったものの

やはり、愛する夫や生んできた子のことが恋しくてならなくなるのでした。

そこで自分の妹の玉依姫(たまよりひめ)を、御子の養育のためにつかわしたのでした。

そして、妹に夫への恋文をもたせて
*赤玉は緒きへ光れど
白玉の君が装し貴くありけり
「赤い玉は玉飾りにすると、その糸までも、キラキラと光って美しいものですが、わたしはそれにもまして白い玉のほうが好き。

なぜなら、白い玉の輝きは、あなたの白く美しい
そして気高いお姿をなつかしく思い出さしてくれるから…」

これの返歌として山幸彦は
*沖つ島 鴨が着く島に
我が率寝し 妹は忘れじ
世のことごとに
「沖にいる仲よしな鴨が
よりつく、あのワタツミの
宮殿で、ともに寝、交わり、契りをかわした愛しい
そなたを、どうして忘れることができようか
わたしの命のあるかぎり
いつまでも…」

こうして、愛し合いながらも離れてくらす二人は歌をおくりあって心を通わせたのでした。



*覗き見されてから、本来の姿がばれてしまう。
そんな神話や民話は多くあります。

イザナギとイザナミにも出てくるし、民話の鶴女房や蛤女房と同様のモチーフです。

その結果は、だいたい人間の姿ではない、つまり異族なので、女はいたたまれなくなって姿を消してしまい
夫婦関係が終わってしまう。

*鵜戸神宮は、ここは豊玉姫が子を生んだところと伝わっています。


トヨタマ姫は海の神の娘
である、神名の意味は姿かたちの見目麗(みめうるわ)しい女性をあわらすものです。

いっぽう豊玉姫の妹の玉依姫の玉依とは霊憑(たまより)からきたものであり神霊が依り憑くという意味であり、タマヨリ姫とは神霊の依りつく乙女(神に仕える巫女)であると解釈もできます。




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