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∞陰陽道探究∞ 平安朝と安倍晴明の実像 安倍晴明は伝説だけの 人ではない。 希代の霊能者、狐の子と ウワサされる異形の人で あるいっぽう、晴明は 政府(朝廷)の陰陽寮に 勤めるれっきとした 高級官吏(かんり)だった。 それが、俗説の尾ヒレを とりはらった晴明の実体 ということになる。 俗説を抜きにして晴明を 語れないように、その 実体を抜きにしても晴明 を語ることはできない。 陰陽寮の晴明の仕事を 説明する前に、あらためて 陰陽寮とは何であるかを 説明します。 官僚機構としての陰陽寮 が設置されたのは白鳳 (はくほう)四年(676)の ことで、その時点で 中国伝来の陰陽五行説を ベースにした天文勧象術 暦法･占術･兵法が統合を され、国家管理のもとに 置かれたのである。 文武(もんむ)天皇が 発した「大宝律令 [ﾀｲﾎｳﾘﾂﾘｮｳ]」(701年)に よれば、陰陽寮の組織の 体制は、「陰陽頭」を 長官として、その下に 占筮[せんぜい] (筮竹で吉凶を占うこと) 相地(土地の気をよむ 地相占い)をつかさどる 「陰陽師」が六人 陰陽生(おんみょうの しょう)(つまり陰陽道を 学ぶ立場にある者。 以下の[生]も同じ)に 教授する「陰陽博士」が ひとり 暦道を学ぶ暦生に 教授する「暦博士」が ひとりと 天文道を学ぶ天文生 (てんもんのしょう)に 教授する「天文博士」が ひとり 担当役人を統率して 「漏刻(ろうこく)」 (水時計)を管理する 「漏刻博士」がふたり…。 陰陽師という言葉が 陰陽道の使い手の総称と なったのは鎌倉時代以降 である。 よって、賀茂忠行から 天文道を受け継いだ 安倍晴明は 正式なら「天文博士」 だったことになります。 ［*前頁へ］［次頁へ#］ [戻る]  |