雪桜伝
七
各自室がある2回への階段を上った先には霧霞が立っていた。そんな霧霞の態度に月華は苦笑した。
「ホントお優しいこと。しかし、理解出来ませんわ。十六夜はどうしてワタクシまでに感謝なさいますの?」
ワタクシは感謝されることなど何もしておりませんのに・・・言いよどむ月華に霧霞は微かに微笑む。それは人の感情に敏感故に気付かない微笑だった。
「・・・嬉しいんだろ。理解できなくても受け取っておけ。いつか理解できるかもしれない。」
月華は胸に手を当てた。十六夜の手作りチョコレート渡したい理由を聞いているときに感じた胸の温かさ。月華本人がそれを気のせいにしようとしていたのに。
「・・・いいのでしょうか?受け取っても、理解しても・・・」
いいから、あの子はチョコを作ったのだろう。
そう言うと、霧霞は部屋へと消えていった。
後日、渡された手作りチョコレート。
柳がまた十六夜をからかって、月華と朧の逆鱗に触れたのは言うまでもない。
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