The.Last.Days
島の伝説:4
それはそれはビックリした漁夫たちはものも言えずに
櫓(ろ)拍子も乱れがちになり必死に港めざして船を漕いだものです。
一方、船の胴の間では老船頭を中心に老漁夫たちや ほかの漁夫たちが
この思いがけない出来事をどうするのかの相談をはじめていたそうな。
その中の1人の漁夫がこう言います。
「こりゃー 異国人の柩に違わん!」
「ともかく宝物は、まだまだ(沢山)入っとるに違わん」
「宝物だけ取り出して柩はそのまま流してしまおう?…」
この意見に賛成する漁夫たちも居ましたが、これと反対に爺やの漁夫はこう言います。
「だけど、こりゃー大事なことや。
そんな欲ばったことをすっと…あとあとの祟りが恐ろしか〜!」
「このまま海に流してしまうのが一番ええと思うがの?!」
年寄りたちは皆これに賛成して相談はなかなかまとまりそうにありませんでした。
船は早々と島の南端にある沖ノ小島の前にさしかかってまいりました。
老船頭は、ともかく船を小島のそばにある浜につけてから、なおよく箱の中をしっかり調べてその処分方法をじっくりと相談することにしたそうです。
箱を磯に引き上げて、みんなして苦心の末に箱のフタを取りのぞいて見たものです。
頑丈な黒みがかった、その箱は、青白い白骨をほとんど埋めつくすほどの奇妙なカタチの金銀財宝の山がキラキラと皆の目を射しました。
島の漁夫たちにも、いまだかって一度も見たこともない赤や青や緑の美しい石に混じって小指の先ほどもある真珠玉を幾十となくつないだ紐のようなものが入っています。
赤や緑の見たこともない石はともかく、この真珠玉の紐だけでも何百両の価値があるものかも想像がつきません。
なおもよく見ると亡骸の肩のあたりに厚い皮表紙の本がおいてありました。
何かしらの手がかりにでもあるのではないかと?
1人の漁夫が恐る恐るその本を取り上げて中を開いて見ましたが…
何だか訳もわからぬ記号のような横文字がいっぱい書いてあるものの?
さっぱり読めませんでした。
ここでまた…
「宝物だけ港に持ち帰ろう…」
という漁夫と
「あとあとの祟りが恐ろしいから、この小島あたりに埋めてしまおう」
という爺の漁夫との組とのはげしい意見のぶつかり合いが合ったが
然し何といっても日々の
暮らしも乏しい漁村の漁夫たちにとっては、その宝物の価値はあまりにも大きすぎました。
まして金色の髪をした異国人の白骨の亡骸の不気味さ…もありて
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