神の名鑑 聖書・外典・偽典 『Apocrypha』 「聖書・外典・偽典」 旧約聖書における(外典)とは、一世紀末、ユダヤ教の正典が決定されたときに七十人訳という旧約聖書の最初の翻訳(ギリシア語)に含まれてはいたが ヘブル語の正典には含まれなかった文書を指します。 (偽典)はそれ以外の文書で旧約中の名前などを借りて旧約の時代に書かれたように見せたもので…七十人訳やラテン語訳の(ヴルガータ)には含まれないものです。 旧約の外典・偽典が書かれたのは紀元前二世紀から紀元後一世紀、そして1947年に死海で発見された (死海写本)の一部もこの中に含めることができます。 ※新約聖書には(偽典)はなく(外典)のみ存在します。 これはギリシア語で「アポクリファ」と言い旧約聖書の外典にも当てはめられる、アポクリファのもともとの意味は(隠されたもの)を示しキリスト教会に対しての異端派との関連で出てきた言葉で、正統教会がまとまったものになってくるとこうした「隠されたもの」は「異端的であるために隠されたもの」「隠された起源のもの・偽りのもの」 などの意味で使われるようになる。 しかし古カトリック教会 は七十人訳の伝統に従って旧約外典も編纂(いろいろな材料を集めて整理し書物を作ること)したため、それから除外される旧約偽典もアポクリファに含まれうるようになる。 『エノク書について』 エノクによって書かれたとされる、多くの天使が登場する文書。 「エノクは三百六十五年生きた。エノクは神と共に歩み。神が取られたのでいなくなった」創世記より。 義人エノクは生きたまま天に昇り大天使メタトロンになったという。 初期のキリスト教では(エノク書)は聖書の一部と信じられ現在でもエチオピア正教ではエチオピア語の 「エノク書」を教典としている。 ※【エノク語】 かってアトランティスで 話されたという言語に後世になってオカルトティストたちが付けた呼称で、それに変形を加えたものを魔術師ジョン・ディーが天使と交信するための言葉として使用したことで有名になる。 ※エノク書との直接の関連はないようである。 ジョン・ディーは十六世紀のイギリスの錬金術師、数学者、天文学者、占星術師であり生涯天使との交流を熱望し続けエドワード・ケリーという霊媒師と出会い彼を通じて天使との交流を行なったという。 ヘブル語⇒へブライ語 (ヘブライ→川の向こうより渡来した民族・古代イスラエル王国の別称) セム語に属する古代イスラエル人の言語、紀元前100年頃から今世紀までユダヤ人の学問や典礼の言語として残存。現在はイスラエルの公用語として復活しています。 ━━━━━━━━━━━━━ 『偽ディオニュシオス』 西暦500年頃のこと中東にディオニュシオスと名乗る著述家が現れ聖書の様々な天使の話を調べ始めた。 こうして集めた資料から彼は熾天使を最高位とする、天使の九階級を作り上げた。 彼の作品にもディオニュシオスという署名が残されています。 ディオニュシオスという人物は聖書の「使徒言行録」にも登場する。 古代のキリスト教徒たちは彼を、このディオニュシオスと同一人物と考えました。 ところが、後世になってディオニュシオスの著作が「使徒言行録」のディオニュシオスのいた時代よりも 何世紀も後だということが証明されました。 それまで誰もこの二人のディオニュシオスが同一人物と信じて疑わなかったのです。 こうした事から前者のディオニュシオスを学者等は偽ディオニュシオスと呼んでいます。 しかし偽ディオニュシオスの天使の位階はキリスト 教国では今ももっとも支持を得ている説です。 [*前へ][次へ#] [戻る] |