〜闇夜物語〜 狂骨,四 夜の闇が流れていくのが 映ります。 その耳には、死骸の女が もらす呪咀のつぶやきと 裸足の足が… ぴしゃぴしゃと 地面を蹴る音だけが 聞こえていたそうな。 やがて、女は いいかげんに探し疲れた とみえて家に引き返すと 元のように床の上に うつぶせになった。 夜明けの日が差し 一番鶏が鳴いた。 女の死骸は、動かなく なり、その口は 声を出さなくなった。 その朝、陰陽師が訪れて 呪文を唱え祈祷を行じた。 そして…… 「これで、二度と恐ろし いことは起こるまい」 と言った。 男は両手をあわせて 陰陽師を拝んだという。 妻を捨てて死に いたらしめた男に対する 罰は一晩の身の毛も よだつ恐怖だけ [*前へ] [戻る] |