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The.Last.Days
セントエルモの火
この日はとても静かな日
まだ海は時化(しけ)る
気配はありませんが



空はどんよりと曇り空
太陽はとっぷりと水平線
に沈みして


裕美子のいる甲板の
あたりは、足下は暗い


まさに昔、船乗りは
真っ暗な闇の海を進む


帆船の出す白波…
真っ暗な夜の海に不思議な光りがところどころに
輝いてます。


裕美子は不思議そうに
見てマリーチィーさんに
たずねてみました。

「あれは?何かしら?
マリーチィーさん」

マリーチィーさんは

「たぶん夜光虫が
キラキラと煌めいてるのでしょうね!」


また、しばらくして
ちょうど生暖かい風と
また霧がでてきたらしい


裕美子は空を眺めて
辺りを見渡してから

「星はないのね…」と
感じたそうで

まだ星があまり見えなく
まわりもよく見えません

そのときに…帆船の
船の下からボャーッと


青白い薄明かりが
海底から上がってくるのを裕美子もみてた。


まわりは視界はないのですが船のまわりに打ちつける波の音…

耳を澄ませば…遠くで
波と波が揺れ動く微かな
さざ波の音がするだけ


そして!やや薄暗い海の
真ん中そこだけが…光る


裕美子は海面を
ずっと眺めていました

それが海面に広がりて
やがて…

青白い海面のざわめきの
中から一瞬だけ


裕美子の目には
白い透明な無数の手に・
なったのを感じたらしい

いや…垣間見たのでしょう


マリーチィーさんは

「招かざる亡霊みたいやね…」
「こっちも幽霊船なのに
こまったもんやな…」

「裕美子さん
大丈夫だからね!」


白い霧の中に手のカタチ
の長いものが伸びてくる
海面に向かって


帆船のマストに光る
無数のセントエルモの光りが突っ込んでいく。

そして妖しい海面の光りは消えてしまったのでした



やがて霧はなくなり
星空が見えてました。


裕美子は

「船幽霊は民話をよく聞かされましたよ!
海の不思議ですよねぇ?
マリーチィーさん」




裕美子の育った島の
まわりも荒れやすい海の
船の難所

昔から海の民話を聞いて
育ったものです。


マリーチィーさんは

「うーん?!ここは
狭間だからねぇ…」

「ただ…まわりに陸地さえ
ない海での遭難は
苦しいのでしょう…」


「そこには やはり苦しみ
寂しさ、悲しさ、が
あるようですね。」


と裕美子に話します。




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