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The.Last.Days
赤い月の夜(4)

遠くで海のさざ波の音だけが静かに響き渡り

裕美子は赤い月を見て
「嫌な感じの赤い月だなぁ…」

サーシェさんは・・・・
「さぁ、もう余り時間が
ありませんから…」

「小舟を漕いで沖へ出ましょう!
沖には、あの帆船が停泊していますから!」
と催促をします。


裕美子は寂しそうに
うなずきしてから
「うん、もう…マリーチィーさんやエルザさんにも
会わずに行っちゃうの…」

サーシェさんは云います
「まだ、皆さんは…
キッと頑張っている最中
なんでしょうから。
ココからは悲しみをこらえて!?
皆さんのために…」


裕美子はうなずき
「うん、……」
と一言だけ口にしました。

サーシェさんが砂浜から
小舟を海面に出してから
乗って櫓(ろ)を手に持って
「さぁ、行きますよ!
裕美子さん…。」

小舟を漕いで海上へ出るのであった。

ギギィギギィ〜ギギィィ

櫓を漕いでいる音が海上で響きます。


サーシェさんは云います
「見れるところまで目に
焼きつけていて!
裕美子さん。」

大陸の方はところどころ
で閃光が走り夜が赤く色づきます。

裕美子の体内の黒龍が…
「やれやれ、始まったのぉ!
どれ!外に出るか!」

瞬時にして裕美子の目の前に出てきたのであった。

小舟が静かにゆっくりと
海を進む先には…

やがて沖合に帆船が錨を
おろして静かに停泊をしていた。

帆船の真横に小舟を寄せて
サーシェさんが
「さぁ、裕美子さん
帆船にあがってくださいね。」

梯子(ハシゴ)が船の
上から投げられて小舟に

船長のアルとロシータさん
「おおーい!おおーい!
裕美子さ〜ん。
お帰りなさいませ!」
と声をかけてくれた。


サーシェさんも
「さぁ!梯子を登って
帆船に乗ってね!」

と、おっしゃったら
先に翼を羽ばたいて帆船へ上がったのでした。


裕美子は甲板へ上がって
何だか少しだけホッとした気持ちでした。

サーシェさんは悲しそうに
「裕美子さん…
どうかいつ迄も元気でね!
最後まで私たちの事を
忘れないで!
私たちと過ごしたことを…」
と呟くのであった。

裕美子は…瞳にやや
涙を溜めて
「うん!永遠に忘れないから…」
と返事を返したのであった


これがサーシェさんと
裕美子…2人の大陸
での最後の会話になりました。


そう言い残すと……
サーシェさんは背中の翼
で羽ばたきて


砂浜の飛行艇に乗り込み
やがて夜空の朱色の彼方へ見えなくなりました。


裕美子は夜空を眺めて瞳に涙をためていただけでありました。



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