〜闇夜物語〜
狂骨,一(古典怪談)
、はるか昔、
ある男が、妻のもとから
足を遠退かせていた。
たとえ妻であっても
女はひたすら男が
通ってくるのを待つしか
ない。
それが、平安の世の
ならわし
夫の来訪を待ちこがれ
つづけた妻は
思いつめる
あまりに病気に
なったあげく、
こがれ死にしてしまった。
夫以外に身寄りのない
女の死骸は
当時は
葬式を出す者もなく
床に寝かされたまま
何年も放って
おかれていた。
ところが、その死体は
白骨になったというのに
骨という骨がしっかりと
つながって人の形を
たもちつづけ
髪の毛一本抜け
落ちることもなかった。
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!