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∞陰陽道探究∞
魔界と陰陽師の霊戦[5]
『地神(じがみ)』

[きわめて凶暴な
名もなき魔神]

三輪山には大物主神を
祭る社があり、葛城山
(かつらぎさん)の
麓には一言主神
(ひとことぬしのかみ)
を祭る社がある。


だが、上古には、
山そのものが神体と
されたので
それらの霊山には
社も鳥居もなかった。

霊山とされる山に
置かれる社のほとんどは

奈良・平安の時代に
朝廷が地祗(土着の神々)
をうやまって
祭ったものである。


そうした大神の
いっぽうで、日本には

古来、名もない土着の
神々がうようよいた。


これらの地神は、
説話や伝説には、
しばしば、始末に

おえない鬼神として
登場する。


代紋を背負ったヤクザの
親分よりもチンピラの
ほうが危険なように


立派な社に鎮座する
荒ぶる神よりも、
名もない地神のほうが
よほど厄介なのだ。


[今昔物語]の

[地神に追われた
陰陽師の話]
滋丘川人
(しげおかのかわひと)
という名高い陰陽師が

危うく地神に命を
取られそうになる。


御陵(天皇の墓)を
建てる土地を選定を
するために深草の地に
おもむいた川人は


その帰り道、同行した
大納言とともに地神の
群れに追跡される。


その場は、隠行の術を
つかって追っ手の目を
くらますのだが、


姿を隠した川人たちの
耳に、地神の親玉の
恐ろしい言葉が
聞こえてくる。



「こうやって姿を
消したのは、よほど
すぐれた術の使い手と
見える。

だが、逃がしはせぬぞ。

大晦日の真夜中に
土の底から天の上まで


やつらを探し出して
殺してくれようぞ。」

[略]詳しくは
今昔物語を読んで。


それにしても、なぜ、
地神は、こうまで執拗
(しつよう)に二人を

つけ狙ったのか?

その意図も、地神という
存在そのものも、

まったく底が知れない。

ただ追いかけてきて

ただ探し回り
ただ取り殺す。

そこに、人知を超えた
魑魅魍魎・モノノケの


恐ろしさが、意味不明の
まま色濃く漂っている。

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