[携帯モード] [URL送信]

∞陰陽道探究∞
闇の中に鬼を見た天才
平安の世に賀茂忠行という
陰陽頭(おんようのかみ)
(陰陽寮の長官)がいま
した。

安倍晴明はその忠行の
養子となって幼い頃から
陰陽道を学んだとされます

平安後期に成立した
説話集の『今昔物語』
には晴明の天才児ぶりが
物語られています。

古典怪異譚の日本霊異記
や今昔物語のなかに
でてくる「鬼」の話は
たくさんふんだんに登場
しますが、むろんこちら
の話にも鬼、魑魅魍魎が
でてきます。



この道においては比肩
(ひけん)する者のいない
陰陽師、賀茂忠行が
ある夜、急なお祓いを
頼まれて牛車で…
でかけたそうです。


幼い(童子の)晴明は
連れていって
くれとせがんだが・・
聞き入れてもらえなかった
そこで、徒歩でこっそり
と牛車の後について
いった。

牛車の中から義父の
寝いびきが聞こえてきた

夜も遅いので眠りこけて
しまったらしい。

すると、晴明の目に夜の
都大路の前方から
何者かが集団で……
歩いてくるのが映った。


それらは・見るも
恐ろしい姿を
していたそうです。

そこで…幼い晴明は
いそいで・牛車に駆け
寄り、窓から声をかけた。

「義父さんたいへんです」
「鬼たちが、群れを
なしてこちらに
歩いてきます」

そこで忠行は、はっと
飛び起きると隠行の術
(姿を隠す術)を
もちいて自分たちの
姿を隠したそうです。


そして鬼たちは
何も気づかずに牛車の横
をやがて通りすぎて
夜の闇に消えていった。


この出来事に忠行は
つくづく考えさせられた。

※「わしは世に二人と
いないほどの陰陽道の
達人と自負していたが
それでも子供の頃に
鬼を見ることはなかった」

「努力して修行を積んで
からようやく、鬼を見る
ことができるように
なったのだ!」


それなのに、幼い
うちから鬼を見るとは・

「この子は将来は
大成するにちがいない」

そう思った忠行は、実子
の保憲(やすのり)
と別け隔てなく晴明に
陰陽道のすべてを教え
こんだそうなんです。


そのおかげで、晴明は、
その道では並ぶ者が
いない陰陽師になった…



ここで物語れている
陰陽師の達人になるには
霊力という要素が必要で
あるということが。


今昔物語には、これと
そっくりの物語が
一編収録されてます。


そちらは、忠行の祓いに
ついていったのは実子の
保憲という設定に
なってます。

ひょとしたら、忠行が
晴明の手柄をちょうだい
して実子に当てはめて
しまったのかもしれません

それとも保憲の手柄を
誰かが晴明の伝説に
加えてしまったのだろうか?

といっても、晴明の
伝説や素性については
諸説が入り乱れているので
どちらともいいきれません

平安朝の高級官吏という
確固たる職歴を残して
いながら素性は一切不明
その前提からして
謎につつまれてます、

鬼や怨霊と戦う晴明は、
彼自身、半分は魔界の住人
とも言えるべき存在
だったかもしれません

人界と魔界のボーダー
ラインに位置する晴明は
どちらにも属さない
孤独な存在とも解釈でき
ます。




[*前頁へ]

12/12ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!