The.Last.Days
島の伝説:2
父は続けて語ります。
不思議に思った若い漁夫は、そばに居た同じ漁夫の袖(そで)を引いて
たちまち船中の十二名の漁夫たちの眼(まなこ)は一様にこの不思議な木箱に注がれたそうです。
好奇心も ともなって、ともかく奇妙な箱に船を近づけてみたそうな。
その木箱のまわりの上には鳥が舞いして、その木箱それにつく万引(シイラ)という魚を釣りあげ、それはそれは豊漁でした。
そう 確かに…それは奇妙な箱だったのでありました。
厚い黒みがかった見なれぬ木で作った長さ約一間(約1・818m)高さ約四尺(約1・22m)約幅三尺(約91p)は
ありそうな
密閉された それはそれは頑丈な大きな木箱であったそうな。
そして奇妙な木箱は日は昇り月が出て欠けて時化(しけ)の波と風にもまれて
長い長い時を海を漂ったのか?
箱の一面には名も知れぬ海草や牡蠣殻(かきがら)などが、それはそれはびっしりといっぱいに密着してた。
そして箱の全体から異様な妖気がメラメラと立ち昇っているかのような?!
錯覚を起こす雰囲気を漂わせるシロモノだったのじゃそうな。
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