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The.Last.Days
赤い月の夜(5)

遠くで海のさざ波の音だけが静かに響き渡り

裕美子はぼんやりと
赤い月を見ている
「血のような…」
と、ただ呟くだけである


裕美子は夜空と
大陸を眺めて瞳に涙を
ためていただけでありました。

ロシーターさんは言います
「裕美子さん。
急いでココから離れますよ!
船長、錨をあげて!」


船長のアルがうなずき

「おおー開帆、帆をあげろお〜♪錨をあげろ〜つ!」
と海の静けさの中に声が
響きわたります。

*開帆/かいはん
帆を掲げて船をだすこと

裕美子を乗せた帆船
はゆっくりと大陸を
遠ざかるのであった。


黒龍が裕美子に
向かって、こういいました
「今から大陸の方を
しっかり見ときなさい!」
「裕美子!最後まで
しっかり見ておくのぢゃぞ!」


裕美子はうなずいた


大陸をゆっくりと遠ざかる海上の帆船…
夜空には赤く輝く月が出ている。

裕美子が帆船の上から大陸を見つめる景色は…

異常な地獄絵図の世界でした!

裕美子は見つめて

「ことばがでない・・・」

オレンジ色から赤く輝く
閃光は大陸全てを走り包み
昼間とかわらぬ明るさである。

大陸では逃げ惑う人びとを赤い光りが包み溶かしていきます…。

そして衝撃波なのか?
木々が激しくゆれている

山々や木々や大地などが
真っ赤な閃光に包まれたら
瞬時に蒸発してしまう…

凄まじいエネルギーの波。

高層建築物の壁を光りが
突き抜けて中にいる椅子
に座った女性の身体が…

次第に溶けてゆくのです。
それは滅びの光り


ロシータさんが云います
「あの大陸…あの大地は
この後に津波と噴火や
爆発で瞬時に消滅して…

冷たく深い海の底に沈むのです!」


裕美子は何も喋らず
甲板の上で泣き崩れて

夜空が赤く染まっている
大陸の方を見つめていた。





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あきゅろす。
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